第7話 第一回 ダンジョン会議
異世界へきてから、少し時は経過する……。
【 異世界転生 10日目 】
マスター・守護者・配下モンスターのみんなが、洞窟の大広間に集合する。
「それでは『第一回ダンジョン会議』を始める!!今日みんなに集まってもらったのは、これからのダンジョンについて、外の世界について、どのようにしていくのか。みんなで話し合いをして、方針を決める為であるっ。通訳はライガーとマシロ頼むぞ!」
「きゅいっ」「ガウッ」「わんっ」
小屋にあった椅子の上に立ち、少しでも威厳のある姿で喋ろうと、みんなから見える位置から声をかけるマスター。両サイドには守護者のマシロとライガーが並び、守護者以外の言葉がわからないメンバーへと通訳する。
「難しい事を言っても、わからない者がほとんどだろう。簡単にわかりやすく、今の状態と今後についての話しをする。まずは今の状態からだ!」
異世界へと転生してから10日目。ダンジョン開通から3日目である。
【 現在のダンジョン 簡易情報 】
◇ダンジョンランクF
日替わり収入312ポイント
残り保有DP:178
◇コア自動サポート
日替わり収入の80%を領域拡張に使用
◇配下モンスター
守護者:マシロ、ライガー
スライム3匹、ウルフ5匹、コボルト13匹
◇洞窟の広さ・施設
大広間 縦横20メートル程 高さは3メートル程
小部屋 縦横3メートル程 5か所
大部屋の先には分かれ道が3本あり、部屋を繋ぐ通路は緩やかに下へと降る道もあり、曲線を描くようにして、先が見通せないようになっている。
小部屋は、簡易住居・素材置き場・栽培場
大広間には、湧き水の泉(小)
各場所へと、明かり変わりとなる光り苔を設置されている。
小部屋の一つには、魔力草などの植物を植えて実験栽培。
「そして次は……大まかに分けて『3つの重要な話』がある。今後のダンジョンの拡張について、外の世界について、新しい取り組みについての3つだ」
ひとつ目は、今後は地上部の領域拡大をさらに進めて、基礎収入の安定を図りたい。異界へと続くダンジョンを作成しても、維持する為の魔力が必要になり、異界の領域をいくら拡大しても、魔素の収入は増えない為だ。いつかは異界領域を広げていきたいが、まだまだ先になりそうだ。
ふたつ目は、外の世界で入手した素材に関しては、加工できる知識や経験がある人が、自分しかいない為、職人を育てていく必要がある。前世で色々な事を経験していたとしても、一人ではやれる事が限られてくる。協力してくれる新たなメンバーが必要だ。
みっつ目は、ダンジョンの中で植物の栽培をしたり、配下ではないイノシシや角ウサギなどの魔獣や、野生動物の繁殖を試そうと思っている。他にも様々な新しい事を実験して、試していく。これについては個別に適性のありそうな者、やる気がある者には声をかけていく。
「ではまず、職人の募集からだ。何かを作ってみたいという、やる気のある者は手を上げてくれ」
順調に話し合いは進み、新たな役割を持つメンバーが増えていく。
職人見習い:コテツ、サクラ、ナナ
植物管理:マシロ、新人コボルトのモモ
魔獣・動物飼育:レオン、新人コボルトのイブキ
「みんなにはやってもらいたい事が、たくさんある。新しい事にも挑戦して忙しくなるが、みんなで一緒に協力しあい、困った時には気軽に相談してくれ。みんなで、助け合っていこうな!」
「きゅいっ」「ガウッ」「わんっ」
時間にしては30分程の短い会議。
わかりやすく説明しても、みんなにとっては……見た事も聞いた事もない、初めてだらけ。ほとんどの者が、ちゃんと理解できていない感じがする。言葉だけで伝えるのにも、限界があるなぁ~。
この後は、実際に体を動かしながらの実習時間。
人材を一から育てていく事になるんだし、長い目で見なきゃだなぁ~。
「マスター、私は色んな事に挑戦してみたいです。ぜひ、色々教えてくださいね!」
「うん、マシロには傍に居てもらって、色んな事を覚えてもらうからな!いつかは、みんなの事を任せられる位に、頑張ってもらうぞ~」
コボルトの中でも、守護者として一番知識のあるマシロに、色々と覚えてもらえれば……重要なネックとなる、言葉の壁も気にせずにすむかなぁ。様々な方面で活躍してもらうコボルト達には、本当に頼りになる存在だ。
「よ~し、まずは探索班と共に斧を持って、素材となる木材の伐採と採取からいくぞ~!」
「きゅいっ」「ガウッ」「わんっ」
これからのダンジョンなどの事について……やる事はいっぱいだけど、楽しみもいっぱいだ。
真っ先に元気よく、斧をかかえて外へと飛び出していく。
「わぅ!?……あっ、待ってくださいマスター!!急に先頭きって、飛び出して行かないでくださいね!」
慌てて追いかけるマシロ達……。
今日もわいわいがやがや。騒がしい日常だ。
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