第1話「夢の果て①」

 風を切って走る。

 視界に入った、木々が、草花が、一瞬のうちに背後に消えていく。一歩地面を踏みしめた次の瞬間、羽でも生えているかのような軽やかさで、この肉体は空を舞う。身体が軽い。自分が自分でなくなったかのようだ。


 ――自分?


 ふと、頭をよぎる疑問。


 ――自分とはなんだ?


 浮かび上がった疑問は、まるで高温で熱せられた水のように一気に膨れ上がる。


 ――俺は何だ?


 自分が何者かわからない。自身がそんな奇態な事態に陥っていることを自覚する。

 だが、


 ――それは些末事だ。


 今、自分はかつてない力で地を蹴り、感じたこともない速さで空を切り裂いている。

 それ以上の何かが、果たして本当に必要だろうか。

 こうして、彼は考えることをやめた。


 ――それが悲劇につながるということも知らずに。




「スバル」


 聞きなれた声に振り向く。

 そこに居たのは一人の少女。

 稲穂のような金の髪、空の果てのような青い瞳。眉はきちんと整えられ、頬は柔らかな曲線を描いている。生地の良い上等な真っ白なブラウスに、ワインレッドのフレアスカート。いかにも、育ちの良い、気品のある娘といった風貌だ。


「……マイ」


 マイはこの村を治める領主の娘だ。ゆえに、平民であるスバルとは身分が違う。だが、マイはそんな身分の差を笠に着ることもなく、スバルに接する。だから、スバルにとっても、マイは領主の娘というよりは、ただの幼馴染という感覚だった。


「今日も、剣を振っていたのですね」


 周囲を木々で囲まれた森の奥。ここがスバルの秘密の特訓場所だった。

 マイは優しい微笑みを浮かべながら、こちらに近づいてきた。

 スバルは彼女に向かって言う。


「ああ……一日でも休むと勘が鈍るからな」


 スバルは握った木刀に目を落とす。幼いときから毎日振っている木刀。これは一体何代目の木刀だっただろうか。十本目までは数えていたが、それ以上はもう覚えてはいない。

 改めて木刀を握る。手の内に固い武骨な木の感触が返ってくる。その木刀をそっと振りかぶる。

 呼吸を整え、次の瞬間、勢いよく振り下ろす。

 鋭い風切り音。

 風を切る感触が木刀を通じて伝わる。

 スバルは誰かに剣を習ったことはない。ゆえに難しい剣術や戦場での立ち回りというものは何も知らない。

 だから、彼にできたことは、毎日愚直に剣を振ることだけだった。

 自分には自慢できるものは何もない。学もなければ、身分も低い。家だって貧乏だ。だから、せめてひたむきに努力しよう。そう考え、毎日、剣を振り続けた。

 そんな彼の様子を幼い頃からずっと見ていたマイは、晴れ渡る空を見つめているような表情で言う。


「スバルなら、もしかしたら、本当に騎士になれるかもしれませんね」

「……かもしれない、では困る。俺は騎士になると決めているのだから」


 騎士。

 それは、男ならば誰もが憧れる花形の職。

 王国の平穏を守るために日夜鍛錬を積み、いざ戦場に立てば勇猛果敢に剣を振るう。王国と国民を守るためならば、命も惜しまず戦う。それが、騎士という存在だった。


「身分が低くとも、騎士になれる可能性がある。それがこの国の良いところだ」


 騎士とは本来、王国を守る兵士の中でも選りすぐられたエリートのことを指す。騎士という身分ができるまでは、平民は戦場でどれだけの武功を上げようとも、出世することは叶わなかった。

 だが、およそ十年前、スバルたちの住む王国、アルエスタは平民を準貴族の身分である騎士に取り立てると宣言した。

 アルエスタは、隣国のハルという国とおよそ四十年にも渡る戦争を続けている。その戦の中でアルエスタは徐々に疲弊していた。流れの傭兵を雇っても、追いつかないくらいに兵士の人手は足りなくなっていたのだ。

