第115話 医科大学へ行こう(後編)

 ユリカ:ホッホ〜イ、ユリカだよん♪皆んな健康に気ぃ使ってる?身体の謎を解くべく医科大学へ行く事になったネネちん。はてさて、どんな秘密が隠されてんだろうねぇ。


 魔界時間20:31 帝王都サタンヘイルダム 学術特区リバイアス国際医科大学


 テリー:お待ちしておりました女帝陛下、異種族医学部教授のテリー・ゲノムスです。


 ネネ:今日は宜しくね〜♪


 テリー:早速ですが、遺伝子の構造を調べますので髪の毛を1本頂きます。それとご両親の髪の毛はお持ちくださいましたでしょうか?


 髪の毛を1本抜き取り両親の髪の毛と一緒に渡す


 テリー:確かに、では少しお時間をください。その間、DRIで身体の構造の詳細を解析しますので助教授の指示に従ってください。


 ユリカ:DRIってのは次元共鳴画像診断装置の略称でね、早い話しがMRI、磁気共鳴画像診断装置の進化版ってやつだねい。


 助教授:こちらへ。


 ネネ:はいよ〜。


『遺伝子解析室』


 テリー:ふ〜む、こうして見るとどこにでもあるごく普通のサキュバス族の遺伝子だな。ナビ、最大まで拡大させてみてくれ。


 ナビシステム:承知しました。


 目を凝らして確認するとある違いに気付く


 テリー:ん?何だこれは?ナビ、一般のサキュバス族の遺伝子の映像を見せてくれ。


 ナビシステム:少々お待ちください。


 一般のサキュバス族の遺伝子映像が映る


 テリー:今度は先程の女帝陛下の拡大部分と同じ箇所を同じだけ拡大させてくれ。 


 ナビシステム:承知しました。


 一般のサキュバス族の遺伝子映像と見比べる


 テリー:やはりそうだ、遺伝子情報の根幹こんかんに関わる部分が一般のサキュバス族のものとは明らかに違う。ナビ、女帝陛下のご両親の遺伝子映像を出してくれ。


 ナビシステム:はい。


 ネネの両親の遺伝子映像が拡大させて映し出される


 テリー:お父上の方はオーケストル帝国皇帝陛下のものだな、こっちは拡大させても何の変哲も無いものだ。さて、お母上の方か・・・これは!


 解析室に入る助教授


 助教授:教授、DRI終わりました。現在解析待ちです。そちらはどうでしたか?


 テリー:これを見たまえ。左が女帝陛下のお母上のもの、そして真ん中が一般のサキュバス族の遺伝子。そして、右が女帝陛下のものだ。3つとも同じ箇所を最大まで拡大させてある。


 助教授:これは何でしょうか?


 テリー:私にも分からない、今言えるのは生物の遺伝子という事だけだ。


 慌てて解析室に入る研究員


 研究員:教授!


 テリー:どうした?


 研究員:DRIの画像解析の結果なのですが、とにかくこれを見てください!


 テリー:な、何だこれは⁉︎


 研究員:一見すると何処にでも居るサキュバス族の体内ですが、画像解析中の1分に1度のペースで正体不明の臓器が消えたり現れたりしています。これがおそらくサキュバス族本来の能力等を阻害そがいしている原因かと。


 テリー:確かに。獲物となる対象を魅了する特殊フェロモンを分泌ぶんぴつする臓器、それがあの臓器が現れた瞬間機能しなくなっている。


 ???:すみませ〜ん、ここにゲノムス教授が居ると伺ったのですが〜。


 テリー:君は、瑠空るあ君ではないか!


 瑠空:お久しぶりです♪


 ユリカ:この人間の姉ちゃんは救命英雄伝の主人公、瑠空さん。瑠空総合病院の若き院長だじぇ〜♪


 テリー:丁度良かった、君はこれを見てどう思う?


 事の経緯を瑠空へ説明する


 瑠空:成る程〜、確かに不思議な臓器ですね。もしかして、ディメスティア女帝陛下の母方の家系には皆んなこの臓器があるのでしょうか?


 テリー:それは考えもしなかったな、女帝陛下に聞いてみるか。


『待合室』


 ネネ:意外と時間かかってるね。


 テリー:お待たせして申し訳ございません。


 ネネ:何か分かった?


 テリー:今回の検査で判明したのは2つ。1つ目は、陛下と陛下のお母上には遺伝子の中にサキュバス族とは明らかに違う部位が確認されたという事。もう1つは体内に1分毎のペースで消えたり現れたりする正体不明の臓器が確認された事です。


 ネネ:しょ、正体不明の臓器?


 テリー:この遺伝子と臓器は天界・魔界・冥界・人界のどの宇宙の生命体にも存在しないもので、その存在の意図等の一切が不明。ただ現段階で分かっているのはこの臓器が現れるとサキュバス族特有の臓器やそれに連なる能力等が全く機能しなくなるという事です。


 瑠空:はじめまして、瑠空総合病院院長の瑠空です。


 ネネ:うっひょー!白衣の女神様キターーーッ♡


 瑠空:へ?  


 ネネ:すんません。その院長さんがどういったご用で?


 瑠空:陛下のお母様の遺伝子からも同じ部位の遺伝子が確認されたという事は、お母様にも同じ症状つまりサキュバス族の能力が一切使えなかったという事はありませんでしたか?


 ネネ:あ〜、母さんはアタシほど酷くはなかったよ。むしろ普通のサキュバス族よりちょこっと弱い感じ。全く機能しないって事はなかったねい。


 瑠空:という事は陛下の代になってから突発的に活動が活発になったと考えられますね教授?


 テリー:話を聞く限りだとその様だ。とにかく現状ではまだ推測すいそくの域を脱する事は出来ません。集めたデータを元に詳しく調べ上げた後分かり次第ご報告させたいただきます。


 ネネ:あいよ〜。














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る