ラブレターと瞬間移動

 色っぽく結わかれた赤のお弁当の包みは、男っぽくガサツに結び直されていた。妻の愛で満たされたお腹を、ロッキングチェアーの上で食後の一休みをさせる。


 ジーパンと椅子の間に挟んでいた、女性らしさを振りまく桃色のラブレターなのに、差出人は自分と同じ男。しかも、既婚者の自分に送ってくる、修羅場という嵐を待つような静けさを思わせるような相手。


 手紙のぬしを探す。いや、こんなふざけたことをしてくる犯人を、明引呼あきひこは敏腕刑事並みに、しょっこうとする。


 桃色の封筒が左手。水色の便箋びんせんが右手。青空に透かすように、裏表にひっくり返すを何度もしながら、アッシュグレーの鋭い眼光は、アリ1匹も見逃さないように見ていたが、やがて、この手紙のさらにおかしな点を指摘した。


「どこにも名前、書いてねぇんだよな。どんなラブレターだよ? これじゃ返事聞けねぇじゃねぇか。片想いどころの騒ぎじゃねえだろ。一方通行すぎだろがよ」


 どこかに呼び出されるでもなく、イニシャルが書いてあるわけでもなく、本文のみのラブレター。色気漂うほど綺麗な筆文字なのに、ツッコミどころ満載、いや笑いの前振りだらけ。


 だが、野郎どもに慕われ、笑いを振ってくる部下に囲まれている兄貴は、大爆笑することもなく、便箋を持っている右手のシルバーリング3つごと、藤色の剛毛に近づけ、空いている指でこめかみをコツコツとノックする。昔聞いたことのある記憶を思い出そうとして。


「れかよ、あぁ~、何つったか?」


 だるそうに、言葉を一部省略して、懸命に発掘してきたみたいに名前を、わざとらしく口にする。


「スー……ストーカーってか?」


 穏やかではない単語が、広大な農園の片すみに響き渡った。だるそうに手紙を持つ両手を、ロッキングチェアからはみ出すようにだらっとらして、省略しまくりの言葉を吐き捨てる。


「がよ、っれて、したの話だろ? この世界じゃ誰もしねぇだろ」


 ありがたくない愛の一方通行は、ここには存在していなかった。しかも、どこかに別の世界があるような言い方。


 今はそばにいない。あのカーキ色のくせ毛と、優しさの満ちあふれたブラウンの瞳を持つ男が、ボケという濁流の中で密かに岸に残していった手がかりを拾い上げる。


「ヒントは時間きっちり計ってきて、『ボク』を使う野郎だろ? ここで、推理ってか?」


 きた! 敏腕刑事、兄貴のシンキングタイム。ウェスタンブーツのスパーは床を軽くり上げるたびに、カチャカチャという金属音をひずませる。ウッドデッキの日陰の下で、熱いシャワーのように夏の風を全身で浴びながら、明引呼のガタイのいい体は、ロッキングチェアというゆりかごで揺られつつ、犯人候補を上げ始めた。


「オレを引っ張ってきた、あれはよ、てめぇのこと『私』と『僕』って言いやがんだがよ、使いわけてんだよ」


 強風が吹く時だけあおられる藤色の短髪の中にある脳裏に、鮮明によみがえる。腰までの長いマゼンダ色の髪と、まぶたにほどんど隠されていて、姿を滅多に現さないヴァイオレットの瞳を持つ男が。


 ダンブルウィードが風に踊らされ、コロコロと横切ってゆく。心地よい口笛を吹くように、明引呼のしゃがれた声は次の容疑者を上げた。


「でよ、優雅な王子はよ……」


 王子設定、いやタグはついていなかったが、なぜか急に出てきた。ここは帝国であって、王子ではなく、いるとしたら皇子おうじ。ここもスルーしたまま、物語は進んでゆく。


「ガキの頃は『僕』でよ、今は『私』なんだよ」


 閉じたまぶたの裏で、真っ暗になった視界で浮かぶ。紺の肩より長い髪と、猛吹雪を感じさせるほど冷たい水色の瞳を持っているのに、自分と同じように、激情という感情を隠し持つ男。


 13時5分に届けて。それが相手の要求。時間をきっちり計ってくる候補は4人。さっと開けられた鋭いアッシュグレーの眼光は、青空を眺めて、そこに次の犯人像を描いてみる。


