第22話 ワイバーンとの決戦①

【 異世界転生 70日目 】


 この日の為に準備し、今か今かと待ち構えているメンバーが洞窟内に集まっている。


 ダンジョン内でも、その戦闘力はトップクラスの者達。


 守護者を筆頭に、ハイコボルト、ブラックウルフ、ブラックホーク、ハイアラクネなど……。レベル30以上の上位種族へと進化した、戦闘が得意な選ばれたメンバーだ。


 改めて自分自身のステータスも確認する。


「ダンジョンメニュー、ステータス」



【 種族 】魔人(王種・幼生体)ダンジョンマスター

【 名前 】レンディ 

【 レベル 】☆39

【 DP 】8520

【 魔力 】☆1134

【 加護 】魔眼:鑑定 王の命名 魔力増幅 妖精魔法 念話 

【 スキル 】☆統率5 ☆魔力操作7 ☆魔力回復6 ☆瞑想5 ☆剣術6 ☆体術6 ☆隠密3 ☆身体強化6 感知系:☆気配5☆魔力5 魔法系:☆火5☆水2☆土6風2☆光4☆闇3☆無6☆時空3



 レベルと共に、日頃よく使うスキルも大幅に上昇している。


 最近あった大きな出来事として……。妙な気配を辿っていくと、森の中に野生のダンジョンを発見した。


 主力メンバーを揃えて、精鋭で向かってみると……そこには無数のゴブリンがいて、地下2階層の奥には、ボスとしてホブゴブリンが居座っており、その奥にはダンジョンコアがあったのだ。


 そのダンジョン……攻略して支配下に置いた今では、ゴブリンとオークが湧き出す訓練場となっている。『実戦訓練』が行える場所が増えた事により、さらなるレベルアップをする事が出来る。


 そして今回の作戦は……。


 今まで天敵となっていた、山の上に居座っている『ワイバーン』の討伐である。


 上位種へと進化し、充分な戦闘力と装備が揃い、地上部のダンジョン領域もどんどん広がっている。さらなるダンジョンの発展の為には、どうしてもワイバーンの討伐が必要不可欠だ。




 ざわざわとした洞窟内に、執事の声が響く。


「静粛に!出発する前に……我らがマスターから、挨拶があります」


 執事として集団を仕切るように、守護者のセバスチャンが声をかける。


 マシロに手を引かれ……小柄なダンジョンマスターが、特別に用意された台座へと上り、出発の挨拶をする。


「みんな、よくきびしい訓練と実戦に耐えて、立派に成長してくれた。これより……その成長した力を充分に発揮してもらう!天敵ワイバーン……。今こそ、我らの力で倒す時だ!!」


 ダンジョンマスターの挨拶を聞き、集まったメンバー達が、興奮した様子で歓声を上げる。


 さらに、出発する前にはオカリナで曲が演奏され、また大きな歓声が上がり……今か今かといった様子で、熱気に包まれながら、出発する時を待つ。





 今までは上空を見つめながら、ワイバーンに怯える日々だった。


 だけど、これからは……。

 そのワイバーンを、こちらから狙う番だ。


 以前、洞窟に用意していた大口を開けた罠には……今までに、2匹の小型ワイバーンがかかっている。それ以降は警戒され、中へと入ってくる事はなくなってしまった。


 残るワイバーンは、以前にたおした者よりも大型で、警戒心が強いのが2体。戦闘力が増したとはいえ、充分に注意が必要だ。





 作戦の最終確認をして、洞窟を出発していくダンジョンマスターと配下達。


 目指すは、山の上にある『ワイバーンの住処』だ。


 ワイバーンの住処は、上空が吹き抜けとなっている大きな広場だ。その広場へと続く道は、空から向かう以外にも、山の中にある洞窟の通路を通って、地上から辿り着く事も可能だ。


 日中になれば、ワイバーンはエサの確保の為に平原方面へとよく向かう。


 今回は、朝日と共にダンジョンを出発し……午前中には、敵の住処へと到着する予定だ。



【 遠征メンバー 】


 守護者:マシロ、ライガー、セバスチャン、凛

 スライム:上位種2

 ウルフ:上位種3

 コボルト:上位種8

 ホーク:上位種3

 アラクネ:上位種2

 ドッペルゲンガー:上位種2

 マジカルキャット:上位種2


 狭い洞窟内という事もあり、上位種だけで構成された少数精鋭。


 中でも特徴的なのは、泉でみんなの汚れを落とすのが好きだったスラリンが、ヒールスライムとして癒しの存在へと進化している。回復魔法は貴重な事もあり、みんなに好かれているみたいだ。


 あっという間に、山の洞窟入り口へと到着する。


 洞窟の中には、コウモリタイプのバットと、クモタイプのスパイダーという魔獣が確認されていて、慎重にモンスターをたおしながら洞窟内を進んでいく。


「もう少しで、いよいよワイバーンと戦えるな」


「新しい街を作る為にも、頑張らないとですね」


 いつのまにか呟いていた言葉に、寄り添いながら歩いていたマシロが、安心させるように言葉を返す。


 暗い洞窟内を進んでいくと……光が徐々に差し込んでくる。ついに、ワイバーンが住処とする、戦う場所の目標となる大広場が近い……。


 今回の作戦は今までとは違う。ドラゴン退治の正攻法ともいうべき戦い方で、地上の正面から、道具を使いながら戦う。上空へと逃げられないように、漁師が使う網のような物も多数用意していて、相手の動きを制限し、地上で戦えるようにする事も重要だ。


 気配感知と隠密能力の高いメンバーに先行してもらい、ワイバーンの様子を探る。


 妙な気配を感じたのか、2匹の大型のワイバーンは、落ち着かない様子で警戒しているような感じだが、まだこちらの存在には気づいていないみたいだ。


 突入するための最終確認をして、静かに手信号で合図を出す。


(よし、全軍突入!)




 夢へと向かい、新たな戦いが始まろうとしている……。


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