 そのため、平民を取り立てる機会を与えると宣言することで、彼らの士気高揚を図ろうとしたのである。

 とはいえ、騎士への道が狭き門であることは間違いない。

 勇猛果敢にして品行方正。博学多才にして無偏無私。どこに出しても恥ずかしくない有徳の士。それが騎士に登用される最低条件だった。


「……騎士にさえなれれば、下級ながら貴族としての身分が得られる」


 スバルは平民で、彼女は貴族。

 二人の間には大きな壁が立ちふさがっている。

 スバルは横目でちらりと彼女に目をやる。二人の視線が絡み合い、マイは彼を見て、ふわりと笑った。

 そして、マイは一歩前に踏み出し、額をこつんとスバルの胸に当てる。彼女の長く美しい金の髪がするりと脇に落ちた。触れた彼女の額から、温もりが伝わる。スバルの胸に暖かな感情が満ちる。


「……待ってるね」

「……ああ」


 高く険しい壁を乗り越えるためには、あまりにか細い糸。だが、それでも、その糸を信じて、登るしかない。

 スバルはそっと天を仰ぐ。

 青く晴れ渡る空が優しく二人を見下ろしていた。




「——ル……スバル……」


 声が聞こえる。

 自分の名を呼ぶささやきは、自分がもたれている生垣の向こうから聞こえていた。


「……ああ、悪い。また眠ってしまっていたようだ……」

「ふふ、スバルって私の笛の音を聞いたら、すぐ寝てしまいますね」

「それだけ心地が良い演奏なんだ」

「じゃあ、次の曲は――」


 笛の音が聞こえ始めた。

 高山の草花の間を駆け抜ける清風のような優しい調べ。その音は耳朶を叩き、胸の内にある大切な何かをそっと撫でる。スバルは音楽の心得がない。だから、その笛の音が一体どれだけの技量で奏でられているのか、それはわからない。だが、心の芯を揺さぶるようなその旋律は、他の何物にも変えがたいものだ。

 一つの曲を終えて、笛の音が止む。

 スバルは生垣の外で、小さく拍手をする。


「どうでしたか? 私の演奏」


 すると、生垣の内側からそんな声が聞こえる。マイの声だ。


「……悪くない」


 自分には学がない。彼女の腕前を褒める良き言葉を見つけることは困難だ。だから、飾らない素直な自分の想いを吐露することにする。


「……俺はこの曲が好きだ」


「ふふ、ありがとう」


 空には月と一面の星。マイの住む屋敷に灯る明かりがなければ、辺りは闇に包まれてしまうだろう。

 生垣越しだから、お互いの顔は見えない。生垣を乗り越えれば、彼女と顔を合わせることは叶うだろうが、そうすることで余計な騒動が起こさない方が無難だろう。マイの両親は、ただでさえ平民であるスバルと貴族のマイが一緒に居ることに良い顔をしていない。夜にこっそりと会っていることが露見すれば、大目玉を食らうことは目に見えている。

 お互い顔も合わせず、背中越しに話を続ける。


「私たちが初めて出会ったのもこの場所でしたね」


 マイは昔を懐かしむときの独特の声音でそう言った。


「……そうだったな」


 スバルが森に入り、屋敷の近くに迷い込んだとき。ふと、生垣の向こうから笛の音がした。スバルはそれに聞き入ってしまった。思わず拍手をした結果、彼女は生け垣から身を乗り出して、こちらを見た。それからだ。二人の付き合いが始まったのは。


「もう九年にもなるのですね」


 出会ったときはお互い五歳だったから、十四になった今なら確かに九年ということになる。

 九年の間にマイは変わった。貴族の娘としてお淑やかな言葉を使うように言われ、少し口調が改まったものになった。身のこなしや所作の端々に高貴なるものとしての意識が垣間見えるようになった。そして、何より綺麗になった。