「あと、歩く17禁野郎はよ、『私』『僕』『俺』ごちゃごちゃに混ぜて使ってんだよな」


 18ではなく、17。打ち間違えではなく、1つ歳が下になっている、この世界では。だが、何だかアブノーマルな香りが思いっきりする、この人物に関しては。


 空というキャンバスに色と輪郭がついてゆく。黄緑色のボブ髪と、ここから修飾語が長くなる。皇帝で天使で大人で子供で純真で猥褻わいせつで、矛盾だらけの山吹色の瞳を持つ男。キャラもかなりつかみづらかった。


 そこで、揺れ続けていたロッキングチェアはピタリと動きを止め、しゃがれた声で犯人をつるし上げた。


「がよ、普通ノーマルに考えりゃ、あいつしかいねぇだろ。『ボク』って言ってんのはよ。今言った野郎どもは『僕』で、漢字だろうが」


 話しているだけでは、『ぼく』『ボク』『僕』どれも同じ響きだが、なぜかこの世界では、変換されて、きちんと聞き取れるようだった。


 シルバーリング3つずつは、日焼けした顔の前で左右から引き寄せられ、持っていた封筒と便箋がぐしゃぐしゃにゆがむほど、ギュッとつかまれていた。


「わかるように書いてきやがって。放置してやっか? それとも、落とし物で届けてや――」


 独健どっけんの愛妻弁当と同じ運命をあゆまされそうなラブレター。風を切るように投げられた桃色と水色は、赤いお弁当箱と丸テーブルの隙間に、ちょうど入り込んですっと止まった。


 ジャスト! その時だった、明引呼のジーパンの後ろポケットで、振動が起きたのは。


「あぁ? 電話か」


 左手のシルバーリングがカチャカチャと金属音をかき鳴らしながら取り出し、そのまま耳に当てるのかと思いきや、すっと消え去った。次に、携帯電話が現れると、なぜか、ウェスタンブーツの上に。


 そのまま、ボールを蹴り上げるように、長いジーパンの足とスパーが動き、ヒューッと山を描いて、振動し続けているものが頭の上へ飛んできた。


「タイミングよすぎんだよな。どうやって、計算してやがんだ?」


 それを、再び左手でナイスキャッチ。藤色の剛毛ごと耳に押し当てた。そのまま通話にすればよかったものの、余計なアクションが入っていた。


 だが、ここは兄貴だからという、よくわからない理由で強引にスルー。そうして、電話の向こうから聞こえてきた、第一声はこれだった。


「は〜い!」


 砂埃舞う農場で、ウェスタンスタイルでかっこよく、しゃがれた声で渋く決めていた兄貴とは、対照的な軽いノリの言葉。


 その声色こわいろは、陽だまりみたいな穏やかさがあり、誰が聞いても好青年だと太鼓判を押すほどのものだった。しかし、こんなことを言ってきた。


あき、ボクのラブレター読んでくれた?」


 犯人 みずから出頭。ガサツな声は絞り出すようにうなって、ガツンとウェスタンブーツが丸テーブルの足を強く蹴りつけた。


「てめぇ、今さら、どういうつもりだ? こんなのくれやがってよ」


 子供が楽しくて仕方がないというように、笑い声をふふっともらす。


「こういうつもり……」


 電話の相手の人差し指が、その目の下に当てられ、思いっきり下へ引っ張られた。あっかんべーをするように舌を出して。


「ベー、悪戯いたずらだよ〜」


 好青年というイメージをおとりにした、悪戯坊主という確信犯だった。だが、対する兄貴は大人な対応で軽くクリア。しかし、語尾に、わざとらしくカウンターパンチをつけ足した。


「そんなことしてねぇで、てめぇ、ワークどうしたんだよ? ビッグ先生ティーチャーさんよ」


 電話の向こうで薄地の白い袖口が、携帯を持ったことによって、スルスルと腕を滑り落ちて、素肌を見せてゆく。


 男は陽だまりみたいな柔らかな声で平常をよそおい、言葉の後半でやり返してきた、自分の名前を呼んでもらえなかったことに対して。


「今は待機中だよ。孔雀大明王くじゃくだいみょうおう兄貴」


 いきなり出てきた、明引呼じゃないものが。太いシルバーリングは、苛立いらだたしげにロッキングチェアーの肘掛けにコツコツとたたきつけられた。


「その名前で呼ぶんじゃねぇよ。それは役職名なんだよな。しかも、最後ファイナルに兄貴つけやがって。思いっきり異様ミスマッチになってやがんだよ」


 2つの名前があることが判明。そうなると、貴増参たかふみ火炎不動明王かえんふどうみょおうも役職名になるという断定、決定事項。


 ソファーに気だるそうにもたれかかっていた腕に、綺麗な頬を預けると、サラサラと背中で何かが動いた。そうして、この男の甘々な言い回しが出てくる。


「そう? ちょっと前までは、そう呼んでたのに、何が変えさせちゃったのかなぁ〜?」


 本名を呼べない仲だったようだ、この2人は。登場人物の紹介でも、この2人は関わり合いがない。それなのに、電話をかけてきて、こんなくだけた会話をする。何か事件が起きたのは容易に想像できた。


