第40話 エイプの森③ ダンジョン攻略戦

 ◇ 攻略組 主力メンバー達 ◇


 Aチーム:マスター、マシロ、ライガー、凛、セレネ、ビッグタイガー2。

 Bチーム:アリシア、ティナ、ククル、エルメテオ、ラシルド、ミラ、ビッグタイガー2。

 Cチーム:ウルフ2、コボルト4、アラクネ3

 その他:スライム1、ホーク1、調査隊コボルト5。



 ◇ 名付の配下達の名前 ◇


 名前の順番はAチームから順番に。


 ビッグタイガー:アラン、ドヴァイ、トゥーリ、ファナル

 ウルフ:グレイ、ガイ

 コボルト:クロ、コテツ、レオン、ランカ

 アラクネ:チハヤ(千早)、アサギリ(朝霧)、ユウギリ(夕霧)

 スライム:スラリン

 ホーク:スバル

 調査隊:イブキ、ハヤテ、アインス、ツヴァイ、ドライ


 アインス・ツヴァイなどはドイツ語の数字から名付けたようだ。




 ダンジョンマスター同士、お互いの陣営が熱気を帯びていく……。


 ついに、戦いの始まりだ。


 事前に待ち伏せや奇襲、色々なパターンを予測して、どう動くかは決めてある。今回は、相手が堂々と待ち構えてくれていたおかげで、こちらとしては動きやすい。




「まずは遠距離攻撃からだ!! その後は、主力Aチームで新種とボスを相手する。他はチームでまとまって、敵の相手をしろ! 他の者は補助を頼むぞ」


 確認を促すように、配下達に指示をするマスター。


 心は熱く、頭は冷静に……。興奮状態に飲み込まれないように、落ち着いて指揮をする。遠距離戦には自信がある。以前のような、魔法や弓だけの攻撃ではない。


 和弓を用いた魔法と弓の集大成……『魔道弓』


 ミスリルを含んだ合金製の矢に、許容量ぎりぎりまで雷の魔力を集めて解き放つのだ。マスターの小柄な和弓と違い、アラクネ達は大型の和弓を持ち、その威力も高そうだ。


「雷を纏いし、俊速の弓矢よ……。くらえっ、ライトニング……ファイナルアロー!!」


 閃光を放ちながら、意思を持って突き進むように進む弓矢。軌道上にいた敵を巻き込みながら、誘導されたように敵のダンジョンマスターを狙う。


 最初から全力全開。遠慮も出し惜しみも無しだ。





「……やったか?」


「わぅ。……辛うじて避けたようですね」


 渾身の一撃を放ったマスターが、相手のボスの様子を見定める。


 ――よく見てみると、肩口から腕を1本犠牲にしながらも、なんとか回避したようだ。どうやら遠距離攻撃だけでは、簡単には勝たせてくれない。


「グギャォォオオォオーーー!!」


 突然の強力な攻撃に、雄たけびを上げるエイプ達のボス。


 マスターとアラクネ達を筆頭にした、強力な遠距離攻撃で、なすすべなく次々と倒れていく、エイプモンスター達……。


 自分自身も傷を負い、遠距離戦では勝ち目がないとみて、近接戦で戦おうとするかのように、身体能力を活かし、爆発的な速度でマスターを目掛けて突っ込んでいく。





「……来るぞっ! 手負いとはいえ、危険な相手だ!!」


「わぅ。返り討ちにしてやります!」


「ガウッ。我とビッグタイガーが最初にいくぞ!」


「周囲の警戒と援護は、まかしてくださいでありんす」


「私もサポートならまかせて!」


 ボスだけではなく、生き残った敵のエイプモンスターも同様に、こちらへと突っ込んでくる。


 牽制にと放たれた魔法は、ボスの一振りで切り裂かれ、突進してくる速度は落ちない。


「グギャォオォオーー!!」


「ハァァーッ!!」


 相手の威圧する声を振り払うように、こちらも気合を入れるように声を上げて、恐怖を振り払う。


「ガルゥゥウーー!」


 全身から光を発する程に、限界近くまで身体強化と雷魔法の力を合わせて雷化したライガーが、ボスへと飛び掛かっていく。呼吸を合わせた様に、ビッグタイガー達も飛び掛かり、3対1の状況が続く。


 腕を1本失い……3本になったとはいえ、見事な剣技と体術を併せた戦闘術だ。


 ライガー達も必死に攻撃をしているが、致命傷という程の傷は、お互いに与える事が出来ない。


 マスター達も、いつでも援護できるように構えているが、激しく動き回る戦いに、手を出せないでいる。


 激しく動き回りながらの攻防も、体力の限界なのか、徐々に陰りが見え始める。


 そんな時……ボスの振るう足技によって、2匹のビッグライガーが大きく吹き飛ばされる。そして、大上段へと大きく剣を振りかぶり、ライガーにわざと隙を見せて、挑発をするボス。


 見え見えの罠……。そこに、今までにない勢いで、勢いよく踏み込んでいくライガー。


 大上段からの攻撃を、かろうじて回避しながら……ついに、ライガーの力の籠った爪での攻撃が、ボスの腹部へと切り裂くように入り、大きな血しぶきが舞う。致命傷になりそうな一撃だ。


 だが、そこからツバメ返しのように切り返されたボスの攻撃によって……ライガーが大きく吹き飛ばされる。





「……いくぞっ!!」


「わんっ!」


 今がチャンスとばかりに、マシロと共に一気にボスへと近寄るマスター。


 動きが鈍って、傷を負ったボス。お膳立てをしてくれたライガーのためにも、全力で倒し切る!


