第8話 初めてのガチャ召喚

【 異世界転生 15日目 】


 最近での大きな出来事は……。

 少し離れた山頂に、ワイバーンを発見した事だ。


 偵察に向かったライガーが、発見と共に山付近で多数の骨を回収して、2000以上の大幅なポイントアップにも繋がっている。


 他には、20匹程の小規模なゴブリンの集落を、遠くに2つ発見した位だろうか。今はまだ手を出さずに、集落から離れて……少数で活動しているゴブリンだけを、退治している。


 あとは、ライガーに乗って騎乗訓練を試していると、コボルト達も真似をしはじめてしまい、ウルフにまたがる『コボルトライダー』が、増え始めてきている……。




 そんなダンジョンでの昼下がり。


「わぅ。マスター、また真剣な顔してぼーっとしてるなんて、メニュー見ながら考え事ですか~?」


「うん、ダンジョンも安定してきたし、どうしてもやりたい事があるんだ」


 マシロに声をかけられて、言葉を返すダンジョンマスター。


 ダンジョンコアのランクがFにあがり、召喚出来るモンスターが増えている。どうしても気になっていた……『召喚ガチャ』という、ギャンブル要素の強い召喚を試してみたい。


 これまではギャンブル要素をなるべくなくし、守護者との意思疎通がとりやすく、知能のある従順そうな配下を選んで召喚していた。


 でも、これから先の事を考えると……新しい配下が増えれば、やれる事の選択肢が増える可能性が高い。どのようなモンスターが生まれるかわからないが、デメリット以上に、メリットの方が高そうだ。


「よし、思い切って、召喚ガチャをやってみるぞ!」


「わぅ。もしかしたら、危険があるかもしれません。お傍で護衛しますね」


 さっそくダンジョンメニューを操作し、召喚ガチャの項目を選ぶ。


 召喚ガチャ1匹:Gランク100、Fランク300

 11連ガチャ:Gランク1000、Fランク3000


 残り保有ポイント:3580





「う~ん、悩むなぁ……。まずはGランク11連。残りは、Fランク5回やってみるぞ!」


「わぅ。頑張って良いモンスターを、引き当ててくださいね」


 ダンジョンメニューを表示し、興奮した表情で召喚画面を操作する。


「Fランクモンスターガチャ……召喚!!ラピス、頼んだぞ!」


「きゅいっ」


 大広間の中央……。

 ドキドキと興奮する気持ちを、ゆっくりと深呼吸しながら落ち着ける。


 みんながそっと召喚を見守る中で、サポート役のラピスが動き出す。

 幻想的に煌めきながら、描かれていく魔法陣。順番に一匹ずつモンスターが現れてくる。


「俺はダンジョンマスターのレンディだ。よろしくな!」


 召喚されたモンスターへと、一匹一匹に声をかけながら、念話を使って仲間だという事を強くイメージして伝えていく。





 ☆マークはレア召喚枠


【 Fランク11連 ガチャ結果 】


 スライム1、スケルトン2、フォックス2、スパイダー1、ホーク1、角ウサギ1、コボルト2、☆マジカルキャット1



【 Gランク5回 ガチャ結果 】


 ホーク1、☆シルキー1、スケルトンナイト1、バルム1、レギュラス1





 召喚されたモンスターの中には、見た事がない者がいたりして、多種多様の有様だ。

 ガチャによって新規に登録された召喚リストから、説明文を確認する。


【 新規モンスター 】


 角ウサギ:コスト10 

 お肉が美味しい。臆病で逃げ足が速い。


 スケルトン:コスト50 

 知性は感じられないが、指示通りには動く事が出来る。


 スパイダー:コスト50 

 直径1メートル位の大きいクモ。


 フォックス:コスト80 

 狐型の魔獣 幻覚魔法が使える。


 ホーク:コスト120 

 身長30センチ程の鷹。空を自由に飛び回れる。


 バルム:コスト200 

 小型の象のような生き物。


 レギュラス:コスト250 

 小型のティラノサウルスのような恐竜。


 マジカルキャット:コスト250 

 動きが素早く、魔法が使える。


 シルキー:コスト500 

 家事妖精。生活魔法が得意。


 その他、ランクアップによる新規モンスターと、野外モンスターを吸収して、登録された者。


 マッドボア:コスト20 

 野生動物のイノシシが魔獣化。


 エレクリン:コスト20 

 小型のリス型魔獣。


 ラットマン:コスト100 

 ネズミ型の二足歩行が出来る魔獣。


 ビッグモール:コスト150 

 1メートル位の大きさをしたモグラ。土魔法と採掘が得意。


 ゴーレム:コスト250 

 動く石像。硬さはあるが動きが遅い。


 インプ:コスト300 

 妖精種、いたずら好き。闇と火魔法が使える。


 ワイバーン:コスト8000 

 下位竜の一種、強靭な肉体を持ち、空を自由に飛び回れる。





「色んなモンスターが増えたなあぁ~。すぐにみんなに馴染んでる子も居るし、楽しみだなぁ~」


「わぅ。危険なモンスターが出てこなくて、安心しました。これからは、みんな仲間ですね」


 悩みながらも、順番にみんなへと名付けを行っていく。


 今回仲間になったモンスターの中でも、一番嬉しかったのは……家事が得意な、妖精種のシルキーが増えた事だ。


 他にも、魔法が使えるタイプのマジカルキャットや、運搬役になれそうな、バルムが大当たりかなぁ。


「家の事や料理などの家事は、シルキーのミコトにまかせたからな」


「はい~。料理・洗濯・お掃除……おまかせ、くだしゃいでしゅ」


 身長はマスターと同じ位で、二人が並ぶと兄弟のように見えてしまう。


 下っ足らずな所もあって……恥ずかしがってるのも可愛らしい妖精さんだ。





 新たに召喚されたリストから、余ったポイントを使って、さらに仲間を増やしていく。


 気が付けば仲間がいっぱい。

 みんなを守る為、自分自身を守る為にも、これからも頑張らないとだなぁ~。


「よ~し、今日は歓迎会も兼ねて、みんなで宴会しちゃうぞ~!」


「きゅいっ」「ガウッ」「わんっ」「きゅきゅ」「グルゥ」


 まわりのみんなに聞こえるように、念話を周囲に強めに送ると……マスターを中心に、たちまち騒がしくなって、お祭り状態だ。





「ふふっ、マスターが楽しそうだと、私も楽しくなってしまいますね」


「しかしマスターはまだ幼い。我ら守護者がしっかりと、お守りしていかなければならぬな」


 優しい眼差しで、騒がしい様子を見守る守護者達。


 異世界生活15日目……。

 新しい仲間も増え、領域も日々拡張されていく。




 歓迎会があった数日後。

 激しい戦いが始まるとは、まだ誰も思っていなかった……。


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