第10話 孤児院NTR

「そうだ、孤児院を作ろう!」


 思い立ったが吉日。

 金も有り余っているので早速実家の村へと戻り、土地だけは無駄に余っているので土魔法、タイラニナーレで整地。

 建物は木魔法、ダイクサンで木造の小学校と体育館を側だけ作って内装は村の職人に任せようと思う。そういうセンスは皆無なのである。マインなクラフトで家を作ってもお豆腐ばかり建てているので。

 ブランコや鉄棒などの遊具も設置。

 後は村長に相談して決めよう。


「お前さんのやる事はいつも突拍子も無いのう」


 頭を抱える村長。白髪が渋い。

 髭は剃っているが伸ばしてもカッコイイと思う。


「とりあえず大工と孤児院運営出来る人材を探しといて。俺は孤児とか恵まれなかった子供達を連れて来るから」

「軽いのう……」

「それじゃ、よろしく!」


 転移で王都へ戻り、索敵マップの応用、孤児レーダーを作り、王都で孤児院に入っていない孤児と恵まれていない、虐待などを受けている子供を探す。


「結構居るなぁ……」


 緊急性の高い子から順に連れて行こう。


「いたい……さむい……おなか……すいた……」


 薬物中毒者の父親に虐待され、母親にも見捨てられた幼子がボロ布に包まって、今にも死に掛けていた。

 回復魔法で体を癒し、クリエイトフードで暖かいスープを飲ませる。


「あったかい……おにいちゃん、だれ?」

「通りすがりの魔法使いだ。君を攫いに来た」

「……ぼくをさらっても……おかねないよ……?」

「お金なんて要らないさ。君の未来が欲しいだけ」

「みらい?」

「自由で幸せな未来さ」

「みらい……」


 幼子を連れて転移で実家に移動。事情を話して保護してもらう。


「面倒は見てあげるからどんどん連れて来なさい!」


 ジェシー母さんは肝っ玉母さんである。


 虐待や捨て子、その他合わせて12人を保護した。

 虐待していた親から子供の記憶と生殖能力を魔法で消し、子供達からも親の記憶を消した。

 それが幸せに繋がるかは知らんが不幸になる事は無いと思う。

 一応、王都の孤児院にも連絡して話は通したので、俺が連続児童誘拐犯としてしょっ引かれるような事にはならない。

 孤児院が稼働したのはそれから一週間後のことである。さすが村長仕事が早い。



 孤児院を作って早一ヶ月。子供達は全員、笑顔で暮らしている。

 俺の思い付きで巻き込んだ村のみんなには感謝しかない。

 あと100人ぐらい連れて来ても大丈夫らしいので、そういう子が居れば連れて来よう。とりあえず王都周辺には居ないので別の国に行った時にでも探そうと思う。



「へぇー、孤児院作ったんだ。へぇー……」

「アマテ、顔近い、怖い」


 他愛ない世間話をする中、孤児院の話をし始めたら急に怒り出してしまった。


「私、ジュース君のお嫁さんだよね? 何で一言も言ってくれないのかな?」

「学生の本分は学業である」

「急に正論言ってもダメ!」

「ひはいれす、やめちくりー」


 ほっぺをつねられてしまった。


 アマテを孤児院に連れて行くと子供達に揉みくちゃにされ、俺はアマテを生贄に短距離転移、ショートジャンプで逃げた。


「一人で逃げるなんてずるいよ! 待ってよジュース君!」

「鬼さんこちら、手の鳴る方へ!」

「もー! どういう意味なのかな!? 何となく分かるけど!」


 怒ったアマテと鬼ごっこ状態になり子供達も続いて追いかけて来た。


「まてまてー! あはははっ!」

「きゃはは! まてー!」

「俺にタッチ出来た子にはお菓子をあげまーす! 召喚、駄菓子セット!」


 召喚魔法で色々な駄菓子が詰まったファンシーなバケツを召喚して頭上に掲げて子供達に見せびらかすと、テンションMAX上げで騒ぎ始めた。


「なにそれ!? なにそれ!?」

「ちょうだい! ちょうだい!」

「私も欲しい! アクセルブースト10倍!」


 アマテが本気出しやがった。

 大人げない……が、まだアマテは14歳、誕生日を迎えていないのでギリ未成年か。


「はい、タッチ! やったー!」

「あー、負けちゃったかー、しょうがない、このお菓子はアマテにあげるよ。……と言うことで今度はこのお姉ちゃんにタッチ出来た子にお菓子をあげまーす! よーい、どん!」

「え? え? わーわー!? みんな来ないでー!」


 はっはっはっ、大人げないことをするからじゃ!


