第20話ユリカ 九死に一生スペシャル

 ネネ:ホイホ〜イ!今回もナレーターはアタシだよ〜ん♪え?国土争奪戦争に向けてボイストレーニングとかしてなくて良いのかって?だいじょ〜ぶ、だいじょ〜ぶ!アタシこれでも音楽を生業にしてる音楽超大国オーケストル帝国の元皇族だよ。そんな事より今回のユリカちゃんはか〜な〜り、ピンチみたいだね。


 魔界時間13:00 帝王都サタンヘイルダム 次元国際空港 国際線ターミナル到着ゲート


 健彦:ここが魔界だね。天界と違って目移りするくらい進んでるね〜。流石、4界宇宙一のお金持ち宇宙だ。ねぇ、幸子さん♪


 ネネ:このオジサンがユリカちゃんのお父さん。妹尾健彦せのおたけひこさん。天使族の商社勤め。今は定年して奥さんとのんびり過ごしてるんだって♪


 幸子:そうですね〜♪


 ネネ:このふんわりした超絶美人のお姉様♡じゃなかった。奥様は妹尾幸子せのおさちこさん。女神族の現役弁護士さんです。


 幸子:あらあら〜、お姉様だなんて・・・ありがと♡


 ネネ:(う〜ん、どう見てもそんな怖い感じは全然しないっぽいけどなぁ)


 両サイドに整列する強面の天使族


 一同:姐さん、長旅お疲れ様です!


 リーダー格にゆっくり近付く幸子


 幸子:・・・・・


 リーダー格:ね、姐さん?


 幸子:もう!他のお客さんにご迷惑でしょう。そういう周りの迷惑を考えない悪い子は・・・え〜い♪


 リーダー格の腕が有り得ない方向に曲がる


 リーダー格:イ、イデデデデ!ス、スンマセン姐さん!


 幸子:じゃあ今すぐ解散しなさい♪


 リーダー格;りょ、了解っす!お、お前ら!姐さんの言う通りにしろ!


 蜘蛛の子散らすように解散する強面天使族


 幸子:貴方も行きなさい。


 リーダー格:ス、スンマセンでした!


 足早に走り去るリーダー格


 幸子:皆さんご迷惑をおかけしてすみませんでした。


 健彦:昔のお仲間かい?


 幸子:引退してからもああやってつるんでるなんて。あのリーダー格なんてもういい歳なのにね〜。


 同時刻 商業エリア OHNオールヘルネットテレビ


 プロデューサー:さて、そろそろユリカちゃんのご両親をお迎えに行って・・・ん?


 デスクの下に違和感を感じて覗き込むそこに体育座りして隠れる由梨華


 プロデューサー:うお!な、何してんの?


 由梨華:来る、きっと来る、ママがここに来る。


 プロデューサー:なんか、呪いのビデオから出てくる幽霊が登場する映画のテーマみたいな言い方だね。そんなに怖いの?この前通話した時は全然そんな怖い感じしなかったけどな〜。


 由梨華;プロデューサーはママの怖さ知らないからそう言えるんだよ!


 ネネ:プロデューサーさん、ユリカちゃんのこの怯えよう尋常じゃないよ。


 プロデューサー:う〜ん、しょうがないな〜。ならこっち来て。


 社屋内 次元空間倉庫


 由梨華:こ、これって!


 プロデューサー:あのタカラ物置が番組用に制作した魔界宇宙一頑丈な物置だよ。


 由梨華:知ってる、『ギガンテス、1000人乗ってもだいじょ〜ぶ』のCMで有名なアレでしょ?


 プロデューサー:これは『高額商品買う人いるの?』で番組用の特注品さ。魔界宇宙一の硬度を誇るダークマター純度100%、厚さ100mの代物さ。君のお母さんがどれだけ強いか知らないけどこれなら大丈夫だろう♪


 由梨華:あ、ありがと〜!


 プロデューサー:1つ貸しだぞ・・・ん?


 遠くから衝撃音が聞こえる


 プロデューサー:な、何だ何だ?


 外のスタッフから着信が入る


 プロデューサー:おいおい、この音は何だ?


 由梨華:き、来た!ママが来た!きっと拳で殴ってるんだ!


 プロデューサー:そんな馬鹿な。どうなんだい?


 スタッフ:ゆ、由梨華さんの言う通りです!ダークマター製だから無理だと言ったんですが、ちょっとずつ亀裂が入って・・・あ!穴が‼︎


 プロデューサー:う、ウソだ!ウソだと言ってくれ‼︎


 衝撃音が段々と近付く


 由梨華:ヒ、ヒィーー!


 ネネ:く〜る〜、きっとくる〜、幸子がくる、壁ぶち破って〜♬


 空間転移で逃げる由梨華


 最後の壁が割れそこを引き裂いて現れる幸子


 プロデューサー:こ、これはお母さん!どうされました?こちらからお迎えに行こうと思っておりましたのに。


 幸子:お世話になってる方のお手を煩わせるわけにはいかないので来ちゃいました♪それより、今さっきまで娘の気配がしてたんですが。


 プロデューサー:ええ、たった今までいました。次の収録の時間があったのでついさっき収録現場に向かいました。


 幸子:プロデューサーさんはここで何を?


 プロデューサー:この物置は番組で使う商品でして。傷とかないかチェックしてました。


 幸子:まぁ!それは大変申し訳ありませんでした!弁償できる額なのでしょうか?


 プロデューサー:しょ、正直に申し上げて、超大国クラス100年分の国家予算に相当します。


 幸子:あらあら、まぁまぁ、どうしましょ!


 プロデューサー:だ、大丈夫です!提供者が魔界宇宙一の頑丈さを自負していて、万一壊れるようならお代は結構と言っておりますので!


 幸子:それは良かったです〜・・・・本当は娘をかくまっていたのでしょう?


 プロデューサー:え?い、いえ!


 幸子の背後に赤黒いオーラとともに般若が見える


 幸子:正直に言ってくださる?


 壁を殴って穴を開ける


 プロデューサー:か、匿ってました!


 幸子:では〜、お邪魔しましたわね〜♪・・・あっちね。


 瞬間移動する幸子


 プロデューサー:・・・・・ユリカちゃん、グッドラック。


 自宅の布団にくるまって震える由梨華


 由梨華:もう・・・駄目だ・・・殺される。


 布団を引き剥がして覗き込む幸子


 幸子:み〜つけた♡何で逃げ回ってるのかなぁ?


 ダークマターの破片を握り潰して笑顔で威圧する幸子


 由梨華:・・・・オ、オワタ・・・サヨナラ、アオイ先輩・・・


 健彦:あ、いたいた。幸子さん、法律事務所から電話鳴りっぱなしだよ・・・ホラ。


 幸子:あらいけない!もう帰らなきゃ!由梨華ちゃん、お説教はまた今度ね!


 足早に空港へ向かう幸子


 由梨華:た・・・助かった。


 健彦:これに懲りたら定期的に実家に電話しろよ。


 由梨華:うん。


 健彦:じゃ、父さんも行くよ。


 由梨華:ありがとパパ♪










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