 身体強化をフルに使って、基礎能力を大幅に上げる。さらには足元を補強するために土魔法を使い、踏み込むための土台を強化し……1歩目から爆発的な速度を出して近寄り、攻撃をする。


 『俊身歩行』マシロとの特訓によって、さらに磨きがかかった技だ。


「……斬り飛ばせ、龍切丸!」


 足の裏に土魔法をかけて近寄りながら、さらに刀身には雷の魔力を纏わせて、一気に振り抜く。相手の足を狙った攻撃は……見事に片足を斬り飛ばす。


「ワォオーン!!」


 マスターと鏡合わせのように反対側へと切り込んだマシロが、ボスの腕を2本斬り飛ばす。


 腕と足を失い、腹部にも致命傷を負ったボス。次の攻撃が、最後のトドメになるだろう……お互いにまた目が合い、ボスが何かを言おうとする。


「ギャギャ、我はただの、神の実験体の一人……。調子にのるなよ小僧が!」


「……それはどういう事だ?」


「何も知らぬとは……この未熟者がぁぁああ!!」


 意味深な発言を残し、いきなり豹変しながら……最後の力を振り絞って攻撃してくるボス。


「わんっ。やらせません!!」


 軽やかに飛び上がり、大太刀で首を刎ね飛ばすマシロ。


 ナンバースリーと表示された名前。自分の事を実験体だというボス。


 知らない所で、何かが動き出しているのだろうか……。


「わぅ。ただの敗者の戯言。気にする事はないですよ」


「……ありがとう。マシロ」





 ボスを倒した後は……他の仲間とも連携しながら、確実に相手を仕留めていく。


 吹き飛ばされていたライガー達は、様子を見ても軽い傷だけで、大丈夫のようだ。


 新種のクレイジーエイプも強敵だったが、ボス程の別格の存在ではない。士気の下がった逃げ腰の相手を殲滅するまでは、それほどの時間はかからなかった。


 魔石だけを抜いて、軽く黙祷をしてダンジョンの奥へと進む。そして、そこにあったのは……七色に輝く宝石のようなクリスタル。


「へぇ~。なかなか綺麗なお宝じゃない!」


「ちょっとティナ。勝手に触っちゃダメだからね」


 クリスタルの周りを嬉しそうに飛び回るティナ。慌ててアリシアが落ち着かせようとしている。


 そう、最奥で発見したのは『ダンジョンコア』だ。大きさは、直径1メートル程の丸形で、八面体のようになっている。





 慌ただしく騒ぐ者、静かに見守る者、コアに見とれている者などが集まる中……。ダンジョンマスターとして、コアの制御を開始する。制御の仕方は簡単だ。ゆっくりと、自分自身の魔力をダンジョンコアへと注いでいく……。


【 新たにダンジョンマスターが登録されました 】

【 初期設定を開始します 】


 システマチックな音声と共に、ダンジョンの初期設定をするマスター。


 メインとなるコアは本距離にある物のままにする。サブコアとして、今回手に入れたダンジョンコアを起動していく。余っていたダンジョンポイントは3800で、コアのランクはDランクだった。


 本拠地の領域とは離れているため、遠隔地の管理という事で、設定が大変になったけど……距離的には近場だし、すぐに合流する事が出来るようになるだろう。




「みんな、お疲れ様。外にいる仲間も待っているし……帰ろうか」


「わぅ。みんなを安心させましょう」


 ダンジョンコアの設定も終わり、みんなの戦いぶりを褒めながら、地上へと向かうマスター。


 無事にダンジョンを攻略する事は出来たが……。ボスの謎の言葉や、島に残っているヌシの事も気になる。


 戦いは……まだ終わっていない。島に残っている魔物やヌシ、まだまだ激しい戦いは続きそうだ。





「キュ、キューー!!」


「うわっ、落ち着けってソラ!」


 守護者達の中で、一人だけ居残りとなったソラ。マスターの姿を見て安心したのか、一気に近寄ってくる巨大なドラゴン……。


 じゃれあうのも大変である。



【 種族 】魔人(王種・幼生体)ダンジョンマスター

【 名前 】レンディ 

【 レベル 】☆50

【 DP 】21280 遠隔地3800

【 魔力 】☆1438

【 加護 】魔眼:鑑定 王の命名 魔力増幅 妖精魔法 念話 

【 スキル 】☆統率6 ☆魔力操作8 魔力回復6 ☆瞑想6 ☆剣術7 ☆棒術3 ☆槍術3 ☆弓術5 ☆体術7 隠密3 ☆身体強化7 感知系:気配5魔力5 魔法系:火5☆水3☆土7風2☆光5闇3☆無7時空3

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