「私はもうすぐ、十五歳」

「………………」

「十五と言えば、もう結婚も可能な歳です」


 生垣越しの彼女がどんな顔をして話しているのか。それがわからないことがもどかしかった。

 ――ほんの一瞬。

 ほんの一瞬の空白が二人の間に満ちた。だが、それは気まずさを伴うそれではない。次の瞬間へ進むために必要な手順。この刹那の沈黙は、前に進むために確かに必要な時間だった。


「ねえ、スバル」


 なぜだか、スバルには彼女の言葉の先が見えた。

 マイは初めて出会ったころのような砕けた口調で言った。


「——私をスバルのお嫁さんにしてくれる?」


 身が震えた。

 表情は見えない。だけど、彼女がどんな顔をしているのか。それは容易に想像がついた。

 何気ない調子を装っているが、彼女の言葉の端は震えていた。怖いのだ。それは何に対する恐怖なのだろう。

 拒絶への恐怖?

 未来への恐怖?

 それがなんであったとしても、自分はそれをまっすぐに受け止めなくてはならない。

 だから、言う。


「――ああ、任せろ」


 スバルは一層に強く拳を握りしめる。


「必ず騎士になって迎えに行く。それまで待っててくれ」


「……うん。待ってる」


 月光の下、二人は顔を合わせることもなく、確かに将来を誓った。




「困るんだよな、君」


 その帰り道のことだった。

 道なき森を抜け、街道に合流した瞬間、スバルの前に立ちはだかる人影。

 男が立っている。大仰な装飾で彩られたコートを羽織り、立派な口ひげを生やした紳士然とした風貌。その後ろには、若い男も控えている。


「……領主様」


 口ひげを蓄えたその男はこの村の領主。すなわち、マイの父親だった。後ろに控えているのは、その護衛だろう。


「また、うちの娘とこっそりと会っていただろう」


 スバルは思わず顔をしかめる。自分たちの密会がバレていたことにバツの悪さを感じたのだ。


「前にも言ったことがあるが、うちの娘との交流には大いなる節度を持ってもらいたい」


 領主は憮然とした態度を崩さずに言う。


「もちろん、領主の娘として領民の言葉に耳を傾けるのも大切だ。だが、それはあくまで一領民と領主という関係性の中で――」


「……何をおっしゃりたいのですか?」


 説教じみた言い回しに思わず、彼の言葉に口を挟んでしまう。


「貴様、領主様のお言葉を遮るなど……!」


 護衛の男は腰に下げていた剣に手を伸ばす。


「まあ、待て。子供だ」


 領主は護衛の男を片手で制する。

 そして、改めてスバルに向き直り、真剣な面差しで言う。


「では、単刀直入に言おう。マイには許嫁がいる」

「……!」


 許嫁……すなわち、定められた結婚相手。

 マイに、そんな人が?

 そんな話は一度も聞いたことがなかった。


「何、平民の君は知らないかもしれないが、貴族の世界ではこれがむしろ標準だ。決して珍しい話ではない」


 混乱するスバルに向かって領主は続ける。


「だから、もうあの娘に付きまとうのはやめてくれないか。今までは子供と思って見逃してきたが、あの子もう十四。明後日の誕生日を迎えれば、あの娘は十五になる。もう子供ではなく、間違いがないとは言えない歳だ」


 領主はスバルの肩にそっと手を置く。


「君が騎士になり、身分を得ようとしていることは知っている。だが、たとえ、君が本当に騎士になれたとしても、あの娘と一緒になれることはない。だから、諦めなさい。これは君のためにも言っているんだ」


