第三話 やっちゃん先生

新学期のせいでみんなうきうき気分が未だ止まらないらしい、

二年A組担任が来ても、みんなの口は止まらないようだ。隣の彼女も相も変わらず、笑顔で大勢の人と話している。そんなになれ合いをしてどうなるのだろうというくらい。

(バカバカしいな、)

とそんなことを思っている矢先、

「み、みんな、静かにしてください。」

担任ことやっちゃん先生がおどおどした声でやっとのこと話し始めた。

おそらくその声僕にしか届いてない、と思ったがもう一人いたようだ、

彼女だ。彼女はおしゃべりをやめ、

「みんなーやっちゃん先生が静かにだってー。」

彼女はクラス中に響き渡る声で声をかけだした。

彼女が声を出した瞬間

他の奴らが顔を見合わせながら

「そうだな、静かにしねえとな」

「うんうん」

「ごめーん、やっちゃん先生-!」

などという言葉が飛び交う。

やっちゃん先生は今にも泣きだしそうな声で、朝倉さんありがとう。と細々と話す。

「あーもう。先生男なんだからー泣かないでくださいよ」

と彼女はおどけたように笑いながら返す。

やっちゃん先生は、おどおどした様子から

腕を前に構えて

「そうだよね!、よっしがんばります!」

と勢いよく言って見せた。

(あざといってまさにこのことだよな、、この人ほんとは女じゃねえの?、、)

僕はそんなやっちゃん先生を冷たい目で見る。

周りの奴らがどっと笑い

「がんばれー!」「やっちゃん先生いけめっーん」

と野次馬どもが喚く。

(、またうるさくなった、、)

僕は、ため息交じりにまた本に身をよせた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る