第24話空間を駆る荒鷲(後編)
武崎アナ:さあ、各車一斉にスタートしました!トップを走るのは魔界宇宙が誇る伝説の女流レーサーのトワ選手。それに追従するように喰いついていくのは天界宇宙代表のシュミット選手。解説のラビッツさんはこれをどう見ますか?
ラビッツ:フッキュ〜、これはカーブで逆転を狙ってるかもしれないっキュね。オイラの得た情報によるとシュミットは直線コースよりもカーブを得意としたレーサーのようだっキュ。
武崎アナ:成る程〜、これは期待できそうですね〜・・・おっとぉ、どうやら最初のコースに入ったようです。ここで通常空間カメラから次元空間専用カメラに切り替えてお送りします。
『VIP観覧席』
ダストン:フェッ、フェッ、フェッ。流石は伝説のレーサーじゃのぉ。序盤から飛ばすとはどうしたのかのぉ♪
ダレス:・・・・・・
レース開始1時間前・・・
通話するダレス
ダレス:車両感応式センサーが?
レイラ:ええ、このシステムに軽くハッキング仕掛けて調べてみたけど。このセンサー本来は天界でスピード違反を取り締まるために作られたんだけど、このシステムを起爆装置に改造してるみたいなの。
ユリカ:このお姉さんは魔界宇宙通信事業最大手、
ダレス:誰がやったか分かるか?
レイラ:天界でこんな悪趣味な事する奴なんて1
ダレス:14天界王の菅原道真公の血縁である事を盾に裏でサイバー犯罪に手を染めてると聞いている。まさか爆弾まで作るとは。
レイラ:ある一定の速度に反応して起爆する仕組みみたい。どうする?これなら1分で全コースに仕掛けられたセンサーを無力化出来るけど、今すぐやる?
ダレス:1000万個を1分で出来るか。ならば直前で無力化というのは可能か?
レイラ:センサー直前?0.0005秒前くらいなら出来るよ♪
ダレス:ではそれで頼む。
レイラ:りょ〜か〜い♪
そして現在・・・
ダレス:(そろそろか)
ダストン:どうされたかな?もう勝てないとみて不安になっておいでかな♪
ダレス:まぁ、そんなところですな。聞けば御社のシュミット選手は次元空間コースは不慣れというので心配でしてね。
ダストン:ほぉ、あくまで自身が勝てるとお思いか。余裕じゃのぉ♪
ダレス:ええ、彼女は必ず勝ちますよ。『必ず』ね。
ダストン:なんじゃと?(フン、まあ良い。この国全ての民が人質にとられているんじゃ。あの女が勝てるわけなかろう♪)
トワの相棒『スカーレット』
アカギ:マスター、ゴレオン氏よりメッセージを預かっていますわ。
ユリカ:このAIのお姉さんはトワさんの相棒のアカギさんだよ。
トワ:・・・・・
ダレス:例の爆弾の無力化の件は大丈夫だ。君は君の走りをしたまえ。絶対に『君らしくない走り』はするな以上だ。
トワ:フッ、やってくれるねぇ♪
ユリカ:トワさんハンドル握ると人格変わるタイプなんだよね〜。
トワ:アカギ。
アカギ:はい。
トワ:リミッター解除だ。全力でいくぞ!
アカギ:はい!マスター♪
シュミットの相棒『ファルコン』
シュミット:どうしたトワ。お前の走りはそんなモンじゃねえだろうが!
アイ:・・・・そろそろですね。
シュミット:あ?
アイ:プロテクト解除、ジョージさんからの『もう1つのメッセージ』を再生します。
ジョージ:このメッセージを聞いてるという事はゴレオン氏の『計画』は上手くいってるようだ。このレースは八百長だと前にも言っていたが。同時にそれを阻止する計画が既に進行していた。トワが加速してきたらその合図と思って構わない。その時は存分に駆けたまえ!
シュミット:ジョージの野郎、粋な事するじゃねえか♪
アイ:後方から時速1000キロでスカーレットが追い上げてきました!
武崎アナ:お〜っとぉ!次元空間コースに入った途端に減速していたトワ選手がここにきて急激に追い上げたーーー‼︎
『VIP観覧席』
ダストン:(フェッ、フェッ、フェッ。どうやら国の民の命が惜しくはないらしい。ならば望み通り国の民もろとも死ね)
周りに気付かれないようポケットに忍ばせた起爆スイッチを押すダストン
武崎アナ:さあ、ディメスティア帝国エリアを出て折り返し地点のスイートフル王国シュガーレット砂漠コースに入った!
『スイートフル王国領シュガーレット砂漠』
ショコラ王妃:お?どうやら今年のコースは我が国みたいだね♪
ユリカ:このイケメンなお姉様は狼の獣人でこの国の第2王妃であるショコラ・アラモードさん。王国軍元帥でもあるんだって♪
シュミット:チッ!この砂漠、ただの砂じゃねぇのか!
アイ:この国の砂漠の砂は全部砂糖みたいです。
シュミット:砂糖だあ⁉︎通りで甘ったるい匂いがするとおもったら。
ファルコンを抜き去るスカーレット
トワ:お先♪
シュミット:フッ、やってくれるぜ♪アイ、ホバーモードだ!
アイ:了解。
武崎アナ:これはなかなか良い勝負ですね解説のラビッツさん♪
ラビッツ:キュ、キュ、キュ!熱で溶ける特性を持ったシュガーレット砂漠の砂糖をホバーモードにする事でタイヤが溶け固まった砂糖で絡まるのを防ぐのはナイスアイデアっキュ♪
武崎アナ:いよいよレースは終盤戦に入ります!果たして勝つのはどっちでしょうか?
『VIP観覧席』
ダストン:(な、何故じゃ!何故爆発せんのじゃ!)
ダレス:如何なされましたMr.エンゼリウス。顔色が優れませんが、何か『上手くいかない事』でもありましたかな?例えば・・・『爆発事故が起きない』とか。
ダストン:なっ!何故それを⁉︎空間コースに仕掛けられた次元爆弾の情報を何処から入手した!息子にも言っとらんのに!
ダレス:はて?私は『次元爆弾』など一言も言ってませんが?どういう意味か、ご自身でご説明願いましょうか。
ダストン:ぐぬぬぬ〜!ふ、不愉快だ!帰る!
ダストンの肩を掴み殴りかかるダレス
ダストン:ぐぎゃーー!
ダレス:レースのコースというのはレーサーにとって己を高め互いに切磋琢磨する神聖な場。それを貴方はこの国の大勢の民を殺そうとした。それはこの神聖な場を穢す愚行。あの2人に代わり一発殴らせてもらった。
ダストン:き、貴様!こんな事をしてただで済むと思ってるのか‼︎
ダレス:私はせいぜい傷害罪で起訴される程度。天界宇宙中央政府に太いパイプを持っていた貴方ならこうはいかなかった。だが、中央政府の闇の重鎮、
ダストン:ぐぬぬぬ!
ダレス:不利になるのは貴方の方ではありませんかな?これで私の進退が危ぶまれるなら私は喜んで辞任する。私の首1つで多くの命が救えるのなら安い買い物だ♪
ダストン:ぐぬぬ〜!帰るぞジョージ!
ジョージ:はい。(有難うございますゴレオンさん)
VIP観覧席を出るダストン
ダストン:ダレス・ゴレオン、ゴーレムの分際で!このままでは済まさんぞ!
武崎アナ:お〜っとぉ!これは同着!これより写真判定に移ります。この勝負を制したのは〜?
写真判定の結果、僅か1ミリ差でスカーレットの車体が先に出ている
武崎アナ:トワ選手だーーーー!
シュミット:一歩及ばずか♪
アイ:嬉しそうですね♪
シュミット:そうか?
アイ:トワさんから着信です。
シュミット:繋げろ。
モニターに映るトワ
トワ:流石だ、前は大きく離して勝てたのにな♪
シュミット:次はこうはいかねえぞ♪
トワ:上等♪
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