第6話 未知の世界。新しい発見がいっぱいだぁ


 入り口を出て、少し歩いてみると……。

 森の中は、見渡す限りに素材いっぱいの宝庫だ。


 植物の蔓も、重ね合わせればロープ変わりになる、貴重な素材。


「順番に鑑定していくから、色んな素材を集めてきて~」


 張り切って外に飛び出してみると……未知の世界には、これまで見た事が無いような植物や、樹齢が何百年もありそうな、巨大な木々がたくさん見える。


 ダンジョンには、防衛専門として配置出来る戦力が、ほとんど居ない。そのせいで、主力部隊Aチームは、入り口付近の探索と防衛をするのが、役割になってしまった。そして、探索班から集められた素材を、ひたすら鑑定していくのが、マスターのお仕事だ。


 色々な素材の中でも、重要になりそうな素材を発見した。


 様々な野草や木の実といった『食材』。付けられている名前は違うけど……地球の物に例えれば、山芋・キノコ・山葡萄・リンゴ・柿・ドングリ。魔獣のようなウサギ・イノシシなどもいた。


 キノコは毒物も多い為、慎重に種類を見極めながら、みんなにも注意するように呼び掛ける。


 他にも物作りにとっては、木材などは非常に重要になる。軽く魔法で乾燥させたあとは、自然乾燥させるために、専用の場所を作って保管していく予定だ。





 色々な物を鑑定しながら、素材を選り分けていると、斥候のライガーが戻ってきた。


「ガウッ。マスター、早掛けで10分程いった先の場所に、緑色をした人型の魔物、マスターに以前聞いたゴブリンらしき生き物を、発見しましたぞ」


「ん~、さっそくゴブリンかぁ~。何匹いるかわかるか?」


「ガウッ。遠くから発見した為、確かな事はわかりませんが、2匹見えました」


 魔物の発見を聞き、思考を巡らせる。


 ゴブリン2匹だとすれば、充分に対処可能だ。危険性としては……ゴブリンは群れで活動する可能性もある。近くに拠点などがあれば、繁殖能力の高さもあり、やっかいな事になりそうだな。


「よし、マシロとライガー2人で、相手を見極めてこい。たおせると思ったらたおしてこい。1匹分でいいから、死体を持ち帰ってきてくれ。無理はするなよ。敵が多ければ、すぐに帰って来い」


「ガウッ!」「わんっ!」


 さっそく作った植物のロープと、短剣をマシロに渡しで出発させる。


 初めての魔物との遭遇。本当は自分自身で行きたかったが、今の自分では足手まといになってしまう。

リスクを考えると、実力のある二人で行くのが一番良いかなぁ~。


 近場に魔物が発見された事もあり、警戒態勢が引き上げられる。


「周囲の警戒を怠るなよ!必ずチームでまとまって行動するように。単独行動はするなよ!」





 無事にライガーとマシロが戻ってきて、獲物のゴブリンをダンジョンの中まで運ぶ。さっそくダンジョンへと吸収するテストだ。


「ラピス、ダンジョンに吸収してくれ」


【 保有DP:58→73 増加値15 】


 ふむ、1匹でおにぎり6個と野菜スープ分位にはなるみたいだなぁ。DP確保の為にも、ゴブリンは見つけ次第、倒していくことにしようかな。


「ゴブリン1匹で、15ポイント増えたみたいだ。周囲を探索して、たおせそうな魔物が居れば、倒して持ち帰ってきてくれ。ライガー、マシロの他に、Aチームからクロとコテツを連れて4人で探索してくれ」


「ガウッ」「わんっ」


 ダンジョンの入り口外に戻り、Bチームと一緒に入り口の周囲探索と防衛に戻る。


 3時間程経った所で、一区切り。





「よし、入り口に2名交代で残して、後のメンバーは中へ入って食事にするぞ~」


 午前中に吸収した魔物は、ゴブリンが9匹で、141ポイント。

 イノシシ型の魔獣らしきものは、11ポイント。

 角のあるウサギも試してみると、4ポイント。


 内包する魔力・種類・状態などによって、吸収できるポイントが違うみたいだ。


【 保有DP:73→156 】


「今日は取れた食材を使ったスープと、メインは焼肉だぁ~!」


「きゅいっ」「ガウッ」「わんっ」


 火魔法で集めた薪に火をつけて、解体したお肉を焼いていく。


 味付けは調味料がなくて、シンプルに焼いただけ。それでも、今まで食べた事のない、魔力を内包したお肉は美味しかった。


「うわっ、グレイそれまだ焼いてないから!!いや、ウルフだから生肉でもいけるの!?」


「わぅ。マスターには、ちゃんと焼けたお肉をマシロが食べさせてあげますね~。はいっ、あ~んっ」


 みんなでわいわいと、焼肉を楽しみながら……余ったお肉の処理は、干し肉にする為に分けておく。


 それから、匂いに釣られて他の魔獣などが来る可能性もあるので、入り口の警護役は4人交代で行う事にした。


 余ったポイントを使って、さらにコボルトを2匹召喚。

 さらに、魔力をコアに渡してウルフを1匹召喚。


「コボルトはBチームへ。ウルフはグレイにまかせるぞ!」


 はしゃいだ後に、おなかが一杯になって眠くなってきてしまった。


「ふぁ~。マシロ~。後はまかせたぁ~」


「わんっ。おまかせください!」


 幼児はお昼寝も大事。眠くなるからしょうがないったらしょうがない。ベッドに入ると……すぐに眠気が来て、意識が遠くなる……。





「わぅ~。いつも抱き枕にされてるけど、マスターの寝顔は可愛いなぁ~。守護者の私が、頑張らなきゃね!」


 コボルト達を率いてリーダーシップを発揮しながら、戦闘面でもダンジョン一の強さを誇るマシロ。


 快適な生活とマスターの為に、決意を新たにする。


「こらグレイ!干し肉用のお肉を、つまみ食いしちゃダメだからね!」


「ガウッ~?」


 ダンジョン内は、和気あいあい平和である。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る