第3話フルムーンラビッツを追跡せよ!
アオイ:国が滅亡すれば巨獣は眠りにつき、新たな魔王が国を興せばその魔王に合った巨獣が目覚める。どうやらこの国でも早速一体目覚めたようですね。
ディメスティア帝国入国前日 ガプトラス教国 聖都シャインアーク 4大司教区
大きな爆音が聞こえる
司祭:シスターアンジェリカ!貴女は一体何をしたのです!
アンジェリカ:皆さんのためにお料理をと思ったのですが、あたしってドジ(テヘペロ)
アオイ:この方は天使族のシスターでアンジェリカさん。どうやらこういう事が日常茶飯事のようですね。
司祭:・・・はぁ!ここは良いですから、イーゼス大司教様がお呼びです。
アンジェリカ:イーゼス大司教様が?
イーゼス大司教:アンジェリカよ、奉仕の心は尊く良い心がけではありますが。『くれぐれも程々に』なされよ。
アオイ:この方はガプトラス教国第3位の権力を持つ4大司教の1人イーゼス大司教様です。
アンジェリカ:奉仕の心は大事でも、それで自身の身体を壊しては本末転倒と仰っておられるのですね!
イーゼス大司教:そ、そうです(本人は悪意は全くないのですが、やる気が空回りしてトラブルを巻き起こすとは口が裂けても言えない)
アンジェリカ:私が新興国ディメスティア帝国へ派遣されると聞きましたが?
イーゼス大司教:ええ、彼処には魔界宇宙で珍しい個体の巨獣が多く生息しています。そこで貴女の
アンジェリカ:ガプトラス教皇陛下が⁉︎せ、責任重大ですね!
イーゼス大司教:いいですか、く・れ・ぐ・れ・も教皇陛下の勅命以外の事はしないように!いいですね?
アンジェリカ:ですが、ご奉仕・・・
イーゼス大司教:い・い・で・す・ね!
アンジェリカ:承知致しました。
翌日 魔界時間11:00 帝都グラヴィティオ 宮殿内謁見の間
衛兵:申し上げます。ガプトラス教国ヨハン・ガプトラス教皇陛下より親書を携えたシスターが女帝陛下に謁見を願い出ておりますが、如何なさいましょう?
雫:ガプトラス教皇のシスター?
ネネ:即通すべし!
雫:お前、『シスター』ってワードだけで判断しただろう。
ネネ:そ、そんな事ないよ!だ、だって・・・ほら!6大魔王の1人、ヨハン・ガプトラス教皇直筆の親書持ってるんだよ。無下に追い返したらそれこそ国際問題だよ!
雫:コイツ、もっともな事を・・・まあ良い。それも一理ある、通せ。
衛兵:ハッ!
アンジェリカ:ネネ・ディメスティア女帝陛下におかれましてはご尊顔を拝し奉り、光栄の極みにございます♪
ネネ:うんうん、おっぱいはそこそこ大きいけど、やっぱ天使族の女っていえばこの巨大でかつ引き締まったこの美尻ですなぁ〜♡どれどれ先ずはこのおっぱいの揉み心地は〜・・・
背後から手を伸ばすネネ
アンジェリカ:あ、そういえば先程そこで・・・
不意に背後を指そうとした瞬間指がネネの目を直撃する
ネネ:ふぐぉーーー!目が、目がーーー!
雫:・・・・はぁ。衛兵、ソイツをこっちに連れて来い。
衛兵達:ハッ!
ネネ:雫姐さん、代わりに親書読んでちょ。もう少し天使の目潰しの余韻に浸りたい♪
雫:このお馬鹿。えっと・・・
『貴国に生息する巨獣は世にも珍しい個体ばかり。聞けば天界のドラゴニックマフィアの襲撃を受けたとか。おそらくその者達の目当てはその巨獣達。そこでシスターアンジェリカと共に調査を依頼されたし。必ずや彼女の能力が役に立つでしょう。ガプトラス教国教皇ヨハン・ガプトラス』
雫:アンジェリカの能力?ん?もう一枚手紙がある。えっと・・・あ〜、これは声に出して読まない方が良いな。
『シスターアンジェリカは巨獣に対する能力は有能ですが、奉仕の精神とやる気が空回りしたトラブルメーカーです。くれぐれも注意されたし。4大司教イーゼス』
ネネ:もう一方の手紙って?
雫:私とお前以外誰にも見せるなって書いてある。こっちはいわゆる機密文書だな。
ネネ:ほんじゃ後で確認しとく。
衛兵:謁見中失礼します陛下。
ネネ:どったの?
衛兵:陛下にお目通り願い出ているダークエルフ族が来ておりますが。
ネネ:野郎はパス。即刻国外追放!