 スバルは震える拳をただ黙って握りしめている他なかった。




 剣を振る。

 ただひたすら愚直に、ただひたすら正確に。

 ぶれもなく、乱れもなく、自分の意のままに剣を振るう。

 そうして、剣を振っている間だけは、嫌な現実から目を背けることができた。辛い未来に焦点を合わせずに済んだ。だから、ただ、黙って剣を振るい続ける。


「スバル……!」


 振り返ると、マイが立っていた。

 息を切らし、膝に手をついている。ここまで走ってきたのだろうか。


「どうしたんだ……」


 なぜ走ってやってくる必要があったのだろうか。

 マイは、なぜかもじもじと気まずそうな表情でこちらを見たまま、何も言おうとしない。

 スバルはそんな彼女の様子を見て、察する。


「……父親に何か言われたのか?」

「………………」


 彼女の沈黙と沈痛な面持ちが答えだった。


「何を言われた?」


 スバルは彼女の言葉を促す。

 すると、ようやく彼女は口を開いた。


「……明日、許嫁と会ってもらうって」

「明日……?」


 予想はしていたことだったが、随分と急な話だった。


「たぶん、明日が私の誕生日だから……」

「………………」


 昨日の彼女の父の言葉を思い出す。おそらく、彼はスバルを警戒している。だから、きっと予定を早めているのだろう。

 黙り込んだ彼女の代わりに、スバルが口を開く。


「——騎士になっても無駄だそうだ」

「え……」

「たとえ、騎士になれたとしても、俺とおまえの関係を許すことはない。おまえの父にそう言われた」

「……そんな」


 彼女はもう見ていられないくらい痛ましい表情をしていた。スバルは思わず、彼女から目を逸らす。

 自分の中でぐるぐると様々な感情が渦巻いていた。

 これほど、胸中をかき乱されたのは、一体いつ以来だろうか。

 どれだけ、鎮めようとしても、この高ぶりは収まりそうになかった。


「すまない……少し時間をくれ。俺も色々と考えたい」


 そう言って、スバルはその場を後にした。




 スバルは怒っていた。

 自分たちの仲を認めない彼女の父に。

 身分というものを作り出したこの世界に。

 そして、何より――何もできない自分自身に。


「………………」


 騎士になりたいという気持ちに嘘はない。そのはずだった。

 だが、たとえ騎士の身分を得たところで彼女と一緒になることはできないという事実を突きつけられたときに、ふと気が付いてしまったのだ。

 騎士になりたいという気持ちも、一種の逃避だったのではないか、と。

 自分は本当に、騎士にさえなれば、彼女と一緒になれると信じていたのだろうか?

 いくら平民で学のない身とはいえ、貴族の慣習くらいは知っている。この国では、貴族は子息の婚姻関係を結ぶことで、家同士の関係を強化する。いわゆる政略結婚をするというのが半ば暗黙の了解となっている。それくらいは解っていたことだった。

 つまり、仮に自分が騎士となり、貴族の叙勲を得たところで彼女の父が自分たちの関係を認めるはずがないことは明らかだったはずなのだ。

 だが、自分はその可能性から、ずっと目を背け続けた。

 騎士にさえなればいい。

 ただ、それだけを考え、ひたすら剣だけを振っていた。

 それは、きっとその方が楽だったから。

 ――彼女を盗み出して地の果てまで逃げるという選択肢よりずっと。

 自分には覚悟が足りなかった。

 彼女の想いに応えると言いながら、その実、本当に必要なことから目を逸らし続けていたのだ。

 そんな自分の弱さが、情けなくて、腹立たしかった。




 ――彼女を盗み出す。

 そのためには、覚悟を決めなくてはならない。

 自分の運命と向き合う覚悟だ。

 貴族の娘をかどわかすということは、単なる駆け落ちとはわけが違う。捕まれば間違いなく牢屋行き。悪くすれば首を刎ねられるやもしれない。これには、文字通り命がけの覚悟が必要だ。

 少なくとも、今の生活に戻ることは叶わない。

 これまで自分を育ててくれた父母にも多大な迷惑をかけることになる。

 ——それでもやるのか?


