第25話 エルフの里ハーレム計画
そんなこんなで月日は流れ。
「旦那さんと結婚したいという未婚のエルフが集まりましたよ」
「よし、とりあえず一人一人、直に会って話をしよう」
エルフの里ハーレム計画は順調に進み、御触れに記載した締め切りを過ぎたので今日、未婚のエルフさん達と出会う事になった。
お祭りのように広場にはエルフ達が集まり、出店などを出して盛り上がっていた。
「それでは一人ずつ、お入りください」
広場の一角に懺悔室の様な簡易的な建物を建てて、そこで一人ずつ対面して話し合う事になっている。
両者の合意を得て結婚する事になったエルフには、腕に婚約済みという腕章を付けさせて広場に集まっているエルフ達に祝われる運びだ。
「こ、こんにちは」
「こんにちは」
一人目はロリっ子だった。
未婚だけど年齢的に大丈夫なのか?
「チスイ、115歳です! 私と結婚してください!」
「喜んで!」
二つ返事で了承してしまった。
エルフに弱すぎるだろ俺……。
腕に腕章を付けてあげると本当に嬉しそうな笑顔で広場に戻って行った。
外からおめでとうの嵐が聞こえてくる。
「次の者入れ」
入り口の案内人に言われ、次のエルフさんが入って来た。
「どもです」
「こんにちは」
二人目は30代前後の美人なエルフさんだ。
ちょっと引きこもり感がある。
「ナスイ、203歳……うちでも結婚してくれますか?」
「喜んで!」
ダメだ俺。
求婚されたらもう、一瞬で落とされるわ。
「やった……!」
腕章を付けてあげると満面の笑みで広場に戻って行った。
「軽いなぁ……軽い。軽いけど、みんな良い子そうなんだもんなぁ……全力で幸せにしてあげよう」
次に入って来たエルフは50代後半の熟女美人のエルフだ。
「失礼しますー」
「どうぞ」
「キスイ、5800歳、行き遅れた残念エルフですけどジュースさんは受け入れてくれますやろか?」
「結婚してください!」
「ま! 嬉しい! これからよろしゅう頼みます」
「こちらこそ!」
腕に腕章を付ける際、大きな胸を擦り寄せて来たので揉んであげると顔を真っ赤にして逃げるように広場へと出て行ってしまった。
経験豊富と見せかけた生娘か……可愛いな……。
「失礼致します!」
「どうぞ!」
次のエルフはかなり引き締まった面立ちでまるで兵隊さんの様な雰囲気を醸し出していた。
「名はムスミ! 277歳独身! 普段はこの里の平和を守っております!」
「と言うと兵士か何かで?」
「いえ、自主的にであります!」
「おお、それは偉いですね!」
「えへへ。それではジュース殿! 私と婚姻を結んで頂けるでしょうか!」
「喜んで!」
「あ、ありがとうございます! 嬉しいであります! では私はこの辺で」
「待て待て! 腕章腕章!」
おっちょこちょいなエルフだ。可愛い。
「邪魔するよ」
「ど、どうぞ」
次に来たエルフは女番長的な、みんなから姉御と呼ばれている様な強面の20代後半のエルフだ。
「アンタ、アタシとも結婚出来るかい?」
「あなたが望むなら拒む理由はありませんね」
「そうかい、アタシはナナスミ、3001歳、趣味は狩り、特技も狩り、家事全般全部ダメだけど本当にいいのかい?」
「良いですよ? 結婚しましょう」
「はっ! はははっ! マジかいアンタ! こんな出来損ないのエルフでも求婚してくれるたあ嬉しいね! 気に入ったよ! ハーレムってのは少し気になるがそれは高望みって奴さ。これからよろしく頼むよお前さん」
一見すると怖いが話してみると明るく楽しそうなエルフさんだ。
あと胸がすごく大きい事に今気付いた。すっご!
腕章を付ける時に胸をガン見してるのがバレて顔を掴まれ思いっきり胸に埋もれさせられた。幸せすぎるぅ。
「あ、あ、い、う……え、お……」
次に来たエルフはどう見てもコミュ障な目隠れちゃんだ。
会話出来るかな?
「こんにちは」
「か、き……くけ、こ、こ、こん……」
「リラックス」
魔法で落ち着かせる。
「こんにちは……」
「はい、こんにちは」
手をもじもじさせて、何を言おうか考えているようだ。
急かさず待とう。
「あ、あの、結婚」
「結婚しましょう!」
ごめん、やっぱ、待てなかった。
「あ、う……うれし……」
腕章を付けようと近づくと顔から火が出るんじゃないかと思うぐらいに真っ赤になっていた。
名前を聞き忘れたのでステータスで確認。
名前をメナスイさん、428歳、趣味はぬいぐるみ作り、特技は隠密行動。
後でちゃんと自己紹介してあげよう。
「次は儂じゃ!」
「ど、うぞ」
恐れていた事が現実になった。
おばばが来たぞおおおお!