 興奮した子供達から逃げ惑うアマテ。

 ゾンビもの映画でも見ているような光景だな。


 しばらくアマテと一緒に子供達と遊び、村の家に帰ってニーナの手料理をアマテと一緒に家族揃って食べた。

 そういえば、アマテってうちの親から見たら義理の娘になるのか……。

 あれ、てことは、ニーナにとっては義妹か?


 何だろう……、何か嫌な予感がしてならない……。


「ねぇ、アマテちゃん。この後、私の部屋で話さない?」

「いいですよ?」


 食後、ニーナの部屋にアマテが連れて行かれ、どんな話をするのか気になったものの、邪魔して怒られるのもあれなので、今夜は一人で寝ることにした。


 翌日、顔を赤らめたアマテがニーナの部屋から出てきた。


「お、おはようジュース君!」

「おはよう……ニーナに何か言われた?」

「ううん!? ニーナさんとは別に何もしてないから! 全然なにもないから!」


 ああ……ナニかされちゃったのか……。


「あ、おはようジュース。……うーん? うふふ、昨日のアマテちゃんすごく可愛かったわよ?」

「姉ちゃん……そっちの趣味もあったのかよ……」

「えー? なんの事かなー? 私はアマテちゃんと楽しくお喋りしただけだよ?」


 あぁ、これやったな。確実にやっちまったな。


「アマテ、はっきり言ってくれ、ニーナに何された?」

「え、うう、お話しただけだよ? それ以外は何も無いよ! 本当だからね!?」


 読心魔法はあまり使いたくなかったが仕方ない。


(えっちな事されたなんて絶対言えないよ!)


「エッチな事されてんじゃねーか!?」

「はうっ!?」


 ぐあああ、マジか、ニーナマジか! これはオシオキ案件ですわ。


「何よ? なんか文句でもあんの? エッチな事って言っても全身をマッサージしてあげただけだからね。ジュースに嫌われるような事、私がする訳無いでしょ?」

「何だよ……そうならそうと早く言ってくれ、心臓に悪いわ……」


 まぁ、マッサージぐらいなら問題無いか?

 にしても嫁に嫁を寝取られるとかシャレになんねーよ。マジで。


「あんたが今抱いてる感情、アマテちゃんとあんたが一緒に居る時に私が常に抱いてる感情だからね? 分かってる? アマテちゃんも、私とジュースが一緒に居る時に感じてるんだからちゃんとケアしなさいよ? とりあえず今夜は寝かさないから覚悟する事ね。あ、アマテちゃんも一緒にどう?」

「え? じゃ、じゃあ、お願いします……!」


 何も言い返せないっす……。

 そうだよな……嫉妬しない訳ないもんなぁ……。

 反省だわ……。


「でも、アマテとはまだ子作り出来ないからニーナともしないぞ」

「分かってるわよ。でも好きな人と触れ合いたいって思うのが自然でしょ? お尻とか挑戦しても良いんじゃないかしら? ほら、ジュースの魔法を使えばどうとでもなるでしょ?」


 何を言っているんだこのバカ姉は……頭おかしいわ。


「……ド変態な姉で申し訳ない……本当に申し訳ない……」

「大丈夫だよ! 私も結構変態だから!」


 それはなんの擁護にもなってないぞ、アマテ。


「じゃ、今日は一日、精の付くものをたくさん食べましょう」


 今夜は眠れそうにないな。



 その後、今朝言った通り三人で仲良く致しました。

 ニーナとアマテのコンビは凄まじく、俺が気絶するまで絞り尽くされ、気付いた時には二人でしていたので、これって寝取られた事になるのかな?


「やっぱりジュースにアマテちゃんは勿体無いわ。ねぇ、私のお嫁さんになってくれない?」

「え、っと……それも良いかも?」

「おい、やめろ。それは俺に効き過ぎる……」

「ま、ジュースの事も大好きだから、これからはちょくちょく三人でしましょ?」


 姉には一生勝てそうにないわ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る