僕の初恋を君に捧ぐ
小川貴央
第1話 僕の初恋を君に捧ぐ
「僕の初恋を君に捧ぐ」
繭へ
いきなり遺書なんて驚かせてごめん。
別に死ぬつもりはないんだけど、
万が一死んだら、書いとけばよかったって
後悔しそうなので書いておきます。
同封した写真は、もしものときには
遺影として使ってください。
なんか死ぬことばかり言ってる
みたいだけど泣かないで。
だって僕、幸せだから。
精一杯生きたから。
でも、もしも助かったら、やりたいことが
たくさんある。
繭と一緒に卒業式に出たい。
繭と一緒に大学に行きたい。
繭と一緒にスノボーしたい。
繭にプールでキスしたい。
繭と思いっきり走り回りたい。
また2人で流れ星に願い事をして、
キスしたい。
とにかくいろんな場所で繭にキスしたい。
でも、もし僕が死んでしまったら
他の誰かと恋をしてください。
そして、僕の代わりにその他の誰かと
夢を叶えてください。
でも心配はいらないよ。
僕らの初恋は、
きっと永遠に輝き続けるから。
あの夜に見た星のように。
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繭は遺書を抱きしめた。そして青空を見上げる。
青空から、学校の屋上へ場面が移り、
「まゆ!」
と声がして、振り返った繭は笑顔になった・・・
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最も視聴者の感涙を誘ったドラマのラストで手術台に
向かう直前に主人公が愛する彼女に宛てた遺書を彼女が
病院の屋上で読み上げる場面。
・・・ここでドラマは終わりになっている。
果たして手術は成功し二人は幸せの道を歩んだのか?
否、この終わり方は男の子は亡くなり、その幻聴を
ヒロインが聴こえたところで悲哀な結末を暗示させて
いるのだろう。
「爽やかな初恋」と暗く重い「死」の相対する難しい
テーマに挑んだ純愛ものだったが「生きる」とは?
「愛する」とは?を投げかけている・・・
その答えは難しく正解などは無いだろう。
僕の初恋を君に捧ぐ 小川貴央 @nmikky
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