第2話 話しかけるな
席に座ると自宅から拝借した本を開けた。(ああ。早く終わってくれ。)
ただそれだけを考えていた。すると、コンコンと僕の机をたたく音がした。
僕はハッと本を閉じ、とろんとしていた目を見開き音のなる方へ視線を向ける。
「さっきは、ほんとにごめんね。」と顔の前に手を合わせて謝っている彼女だった。
「ああ。別に気にしてないよ」そう言って、ニコッとわざとらしい笑顔を返す。
(ほんと、大迷惑、)
「よかったー。」そう言った彼女はほっとした顔をした。そして、笑顔に戻る。
(単純な性格だ。こういうのが嫌いなんだ)きっと僕は苦笑いだったのだろう。
「あ、あのさ」彼女は戸惑ったような顔して僕に聞いてきた。
「私、朝倉優っていうの。あ、あなたは?」
ああ。来た、めんどくさい自己紹介だ。、。
「僕は、黒井和人。よろしく。」そう言うと彼女は眼を輝かせた。
「うん!よろしくね。かずっち?」
(なぜ、下の名前で、かずっちなんだ。。馴れ馴れしいんだよ)
「こちらこそよろしく。朝倉さん」僕は心にもない笑顔でそう返した。
「朝倉さん!?」彼女は驚いた顔をしている。
なにに、驚いているんだろうか。
「さん付けなんておかっしー」彼女はけらけら大声で笑っている。
ああ。そういう事か。彼女の笑い声に気づいた、周りの奴らがどうしたのーっと彼女に聞いている。
「いやあ、隣の席のかずっちがさ。さん付けで私のこと呼ぶからさ、おかしくて」
彼女は大声でそいつらにつたえる。
「あはっは、やばーい。」「ありえねえー」と下品な声で笑っている。
(よくそんな汚い声で笑えるな。、)僕は閉じていた本を開きまた読み始めた。
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