衛兵:それがどうも『女性』のようで。
ネネ:なぬ⁉︎すぐ通せ!今すぐ通せ!
同時刻 帝都次元観測所
オペレーター:所長!高密度次元エネルギー反応を感知!
所長:場所は!
オペレーター:帝星最北端『
所長:ワープアウト予測地点は!
オペレーター:計測します・・・・え⁉︎
所長:何処だ!
オペレーター:て、帝都グラヴィティオ。宮殿敷地内です!
所長:なんだと⁉︎
再び宮殿内謁見の間
トワ:お目通りさせて頂き感謝致します女帝陛下♪私、トワと申します。実はお願いがあって参りました。
ネネ:聞く聞く〜♪ダークエルフのお姉様のお願いなら何でも聞いちゃう〜ん♡
雫:全く、で?頼みとは?(この顔、それにトワってどこかで聞いたような・・・)
トワ:実はお願いと申しますのは前職を引退し、女帝陛下専属の運転手をして雇って頂きたく。
ネネ:採用!即刻採用!
雫:一応理由を聞こうか。
トワ:はい、実は・・・
宮殿内が激しく揺れる
ネネ:おわ!じ、地震⁉︎
雫:マグニチュード10000に耐えられるこの宮殿で地震なんてあるわけないだろう!
衛兵:申し上げます!
ネネ:ん?愛の告白・・・
回し蹴りを喰らうネネ
雫:このバカのいう事は気にするな!この地震に関係してるのか?
衛兵:はい!先程次元観測所から緊急の報告で月神山脈から4000万㎢級の巨大生命体がこちらにワープしていると!
雫:4000万㎢級の生命体っていったら巨獣じゃないか!
メイド:申し上げます!
ネネ:聞こう、主に告白・・・
ハリセンで張り倒す雫
雫:お前はややこしくなるから黙ってろ!
ネネ:ふぁい。
雫:何事だ。
メイド:宮殿庭園に巨大生物が転移してきました!
雫:観測所の報告にあった巨獣か。
メイド:それが、4000万㎢級というほど大きくなく。
雫:いや、間違いなく巨獣だ。巨獣は魔法で自身の身体のサイズを変えられる。
ネネ:取り敢えず行ってみよ〜。
宮殿5階テラス
ネネ:でっけぇウサギ⁉︎
巨大生命体:もきゅ、もきゅきゅ。もっきゅ?
ネネ:何言ってるかわっかんね。
アンジェリカ:あの、よろしければ通訳しましょうか?
雫:そうか、ガプトラス教皇陛下の親書にあった能力とはその事か。
ネネ:そいじゃ、アンジェリカ姐さん翻訳カモ〜ン♪
アオイ:ここからはアンジェリカさんの翻訳モードでお届けします。
巨大生命体:この地に国を興してオイラを目覚めさせた魔王はどいつできゅ?
ネネ:雫姐さん、コイツなんていう巨獣?
デバイスの巨獣図鑑を調べる雫
雫:あった、観測所からの報告の内容を照らし合わせたからコイツに間違いないだろう。奴の名は『フルムーンラビッツ』カーバンクル科カーバンクル目ウサギ亜種。体長4000万㎢、体重1兆7000万トン。次元空間を操り、空間を切り裂く前歯でトンネルを作り移動する特性を持ち、奴の通った次元の穴は通称『次元兎の抜け道』と呼ばれている。
ネネ:そんな奴が何の用?
ラビッツ:オイラが目覚めたって事はお前にとってオイラの加護が必要な国って事できゅ。お前が望むなら本来魔王具が使えるようになってから試練を与えるできゅが、特別に前倒しで試練を与えてやっても良いっきゅ♪
ネネ:ねえ、雫姐さん。コイツが与える加護って?
更に調べる雫
雫:コイツの加護を受けると『Dライン』が見つけられるらしい。
レイ:Dライン?
ネネ:地球で例えたら金脈や油田を山や地面見ただけで見つけられるようなモンだよ。
雫:次元工学が飛躍的に進んだ現在でもDラインを見つけるのは困難で、Dラインを見つけたら巨万の富を得られると言われてるくらい貴重な加護だ。
ネネ:うおっしゃー!雄ってのが気に食わんがその加護は欲しい!
ラビッツ:雄って、お前レディを捕まえて雄は失礼できゅ。
ネネ:うお!お前雌か⁉︎ややっこしい一人称使うな!
ラビッツ:それは個人の自由できゅ♪で、どうするできゅ?試練受けるできゅか?受けないできゅか?
ネネ:受ける!どんと来い!
ラビッツ:その意気や良しできゅ♪
ネネ:で?試練の内容は?
