表現の自由〜猥褻表現はどこまで許されるのか、最前線

第1章 猥褻と表現の自由 ガイドラインは?


 芸術、とりわけ言論出版における「表現の自由」はどこまで許されるか。2019年の現代、すでにあらゆるタブーが過去のものとなりつつある。(2019年3月に執筆〜第9章まで)


 ※公開に踏み切ったのは自分の過去作品『秘密の庭』が公開停止になったから。R15に抵触するらしい。ついでにどんな表現が問題になりそうなのか、考察したものを公開することにする。


 小説を書く表現者が気になるのは、エロティックなシーン(セックスシーン、濡れ場、ラブシーンとも呼ぶ)、グロテスクなシーンなどにおける「表現のガイドライン」である。どこまでの描写はセーフで、どこからがアウトになるのか。


 視覚的で直接的な「ビジュアル表現」とは違う「文字を使った表現の芸術シーン視覚化」は、想像力と経験によって、個人差が生まれてしかるべき。同じ文字列で脳内スクリーンに想起される内容が同じになるとも限らない。猥褻表現かそうでないのか、裁判所の判断基準はどこになるのか。


 単純でないのは、表現の創作物が「みだらに性的な好奇心を煽ることを目的」とし、「健全な青少年の育成に公共の福祉の観点から害悪となる」ものか、他の問題提起の目的とその過程上で芸術作品が形成される上での「必要な表現」として「必要不可欠に提示されたもの」が刑法上に定義された「猥褻物」に当たるか、判断しにくい点だ。


 猥褻物に当たる対象物や問題となる行為を指す共通の概念としての「具体キーワード」などが、必ずしも一般大衆の「猥褻共通認識」として万人に同じく機能していない時、取り締まり対象となる「猥褻表現」の「是非」の「ガイドライン」がどこになるのかは、曖昧だ。


「猥褻」の概念は、社会通念上の常識の変化によって時代や国家体制により「規制のガイドライン」に変化があるのが当然で、表現者にとって「公共の福祉に害悪を与えない」・「著しく青少年の健全な性欲をみだらに刺激」したり、「健全で健康的な青少年の性への興味をむやみに煽っ」たり、「その健全な性への概念の育成に悪影響」を与え、「性的な好奇心を刺激」しないこと、「公共の社会福祉の秩序を乱さない」、「健全な社会通念から著しく逸脱しない」、「常識範囲の表現の周知」が急務となっている。とはいえ、現状は、その範囲を逸脱して「罰則対象」と告知されない限りは、放置が現状となっている。


 裁判所の判例では「既に市場に罰則を受けることなく流布している他の類似の猥褻物」の存在が罰則対象になりえない「免罪符」にはならないことを示している。(とりわけAVや有害図書のジャンルでそれは顕著になっている。)つまり、他にたくさん似たようなものが既にあるのだから構わないというわけでないということだ。それでは小説ジャンルにおいてはどうなるのか。


 本作は小説などの文章表現における「猥褻表現」について、その情報収集と分析が目的である。


〜〜〜

参考URL

日本国憲法における「表現の自由」の意義  梅山香代子

http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8214921_po_02umeyama.pdf?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F8214921&contentNo=1&alternativeNo=&__lang=en


2023年1月 追記:

拙作「秘密の庭」が「R15」のカクヨムガイドラインに抵触した理由は、読み返せば明確だった。「誰か何かわからないものに、体を触られているような気がする描写」。

あくまでそんな気がする、というのでも精密な筆致で描写がありアウトということらしい。検索キーワードは「処女と生贄の儀式」。5年くらい公開していたのに5000PVにも満たない。カクヨムガイドラインが仮に「R18」であればどうだっただろうか。


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