「ひひひ、お主、本当にこのおばばとも結婚してくれるのかね?」
「と、当然です! 俺はハーレム王になる男ですから!」
「無理をするでない。おばばのちょっとした悪戯心よ。スイレの話を聞いて少し懲らしめようとしただけじゃ」
なんだよ……ビックリさせやがって……。
と、思うのが一般人。
俺はハーレム王、ここに来た時点で覚悟は決まっている。
「悪戯ですか……俺は本気でしたよ?」
「お主……強がりでは無いな?」
「ええ、少しばかりは強がりです」
「ほっほっほっ、素直な子じゃ。良いじゃろう、お主にこの里の未来を任せても」
「あ、そういうのはいいんで俺と結婚してください!」
「……お主、もしや、相当な馬鹿じゃろ?」
「よく言われます、けど本気ですよ」
「うむ、儂は断らせてもらおうかの」
「何故!?」
「いや、おばばじゃし……10000歳からは数えるのをやめた、ただの骨董品じゃ」
「年齢如きで結婚を諦めていたらハーレム王なんて名乗れませんよ!」
「儂は名乗っとらんし、儂を選ばんでもハーレム王は名乗って良いぞ?」
「分かりました! そんなに年齢が気になるなら若返らせてあげます! この者に若き栄光を!」
若返りの魔法を掛けるとしわくちゃのヨボヨボだったおばばは、みるみるうちに若返り、ムッチムチの色気が半端無い美少女エルフに生まれ変わって、いや、戻って行った。
「何じゃ? 体が軽い? おぉ、これは在りし日の胸! 何をしよったお主!?」
「若返らせました。これで年齢は関係ありませんよね?」
「なんと……そこまでして、このおばばと結婚したいと申しておったのか……うーむ、失った青春を取り戻してみるのも一興か、良かろう、お主と結婚しても良いぞ」
やったぜ!
と言うかおばばの見た目変わり過ぎだろ……歳を重ねるとは残酷な事なのだな……。
おばばの本名はスイラというらしい。ステータスで確認もしたのであっている。
名も忘れかけるほどおばばが定着していたみたいだな。
ちなみに年齢は12230歳だった。
エルフは行き遅れるとそのまま死ぬまで未婚のようだ。悲しいね。
腕章をつけてあげると苦笑いしていたが、出て行く時に嬉しいそうに腕章を撫でていたのを俺は見逃さなかった。
外に出た瞬間騒ぎが起こった様だが気にしない。
次のエルフはツンデレだった。
「アンタ、この私と結婚させてあげるんだから感謝しなさいよね!」
「子供は何人欲しいですか?」
「こ、こども!? アンタ、バカじゃないの!? だってまだ手も繋いでないし、デートもしてないし、それに……って何言わせてるのよ、この変態!」
清々しいほどツンデレちゃんだ。
「自己紹介がまだでしたね。俺はジュース、17歳、ハーレム王になる男です」
「私はルスイよ。50歳、いつか姫様になる事が目標よ! 結婚してあげるんだから私のために精々頑張りなさいよね!」
デレた時が凄く楽しみだな。
腕章を付ける時に悪い笑みを浮かべて居たので俺を足掛かりにして出世しようという魂胆が見え見えである。
そういう野心家な所も好きだな。
ま、出世は自力で頑張って貰うけどね。
ツンデレちゃんで最後だったようで、広場に設置されたお立ち台に今回婚姻したエルフ嫁達と登り、広場に集まった里のエルフ達と里の姫であるスイレに声高らかに、「俺達結婚して幸せになります!」と誓ったのだった。
その後はお祭りを楽しんで、近寄って来た顔馴染みの尻敷きエルフに「よく揃いも揃ってあんなブスどもと結婚する気になれるな! はははっ!」などとからかわれ、それを聞いた周りの女性エルフ達に冷たい目で見られ、青ざめて冷や汗をかいていたのが面白かった。
頭を強めに叩いて「コイツ失言多いっすよね!」とツッコミを入れたらドッ! と笑いが巻き起こったので助け舟にはなっただろう。
イスイくんとは出会わないように上手く立ち回って祭りが終わる間際に少しだけ会話してすぐに逃げた。
好きな子と顔を合わせられない恋する乙女状態だ。
恋する乙女ってなんだよ!?
一旦冷静に考えて自分のステータス異常を疑い確認してみるも異常は無く、魅了系スキルでも持ってるんじゃないかとイスイくんのステータスを隈なく探すも見つからず、俺のガチ恋が確定してしまった。
自分の気持ちに納得が出来ず、最終的にロキ神が何かしたせいだ、という事にしておいた。
今日、ロリっ子チスイ、引きこもりナスイ、熟女キスイ、自称警備員ムスミ、女番長ナナスミ、コミュ障目隠れメナスイ、元おばばスイラ、ツンデレルスイ、この8人のエルフが俺のハーレムに加入した。
一人ずつ仲を深めて行きたいのでロリっ子チスイちゃんから順番にデートをして愛を育んでいく予定だ。
ただ名前が似通っているので名前を間違えて呼びそうなのが怖い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます