第4話 新居と入学試験
街から王都まではもうすぐなので、王都での暮らしや学園の話などを特使さんから説明され、貴族やら何やらの話になった所でさっぱり分からんちん状態だったのでとりあえず学園生活をエンジョイする事に決めた。
王都に入ると流石と言うべきか、一々建物がでかいのなんのって家賃いくらですか? ってなもんよ。
とりあえず王都に住む選択は今のところ無いかな。金ばかり掛かって大変そうだわ。
「こちらがお二人が住まわれる家でございます」
何というか……掃除はし易そうな家だよね。
「入学試験は三日後になりますのでその頃、お迎えに参ります」
ふむ、なんか思ってたんと違う……というか試験ってなんぞ?
「寮とかで暮らすと思ってたけど違うんだね。あと試験って何?」
「あんた何も聞いてなかったのね……推薦入学って言っても試験に合格出来なきゃそのままトンボ帰りよ? ある程度は優遇してくれるって話だけどあんまり酷い点数は取らないことね。それと私達は夫婦なんだから寮で暮らすと周りの生徒に迷惑でしょ。その辺配慮してくれたのよ」
「あー、察し」
他の生徒を悶々とさせるのはさすがに悪いね。
「とりあえず中に入りましょ」
ボロ屋敷と言われてもしょうがないかなぐらいの内装。
しばらく使われていなかったのが伺える。
「クリーン、リストア」
魔法でチャチャッと新築同然の家に。
「ジュースが居ると本当楽だわ」
「ニーナも覚えれば良いじゃん」
「え、めんどくさい」
ダメな姉である。
美人だし、料理は美味いし、優しいし、物理的な戦闘力も高く、エッチも上手い、俺の可愛いお嫁さんなので特に文句とかは無い。あっても言ったらボコられるから言わない。
お風呂があったので旅の疲れを落としにニーナと一緒に入った。余計に疲れた。容赦無い。もしかしてうちの姉はサキュバスか何かなのでは?
そして三日後。
試験日が来るまでの間ニーナとイチャラブしまくり、回復魔法まで使って飽きるまでやり続けました。
人の欲望の深さを実感したよね。
「おはようございます。それでは参りましょう」
ニーナも試験を受けるみたいだが合格しても入学はしないらしい。
「部外者は親族でも見学出来ないって言われたから自分も試験を受ければジュースの事、近くで見れるでしょ? ま、私が合格出来ても魔法の勉強なんてめんどくさいから入学しないけどね」
姉バカ? 妻バカ? どっちもか。
ニーナが合格なんてありえないけど、もし仮に合格出来たら何かプレゼントでもしてあげるか。
試験会場に着くと大勢の人で溢れ返っていた。
人混みって苦手だなぁ。
「受験番号を呼ばれた方からご入場ください! 一番から十番までの番号の方ご入場ください!」
ここに来る間の馬車の中で、特使さんに渡されていた受験票には百八番と書かれていた。まだまだ先は長そうだ。
ちなみにニーナの番号は百九番、一緒に試験を受けられるようになっている。
親切な事で。
呼ばれるのを待っている間、手持ち無沙汰なので空中浮遊したり全属性ジャグリング、火や水の球体を回す技をしたり、無音花火魔法を打ち上げたり、近所迷惑にならない配慮です。カラフルなシャボン玉魔法を放ったりしながら暇を潰して受験生の緊張をほぐしてあげた。
受験生達は最初何が起こったのか訳が分からずポカーンとした表情だったのが、段々と笑顔になり、俺が何かする度に拍手喝采の大好評であった。
「君は間違い無く合格だッ!」
受験番号を呼ばれたので会場入りすると職員の方にそう太鼓判を押された。
受験内容は筆記と実技。
筆記テストは小学校低学年レベルの内容で、歴史、文化問題以外は難無く解けたと思う。
田舎村の出なもので、この国の歴史とか文化とかさっぱり分からん。
実技試験は射撃場のような、離れた場所からの攻撃魔法での的当て。
ホーミングレーザーで簡単に終わってしまってはつまらないので、的が壊れない程度に俺のオリジナル魔法、全属性エアガンを的の中心だけに当て、最後にソーラービームを照射して蒸発させてやった。
こういうのは見栄えが大事なんだ。
「夢でも見ているのか……?」
口をあんぐりと開けて呆然自失している試験官や一緒に試験を受けていた面々。
ニーナは誇らしげに胸を張ってドヤ顔をしている。姉バカである。
後日合格発表との事。
ちなみにニーナは筆記はある程度出来たらしいが的当ては投げナイフを使って壊していた。魔法使えよ。
そして合格発表当日。
当然だが俺は首席で合格。
ニーナも何故か合格していた。
魔法は使えなくても筆記が出来ていれば良いのか……?
まぁ、魔法を覚えるための学校だし、そんなものか。
ニーナが合格した時用に用意しておいた首飾りをプレゼント。
何故か泣き出してしまったので頭を撫で撫で。
落ち着いたところで転移で実家に帰宅し、無事に合格した事を報告。
両親と一緒に豪勢な食事で祝った。
そんでもって入学式当日。
首席は壇上で挨拶しなければいけない事を今知ったので、「入学試験ぬるかったです」とか「この学園に学べることなんてあるんすかね?」とかつい口に出してしまい一部教職員や貴族っぽい生徒達や保護者にめっちゃ睨まれましたとさ。
事前に知ってたら当たり障りの無い事を手紙に書くわい。
話を聞いていなかった俺が悪いのは分かってる。
「もう! なんであんな事言うの! お姉ちゃん恥ずかしい!」
「つい言ってしまったんや。反省はしている」
好き勝手生きると決めてはいるが失言などは今後、しっかりと気を付けていきたいと思う。
下手な事言って、無駄に敵を増やすこともないでしょ。
学園生活をエンジョイ出来るかどうかは怪しくなってしまったが、まあ、なんとかなるはず。
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