「猥褻表現」刑法の罰則とは

 インターネットの普及により、簡単に小説作品を公開できる時代になり、一昔前のように紙の出版物でなくても読者に公開できるようになった。第三者の編集作業を通すことなく公開するということは、作者の思うままに表現できる反面、作品の主題や作中の文章表現が客観的に社会通念上はどう受け止められるのか、一切の判断が作者に委ねられた状態のままに一般公開することになるため、作者としてはその責を負う以上、知っておくべきことが生まれてくる。


「小説の内の文章において『表現の自由』はどこまで許されるのか」という命題に対して一般公開されたマニュアルのように簡潔、明快な答えはなく、あるのは最高裁の判例だけである。


 仮に、刑法上に記された「猥褻表現」に当たる記述が自作品にあると認定されると、日本国憲法のどのような罰則が適用されるのか。


 以下、日本国憲法の刑法の条文より「表現の自由」関連条文の引用。



刑法 第175条

わいせつな文書、図画その他のものを頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は250万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。


 下記、日本国憲法で表現の自由が保障される以上、具体的な「猥褻」ガイドラインが示されていなければ、どこまでの表現なら「猥褻物」と判断されないのかが不明となる。


刑法 第21条 

第1項

集会結社及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障する。


2項

検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。

  

           


 写真であれば、アンダーヘアや具体的なセックス行為、性器の写真など比較的わかりやすいが、小説の場合は異なる。具体的なNGワードなど、インターネットでの公開の場合は、それぞれの各サイトの運営会社のセルフレイティングに依拠しているが、そう単純でない場合、何を判断基準にするのか。


 サイトによっては、書き込みを一般公開する際にNGワードが含まれた文章は、投稿不可能になっている仕組みのサイトもあるが、「表現の自由」を超えた猥褻性のある書き込みを防ぐためよりも「出会い系」・「ネズミ講勧誘」・「詐欺」などの犯罪を未然に防ぐために、多く使われている。


〜〜〜

参考URL

日本国憲法における「表現の自由」の意義  梅山香代子

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8214921_po_02umeyama.pdf?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F8214921&contentNo=1&alternativeNo=&__lang=en

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