第81話

「圭君、見て見てー、エビフライー♡」


 なんて可愛らしく言いながら、でっかいエビフライを持ち上げる玲奈。


 なんじゃ貴方エビフライ初めて食べるのかい?えんびふらいかい??と思いながらもその可愛さに魅了され、のほほんとしてしまう。


「エビフライな~~~いいな~~~」


「ね~~♡」


 バカップルここに極まれりと言った感じだった。


 しかし、マイレディーは遊園地特製プレートをとっても美味しそうに食べている・・・無茶苦茶高かった気もするけど、それに見合った味なのかもしれない・・・


 俺も自分で頼んだチキンレッグの乗っかったプレートを食べながらこの至福のひと時を満喫する。さきほどまで地獄を見ていた分、昼休憩のこの時間は一際天国を彷彿とさせた。


「はいっ」


「・・・む?」


 玲奈が俺にエビフライを見せてくる。なんだそんなに見てほしいのか見ているぞ俺は。穴空いちゃうんじゃないかってくらいに、その可愛い挙動を見ているぞ。


「ほーらっ」


「・・・・・・・・むむ?」


 玲奈が少し顔を赤らめて俺の前でエビフライを揺らす。


 なんだ?エビフライの舞か?


「もう・・・あーんだよ、あーん」


「あーん・・・?」


 なんだその言葉は・・・魔法か・・・?


 あーんとな??


 アーン?????


 おいどけどけどけどけどけーーーーーー!!!!!!!!!


 俺は脳内で立ち止まる無数の俺を押しのける。


 一番槍じゃーーーーーーーーーーーーいっ!!!


「あーーーー」


「はいっ♡」


 パクリ。


 えんびふらい。


  彼女がくれたえんびふらい。


   次食べれるのは、いつだろな。









 


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