第23話空間を駆る荒鷲(前編)

 ユリカ:ネネちんが国土争奪戦争の獲得領土交渉と戦場の下見に行ってる間にネネちんの国では天界宇宙企業と魔界宇宙企業の親善レースが開催されるんだって・・・だけどねぇ、天界宇宙企業の方が思いっきしキナ臭い感じなんだよね〜。


 天界時間13:56 エンゼリウス本社ビル


 ユリカ:エンゼリウス社、それは天界宇宙の自動車産業を牛耳っている天界宇宙の巨大企業。同時に天界宇宙財界の巨悪の1つでもあるんだよね〜。


 神族の老人:フェッ、フェッ、フェッ!この親善レースが上手くいけば儂の支持率は右肩上がり。政界進出も夢じゃないわい♪


 ユリカ:この如何にもなクソじじいはエンゼリウス社のダストン・エンゼリウス会長。種族は天之御中主神あめのみなかぬしのかみって創造を司る神様なんだけど・・・長ったらしくて舌噛みそう。


 ジョージ:父さん!あの記者会見はどういう事ですか‼︎


 ユリカ:こっちはその息子でジョージ・エンゼリウス社長。でも社内の実権は全部あのジジイイが独占してるんだ。


 ダストン:言葉通りの意味じゃ、前々から言っとるじゃろうが。


 ジョージ:だからといって、あまりにも急過ぎる!


 ???:ジョージ、用って何だ?・・・取り込み中か?


 ユリカ:この人は人界で名を馳せた世界的レーサーのシュミット・マクラウドさん。人界での通り名は『神速の荒鷲』っていうんだ。カックイイね♪


 ジョージ:いや、すぐ終わる。


 ダストン:話は終わりじゃ。それとシュミット。


 シュミット:あん?


 ダストン:今度のレース、期待しとるぞ〜♪


 シュミット:おい、そりゃそういう意味だ?


 社長室を出るダストン


 シュミット:説明・・・してくれるんだろう?


 ジョージ:ああ、今度我がエンゼリウス社と魔界企業のゴレオン重工グループとの親善レースが魔界のディメスティア帝国で開催される事になった。


 シュミット:親善レース?大の魔族嫌いのあのジジイらしくねぇな。何か企んでるんじゃねぇか?


 ジョージ:・・・・お前の言う通りだ。表向きは親善レースだが、その1か月前にゴレオン重工グループのダレス・ゴレオン社長から我が社との経営統合の話が父さんにあったようなんだ。


 シュミット:ダレスが?


 ジョージ:そういえばゴレオン氏はお前の命の恩人だったな。


 ユリカ:シュミットさんは人界のレース中事故にあって、その時に魔界に転移してね。血だらけで倒れてる所をゴレオン社長に助けられたんだって。


 シュミット:ああ、あのオッサンには大きな借りがある。それにあのオッサンの事だ、何か考えがあっての経営統合の話しなんじゃないか?


 ジョージ:我が社の利益の大半は父さんの懐にいって社員には殆ど給与が無い状態だ。そのせいで我が社の経営は事実上悪化の一途を辿っている。ゴレオン氏はそれを憂いて我が社の社員のためとその話しを持ちかけたんだと思う。


 シュミット:俺は早いとこあのジジイを追い出してこの会社の実権はアンタが掴んでおくべきだと思う。放蕩三昧ほうとうざんまいしてるフリして自分の金を全部あのジジイに内緒で社員に給与として払ってるんだろう?


 ジョージ:・・・・バレていたか。


 シュミット:当たり前だ、お前はゴレオンのオッサンと同じ匂いがするんだよ♪


 ジョージ:・・・・・シュミット。このレース、出てくれないか?


 シュミット:おいおい、俺は『あの女』以外とはレースはしないって言った筈だぜ?


 ジョージ:その『彼女』がレースの対戦相手だとしてもか?