「………………」


 決断せねばならないときはすぐ目の前まで迫っている。一度、許嫁と顔合わせをすれば、後は婚姻の儀まで、そう時間は残されてはいないだろう。もしかすると、明日にも、正式に二人は婚約関係となる可能性もある。そうなれば、逃げる際の追手に婚約者側の人間も加わることになり、より逃走は困難になる。


「……やはり、やるなら今日しかない」


 彼女の父もさすがに今日いきなり行動に移すことは予想していないだろう。昨日、わざわざ平民である自分に領主自ら声かけをしたように、彼にはどこか非情になり切れていない部分がある。今日ならその油断の隙を突けるかもしれない。


「………………」


 部屋の隅に置いてあるもの。

 ずしりとした重みのあるそれに手を伸ばす。

 それは真剣だった。

 騎士を目指す自分に両親が買い与えたものだった。決して上等のものとは言えない。だが、貧しい農家でしかない我が家にとっては、安くない買い物だ。自分はいつかこれを腰に下げ、戦場に出るのだ。そんなことを夢想していた。

 だが、彼女を連れて逃げるのならば、そんな夢は捨てなくてはならない。

 剣の柄を壊れそうなくらいに強く握りしめる。


「ごめん……父さん……母さん」


 そして、スバルは家を飛び出した。




 スバルはマイの居る屋敷を目指し、道なき道を駆ける。

 屋敷の正面には開かれた道があるが、そこを進めば、屋敷からスバルの姿は丸見えだ。ゆえに、スバルは人目に付きにくい森の中を進むことにしたのだ。

 屋敷まで後、数分の距離まで来たとき、それは起こった。


「……?」


 ——誰かが居る。

 何者かの気配を感じ取り、スバルは思わず木の陰に身を隠す。そして、首だけを出して、そっと様子を伺う。

(こちらの行動がばれていたのか?)

 まず考えたことは、こちらの行動を読まれていたのかということ。スバルが屋敷に近づくことを警戒し、配備された人員ではないかと考えたのだ。

 だが、様子がおかしい。

(倒れている……?)

 その人物は、大木に力なく背中を預けている。居眠りしているという感じでもない。その様子は、明らかに力を失ったもののそれだ。

 慎重に様子を伺う。


「怪我をしているのか……?」


 よく見ると、その男の腹部は血塗れだった。

 スバルは思わず駆け寄る。


「おい、どうした? 大丈夫か?」


 声をかけるが反応はない。


「……死んでいるのか?」


 恐る恐る倒れている男に向かって歩を進める。

 頭を覆う兜に、胴の部分が破損した鎧。腰には剣帯が巻かれている。男の格好は、兵士のそれだった。


「……戦場からの脱走兵か何かか」


 アルエスタとハルの国は今も戦争を続けている。ゆえに、このような敗残兵が村に紛れ込むことはありえない話ではない。


「………………」


 この男は自分の未来の姿かもしれない。

 ふと、そんな考えが頭をよぎる。

 自分もともすれば、この男のように野山で野垂れ死ぬかもしれない。そういう可能性がある選択を、今自分はしようとしているのだ。


「……本当は葬ってやるべきなのかもしれんが」


 今の自分には時間がない。可哀そうだとは思うが、このまま放置していく他ない。


「せめて、祈ろう……」


 この世界を造ったという神、ロセウスに祈る。この男をどうか死後の楽園に導いてやってくれ、と。

 そのときだった。

 瞬間――


「?!」


 圧倒的な悪寒が自分の身に走る。

 ——まずい、早くここから離れないと

 それは虫の知らせとでも呼ぶ他ないだろう。明確な理由は解らない。だが、理性ではなく、本能でスバルはその場を離脱することを選択した。

 ——だが、その選択はあまりに遅すぎた。

 男の遺体から溢れ出すどす黒い何か。真っ黒い煙のようなそれは、あたかも意志を持っているかのような勢いで自分に向かって迫ってきて――


(マイ……!)


 そこでスバルの意識は途切れた。

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