これは、僕と私の物語

個性

第1話

 ーある人が言っていた。お前はいらない存在だと。

 高校二年生春 新学期。まためんどくさい日々が始まる。バスに揺られながらそんなくだらないことを考えていた。窓から見える移り行く景色を放心状態でただ見つめていた。

「次は~桜高校前~」アナウンスが頭上を横切る。はあ、押さないとな。

そう思い、ボタンに手を伸ばしたが「ピンポーン」の音ともにボタンが点灯した。

(嗚呼。全くめんどくさい…。まあ、あとは降りるだけか。)

僕は、ゆっくりとポケットから整理券と現金を出し席から立ち上がった。それと同時にバスが停車する。

(よし、降りるか。)足を踏み出した瞬間だった。女性にぶつかった。

(あ、やばい。謝らないとか。)僕はとっさに口を開けた。

「す、すみません。」震えた小声でぶつかった人に謝る。

「え?あ、大丈夫ですよ」ニコッと笑顔で僕に視線を向け、女性は降りて行った。

(…。優しい人でよかった。ほんと怒られるのはもっぱらごめんだ。)

僕もその女性に続きバスから降りた。 

 歩きだすと、登校する生徒がちらほら見えてくる。新学期だからかみんなやけに楽しそうだ。掲示板を見て、キャーキャー騒いでるやつらもいれば、うわあっと声を上げている奴もいる。まあ僕には興味のないことだな。クラス替えとか必要ない。何より学校になんてものに行きたくもない。必要性が感じられない。この学校に用なんてない。浮かれてるやつらを横目に新しいクラスを確認した。(二年A組か、一体、クラスというものは何の需要があるんだろうか。)僕はそそくさと新しいクラスへ向かった。

 教室へ入ると、しゃべっている奴もいれば集まって騒いでいる奴もいた。うるさい奴らだ。意味が分からない。何がそんなに楽しいのだろうか。僕はあきれながら自分の席に座ろうと黒板を見る。(廊下側の一番最後尾か。悪くない位置だな。)内心嬉しいのを隠し、自分の席に行こうと思って席を見た。(最悪だ、)僕の席に小柄な女子が座りたくさんの友達に囲まれていた。

(とりあえず、あの人に間違いを教えるほかないのか。めんどくさいなあ。)

憂鬱な気分で、その人の席の(僕の席の)近くへ行った。周りの騒いでいたやつらが気付いたのか。小柄な女子に小声で「ねえ、」っと声をかけた 。

彼女が話をやめ僕のほうへ体を動かす。

「なになに?告白?」とその小柄な女子は笑いながら僕に声をかけた。周りの奴らが二やついている。

「あ、いや、その席僕の席なんだけど。」となるべく笑いながら彼女に視線を向ける。

「え。あ、ほんとだ!ごめん!」そう言って、急いでカバンを取り隣の席に移っていった。

周りの奴らが「ドジだなあ」「だっせー」とけらけら笑っている。

「へへ、やちまったぜ。」とニコニコと笑いながら彼女は周りの奴らに照れて見せていた。

(この手の人間は、嫌いだ。)僕はなるべく笑顔を絶やさずに座った。

    

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