検閲・危機〜出版と自由=出版史の教訓から
古い判例だけでなく、比較的新しい表現の自由についての情報を下記に記す。
下記は2014年。約5年前の情報。(執筆時 2019年3月)
猥褻図書だけでなく漫画など多岐にわたるが、印象としてはこの10年、「表現の自由の危機」を迎えている。
日本の昨今の流れ、出版物その他の表現における「自己規制」が勝手に進むのは、時流、政治的な背景、テレビや新聞などの同調圧力での国民の洗脳などの原因が多分にあるが、紙の印刷物の時代が終焉を迎え、インターネットの電子情報の世界にシフトが進み、他国の政治、経済、生活情報などを個々人からも直接に外からテレビ・新聞・ラジオなどの既存の御用メディアを通さず、得られるようになった。だが、ここでも落とし穴がある。
個人的な詳細情報をインターネットを通して受け取っても、その重要性や、普遍性というのがよくわからないまま、情報の取捨選択は受取手の個人に委ねられることになり、「情報の精査」が課題になる。どの程度に一般的なことなのか、全体から見た割合や確実性、信頼性などの情報の質について、信頼するに足りうるものなのか判断して、相対化するのは難しい。
プロフェッショナルで専門情報に精通する記者ならともかく、ごく普通の一般人の写真やブログ記事など、自分たちの目で見たことや実際の体験が必ずしも全ての受取手に平等に相対化された真実としてうまく伝達できないように、自らが住む世界と対象世界との社会性の違いなどを照らし合わせて相対化した上で、外界情報を受容するためには、情報の送り手と受け手の文化的・社会的背景を考慮する必要があるが、一般的な個人が簡単に検索で得られる情報がどれだけ信頼するに足るサイトであるのかは、今やわからないことが証明されつつある。
(エドワード・スノーデン事件(2013年)やフェイスブックのロシア情報操作事件(2016年〜))
何より、人々が受け取る印象の積み重ねがインターネット情報からの情報受容になっているために、その中のどれが巧妙な政治広告となっているのか、見分けるのが難しい。
中国のノーベル賞受賞者が中国国内からのアクセスでは情報にたどり着けない事態があるように、国家権力がインターネットの電脳世界においても具合の悪い情報を、自国に入ってくる前にシャットアウトする風潮が強くなっている。
出版物の差し止めなどとは違い、具合の悪い情報や表現について「最初からなかったこと」にしやすくなっていくのは、目に見えている。特定キーワードは最初から書き込めない仕様になっているSNS、具合の悪い情報を扱うアカウントの閉鎖など、すでに先先に検閲が始まっている。情報の発信に無料アカウントを利用する以上、消されても文句は言えない。すぐに無駄な徒労となる電脳世界での個人的なレジスタンスを続ける情報発信者はよほどの専門家でもない限り、そう多くない。
追記〜
2023年1月現在、執筆当時の約4年前に比べて、世界の状態は一変している。新型コロナウィルス(covid-19)を使ったDSの国境なき世界統治への布石。ウクライナを舞台にした西側諸国とロシアの戦争。素人が発信するインターネットのライブ放送の流行。Twitter社の買収など。
〜参考URL〜
出版と自由=出版史の教訓から
出版メディアパル編集長 下村昭夫
http://www.shuppan.jp/attachments/article/633/表現の自由と出版規制.pdf
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