第44話
「いやいや、お前が無理矢理……」
「そ、そんな事するはずないでしょ!」
「わっ! 馬鹿! やめろ!!」
私は悠人にお湯を掛けながらそう言う。
私がそんな事をするはずなんて絶対ない。
そういうことをするのは絶対に悠人の方だ。
「何すんだよ!」
「キャッ! ちょっと! お湯掛けないでよ!」
「先にやったのはお前だろ……」
「うるさいわね、細かい事気にする男はモテないわよ!」
「細かくねーし……てか最近モテ期来てる気がするし」
「フン!!」
「ぶふっ! ばが! ばべろ!!」
私は悠人の頭を掴んで、お湯の中に沈める。
悠人の奴……告白されたくらいで調子に乗って……アンタが好きなのは私でしょ!
「ばぶぶぶ!! ばばが!!」
「あっ! ヤバイ……」
「ぶはっ!! げほっ! げほっ!! 殺すきか!!」
「ごめんごめん、ちょっとムカついて……」
「ムカついたからって殺そうとするな!!」
ちょっとやり過ぎてしまった……。
そ、それよりも……夢中で気がつかなかったけど……ち、近いわね……な、なんか色々見られてる気がする。
私はさっと体を手で隠す。
「な、何見てるのよ!」
「み、見てねーし!! お前の裸なんて微塵も興味ねーし!!」
は? この私の裸に興味がない?
こいつちゃんと付いてるの?
私の裸よ! お金を出しても見たいって言う変態が居るくらい価値のある肌よ!
嘘でもなんかムカつくわね……。
「ふぅ~ん……本当に興味ないのね……」
「も、もちろんだ……」
「じゃあ、こんな事しても平気よね?」
「お、おまっ!! 来るな!!」
私は悠人の方に近づき、悠人の体に自分の体をくっつける。
ヤバイ……結構これ恥ずかしい……でも、あんな事を言われて黙ってるのもなんか嫌だし……。
「ほ、ほら……別にこれでも平気なんでしょ?」
「ば、ばかっ! やめろ! 離せ!!」
「えぇ~なんでよぉ~別に大丈夫なんでしょぉ~?」
「お、お前なぁ……女なんだから慎みをだなぁ……」
「偉そうな事言いながら、鼻血だすのやめてくれる?」
「え? あ……ヤバイ……頭がぼーっと……」
「え? な、なに!?」
悠人はそう言うと、顔を赤くして鼻血を出してそのまま倒れてしまった。
「ちょっ! ちょっと悠人! 悠人!」
ヤバイ……やり過ぎてしまった……。
私は上せた悠人をお湯から引き釣り出し、浴槽の外に寝かせる。
「あ、タオル……って……えっと……こ、これって……」
悠人を浴槽から引き上げた際、悠人が腰に巻いていたタオルが取れてしまった。
そして今現在、私は悠人の股間に目が行ってしまっている。
は、始めて生で見た……。
「け、結構……大きいのね……」
まぁ、でもこんなところを見られたら色々と誤解されそうなので、私は悠人の股間にタオルを被せる。
「もぉ! なんで私がこんな……」
まぁ、でもちょっと特したかも……って、こんな事考えるなんて!
私痴女みたいじゃない!!
「はぁ……ほんと……この馬鹿の事になるとおかしくなっちゃうわ……」
私はそんな事を言いながら悠人の顔を見る。
まだ顔は赤い、早く涼しいところに連れて行かないと……。
「アーネ! どこかに居るんでしょ! 早くドアを開けて!!」
私がそう言うと、お風呂場のドアが開き、バスタオル姿のアーネが風呂場に入ってきた。
「あらあら、一体何をしていたの? 裸の男女がお風呂場で……」
「どうせ見てたんでしょ? 早く悠人運ぶの手伝ってよ」
「分かったわ、でも気を失った男性の股間を凝視するのは……ちょっと……」
「う、うるさいわね!! 見たことなかったのよ!!」
「でも……まるで……」
「あぁぁぁ! 聞こえない聞こえなーい!!」
私は大声でそう叫び、恥ずかしさをごまかす。
はぁ……なんであんな事をしちゃったんだろ……。
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