ラビッツ:いたって簡単できゅ。逃げるオイラを捕まえられたら試練は合格できゅ♪禁止事項は無いできゅ。仲間は何人でも連れて来ていいできゅ♪
ネネ:言ったなぁ♪
ラビッツ:そいじゃスタート地点で待ってるきゅ〜♪
空間をジャンプするフルムーンラビッツ
ネネ:とはいうものの、どうやって追いかけて捕まえよう。
アンジェリカ:あの、ここにガプトラス教皇科学省から預かった巨獣専用捕獲ネットがあります。ただ・・・
ネネ:ただ?
アンジェリカ:捕獲ネット搭載バズーカの弾は3発分しかなくって。
トワ:タイミングをよく見定めて撃たないといけないという事ですね。では私の出番ですね♪
ネネ:え?
トワ:追跡方法ですが、車で追いかけましょう。私、元空間レーサーなんです♪
雫:(ダークエルフ族の女で元空間レーサーでトワってまさか)
ネネ:いよ〜し!フルムーンラビッツ捕獲作戦開始だ〜!
雫:おい・・・・ってもういない。ま、いいか。
『空間レーススタート地点』
ラビッツ:来たできゅね。お?それで追いかけるできゅか?
女帝専用車内でスタンバイする3人
ネネ:おうよ!
ラビッツ:ま、何やっても勝てないと思うできゅがね〜♪
トワ:・・・・・・・上等。
ネネ:へ?
獲物を狙う狩人の目つきになるトワ
トワ:せいぜい今の内に敗けた後の言い訳でも考えとくんだな♪
ネネ:もしも〜し。
アンジェリカ:ハンドル握った途端に性格変わってますね。
ラビッツ:そいじゃ、よ〜い・・・どん!
瞬時にワープするフルムーンラビッツ
ネネ:速っ!
トワ:喋ると舌噛むぜお2人さん♪・・・・いくぜ!
女帝専用車内のDドライヴシステムを起動するトワ
ネネ:え?これ普通の車・・・だよね?
アンジェリカ:・・・・神よ。
すかさずワープする女帝専用車
雫:あの目つき、やっぱり『アイツ』だったか。
レイ:知ってるのか?
雫:『神速のトワ』って魔界宇宙で伝説の女流レーサーさ。普段はおっとりしてるが、ハンドル握った途端に人格が変わるってので有名な奴だ。
レイ:ネネ達は無事に帰って来られるのか?
雫:さあ?
レイ:さあって。
帝星北東部 ホシウミ盆地
ラビッツ:きゅきゅきゅ〜!ちょっと飛ばし過ぎたきゅかね♪
背後から弾丸が飛んでくる
ラビッツ:うお!いつの間に追いついたできゅか⁉︎
咄嗟にワープするフルムーンラビッツ
ネネ:う〜ん・・・外し・・・オエップ!
トワ:吐いてる暇なんざねえですぜ♪
即座に追いかけるトワ
ネネ:ちょ!まっ!
アンジェリカ:ア〜メン。
曲がりくねった空間を巧みにドリフトしながら追いつくトワ
ラビッツ:うお!もう追いついてきてるできゅ!
トワ:今ですぜ!
ネネ:大人しく捕まりやがれーーー!
2発目を撃つネネ僅差で避けるフルムーンラビッツ
ラビッツ:あっぶね!
アンジェリカ:は、吐きそうです。
カーナビのモニターに映る雫
雫:聞こえるか?
『空間観測所』
雫:こちらからフルムーンラビッツの姿を捉えている。先回り出来ルートを教えるからそこで確実に捕まえろ!
『車内』
トワ:りょ〜かい!
ワープアウト予測地点前
ラビッツ:きゅ〜!どうやら撒けたようできゅね〜♪
ワープアウトするフルムーンラビッツ。そこに待ち構えるネネ
ラビッツ:なんと⁉︎
ネネ:これで・・・チェックメイトだーーーー!
捕獲ネット弾が見事に命中する
ネネ:フルムーンラビッツ、召し捕ったりーーー!
ラビッツ:ま、負けたっきゅ。
フルムーンラビッツ縄張り月神山脈
ラビッツ:いやぁ、1000年ぶりに白熱した追いかけっこだったきゅ。お前なかなか良いドラテクできゅな〜♪
トワ:光栄です♪
ラビッツ:それにひきかえこっちは・・・
ネネ:オエ〜!
アンジェリカ:じ、実家の天国が見えました。
ラビッツ:まあ良いきゅ、約束通りお前が魔王具を手に入れて使えるようになったらまたここに来ると良いっきゅ。その時無条件でお前に降ってやるっきゅ♪・・・って聞いてないきゅね。
トワ:後で私が伝えておきます♪
ラビッツ:頼むっきゅ。またお前と追いかけっこしたいっきゅ♪
トワ:いつでも良いですよ♪
ネネ:その時は全力でご遠慮させて頂きます。
アンジェリカ:わ、私も。
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