 シュミット:・・・・何だと⁉︎


 ジョージ:しかも彼女は・・・・ここでは父さんの目がある。詳しい事は『君の相棒』に話してあるから聞いておいてくれ・・・兎に角、彼女とディメスティア帝国の命を救ってくれ。


 シュミット:あ?そりゃどういう・・・


 ジョージ:話しはここまでだ。


 社長室を出るジョージ


 シュミット:ちょっ!おい!・・・何なんだ?


『エンゼリウス社内 整備工場』


 ビリー:あ!シュミットさん!相棒はバッチリ整備しておきましたよ♪


 ユリカ:この天使族のお兄さんはシュミットさん専属の整備士のビリーさんだよ♪


 シュミット:おう♪


 アイ:お帰りなさいシュミット♪


 ユリカ:この美声のお姉さんはシュミットさんの相棒とも言うべき愛車『ファルコン』のAIシステムのアイさん。AIだからアイだって、もうちょっと名前捻ってあげようよ。


 シュミット:うっせぇ!あ、そういやジョージの奴お前に何か言ってたみてぇだが、何聞いたんだ?


 アイ:親善レースに仕組まれたダストン・エンゼリウス会長の恐ろしい陰謀です。


 ユリカ:アイさんがジョージさんから聞いたのは。国全体を人質にして八百長レースを対戦相手に強要した事。それでシュミットさんが勝ったらゴレオン重工グループを丸ごと乗っ取るとゴレオン氏に話しを持ち掛けた事なんだって。つくづくとんでもないクソジジイだよ!


 シュミット:どっちに転んでもジジイが得するじゃねぇか!


 アイ:これはあくまで私の推測ですが。エンゼリウス会長はディメスティア帝国が次元爆弾による空間爆発を起こし滅亡すれば空間交通事業の危険性を天界宇宙全域にアピールし、エンゼリウス社の独占体制を確固たるものに出来。シュミットが勝てば乗っ取ったゴレオン重工グループの利益を独占出来尚且つ政界進出の足掛かりに出来ると思われます。


 シュミット:そりゃもう推測じゃなくて当たりだろう。クソが!


 魔界時間12:55 ディメスティア帝国帝都グラヴィティオ


 レイ:参ったな、誰かは知らんが公安大臣の雅が不在の時に仕掛けてくるとは。


 ユリカ:このお姉さんはこの国の軍政大臣のレイさん。この人について詳しくは2話を読んでちょ〜♪


 トワ:・・・・・


 ユリカ:このお姉さんがシュミットさんの対戦相手のトワさん。元女流レーサーで今はこの国の女帝専属ドライバーやってんの。


 ダレス:もしかしなくても仕掛けた主犯はエンゼリウス社会長のダストンだな。


 ユリカ:このゴーレム族のオッチャンこそ、魔界宇宙の財界に君臨する12人の王の称号を持つ財界人トゥエルブの1人『重工王』ダレス・ゴレオンさんだよ〜♪


 トワ:私も彼も八百長なんてしたくない!


 ダレス:任せたまえ。その辺はちゃんと考えがあるから君達は全力で駆けたまえ♪


 トワ:はい!


 1週間後 ディメスティア帝国領 惑星ディメスロード


 武崎アナ:全宇宙空間レースファンの皆さんこんにちは!天魔両宇宙平和条約以降初の親善レースが今ここに実現しました!実況は私、国土争奪戦争でお馴染みのOHNオールヘルネットテレビアナウンサー武崎と・・・


 ラビッツ:この国の巨獣(仮)のフルムーンラビッツでお届けするっキュよ〜♪


 武崎アナ:天界側のレーサーのシュミットさんは人界で名を馳せたレーサーだという事ですが、元とはいえ魔界宇宙最強のレーサーのトワさんに勝てるのでしょうか?解説のラビッツさん。その辺はどうでしょう?


 ラビッツ:フキュ〜、魔界宇宙のレースは次元空間内を走るもの。所々地面を走るロードレースもあるからその辺はシュミットが有利だと思うっキュ。


 武崎アナ:なるほど〜、おっとぉ!そろそろレースが始まるようです!


 後編へ続く・・・














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