第45話
*
「う、うーん……」
目を覚ますと、そこは風呂場では無かった。
「ここは……」
俺は起き上がり、周りを見渡す。
見覚えがあるような無いような……そうだ、ここはユートに最初に通された部屋だ。
どうやら風呂場で気を失った俺は、この部屋に運ばれたらしい。
「はぁ……参ったな……」
彩の肌を見て興奮して倒れるなんて……まぁ、あの状況じゃ仕方ないか……。
俺はため息を吐きながら、布団をめくり立ち上がる。 そして気がつく、自分が全裸であることに……。
「………キャァァァ!!」
なんて叫んでは見たものの周りには誰も居ないしまぁ良いか……。
ん? それよりも待てよ……一体誰が全裸の俺をここまで運んだんだ?
あの場所に居たのは彩だけだし……ってもしかして……。
「いやぁぁぁぁぁ!!」
俺は色々と深く考え過ぎてしまい、思わず声を上げる。
いや……まさかな……流石にユートが運んだだろ……俺全裸だったし……。
「とにかく服は……ってこれか?」
服は無いかと探すと、ベッドの直ぐ側に服が置いてあった。
デザイン的にこちらの世界の物だろう。
ゲームとかに出てくる村人A見たいな服装だ。
「あ、目が冷めた?」
「ユート……俺が寝てから何時間経った?」
「一時間くらいかな?」
「ちなみに俺をここまで俺を運んだのは?」
「僕だよ」
「それはどうも……服もありがとな」
「その方がこの世界では目立たないと思ってね、今日はもう休むと良いよ、疲れたろ? 寝室を用意したから」
「寝室? ここじゃないのか?」
「あぁ、ここは客間だからね、二階の奥の部屋だよ」
「そうか……ならもう休ませてもらうよ……マジで色々と疲れたからな……お前のせいで!」
「彩ちゃんとお風呂に入れて嬉しかったろ?」
「ありがた迷惑だよ! あぁいうのは今度からやめろよな!」
「わかったよ、分かったから今日は早く寝た方が良い」
「言われなくても、じゃあお休み」
「あぁ……まぁ……ごゆっくり」
俺はユートにそう言うと二階の奥の部屋に向かった。
「たく……寝かせるなら寝室に寝かせろよ……」
俺はそんな事を思いながら、部屋のドアを開ける。
「あぁ……疲れた」
俺は伸びをしながらベッドの脇まで歩き、そのままベッドに倒れ込む。
あぁ………疲れたぁ~後はゆっくり……。
むにゅ。
「ん? むにゅ?」
「きゃっ! ちょっと何!?」
「あ、彩!?」
「ゆ、悠人!? ど、どこ触ってんのよ!!」
「ぶふっ!!」
ベッドにダイブした俺を待っていたのは、寝間着姿の彩だった。
彩は俺と目を合わせるなり、俺の右頬にストレートをお見舞いしてきた。
「な、何よ夜這い!? この変態! アイドルオタク!」
「ち、違うんだ彩! これはユートに言われて……」
俺はそこで先ほどの悠人の様子を思い出す。
寝る場所は別だったし、やたらと俺に今日はもう休むように言ったのはこの為か……。
「ってことは……」
俺は確認の為に部屋のドアに手を掛ける。
「やっぱりか……」
「何がやっぱりよ! さっさと出て行ってよ!」
「出て行けるなら直ぐに出て行くさ……でも見てみろ」
「な、何よ……ま、まさか……」
「あぁ……また開かなくなった」
はぁ……またしてもユートに騙されてしまった。
あいつはなんとしてでも俺と彩をくっつけたいらしい……。
「はぁ……とりあえずベッド半分貸して」
「し、仕方ないわね……ま、まぁ非常事態だし……良いわよ」
風呂の次は今度はベッドか……。
俺は彩が向いている方向とは反対を向き、ベッドの端に横になった。
「……」
「……」
「……」
「……ねぇ……」
「……なんだよ」
「もっとこっち来れば? そんな隅っこで眠れるの?」
行けるかっつの……。
好きな子と風呂の次はベッドで二人きり……こんな状況、誠実な俺で無くても男子高校生なら色々と意識してしまう。
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