 藤色の剛毛は、節々のはっきりした指先で、引っ張られたり、からまされたりしながらもてあそばれる。


「わかり切ってること聞いてきやがって。孔明こうめい、てめぇ、また何かしてやがんだろ?」


 歴史上で超有名な人の名前が出てきたが、ここはとりあえずスルー。ソファーの肘掛けにもたれていた手から頬を離し、背中から漆黒の細い線をすうっと引っ張っては、指先からなめらかな絹が落ちるように、スルスルと胸の前にしなやかに寄り添わせる。


「何のことかなぁ〜?」


 瑠璃るり紺色の2つのものが首を傾げたために、左斜めになって立ち止まった。その先で、結び直されたピンクの布に包まれた四角いものが、昼食の空腹を満たしたカラのお弁当箱という名で静かにアフターファイブならず、アフター昼休みを楽しんでいた。


 夏風にあおられた大木の群れが、まるで大海原のように、鋭いアッシュグレーの瞳に映っている。


「またシラ切りやがって。あん時みてぇに、オレをサプライズさせるつもりじゃねぇだろうな?」

「何か驚いちゃったの〜?」


 やはり、何か事件があったらしい。お弁当の下にはさまっているラブレターをスパーで切りくように、ウェスタンブーツは丸テーブルの上にドカッと乱暴に上げられた。


「オレのワークが年末の繁忙期で忙しいからよ、延期してたのに、てえめぇが先に来てやがって。しかも、てめぇの名前は知っててもよ、話したこともなかったんだよ。混乱させやがって。によ、これ以上はあん時はダメだって、ボスからくぎ刺されてただろうがよ。それを突破しやがって、何しやがったんだよ?」


 やはり知らなかったらしい、お互いに。しかも、誰か仕切っている人がいるみたいである。さっきから陽だまりみたいに穏やかで、甘々な言い方をしている孔明がその人に手を下したようだ。


 そんなことをするような印象とはほど遠く、紡ぐ言葉はさっきと同じ感じだったが、


「あれ〜? ボク、そんなことしたかなぁ〜?」


 背中から漆黒の長い髪を引っ張ってきて、聡明な瑠璃紺色の瞳に映す、孔明の表情はまったく微笑んでおらず、1mmの隙も見逃さないというような計算し尽くされた、精密、精巧、冷静、異彩、非凡……。とにかく頭がいいという言葉を総なめにするほどだった。


 電話という死角。話す言葉と雰囲気とは違う、本性を1人きりの空間でかもし出している男。孔明の足はソファーの上で組み直された、色気が匂い出て仕方がないというように。


「てめぇのその頭使って、何かしやがったんだろ?」


 鋭いアッシュグレーの眼光は、刃物で切り込むようにガンを飛ばす、電話の向こうにいる相手の手強てごわさを知っているために。


 頭高く結い上げた漆黒の髪。そこに添えられていた細い縄みたいな髪飾りを指先にくるくると巻きつけ、目の前の窓に広がる景色を眺める。


 だがしかし、それは脳という記憶の引き出しに、きちんと整理される情報収集という名の視線。


「ボクは彼に、素直に気持ちを伝えただけだったんだけど……。他の人が勝手に動いちゃったのかなぁ〜?」


 他の人にも告白したみたいであり、さらには予想外のことが起きたような話が出ているが、不道徳、不誠実ではないので、ここもスルー。


 孔明の脳裏には別のことが同時進行してゆく。そのため、ここから、普通の人が聞いたら混乱するようなことが起き始める。


(パンダの子がボールを蹴った)


 窓の外で、子供たちがサッカーをしている姿が、瑠璃紺色の瞳の向こうで繰り広げられていた。それを見ながら、平然と電話を続ける。


 兄貴と慕われている明引呼。そうそう簡単にだまされるはずもなく、携帯電話を持っていない反対側の手を、日に焼けた頬の横へ持ってきて、大きく前後に揺らす、シルバーリング3つの輝きという線を持って。


「嘘つくんじゃねぇよ。ノーマルに考えりゃ、あれには、突破できねぇだろ。他のどいつをどうやって引っ掛けやがったんだよ?」

「ボクは体に触れただけなんだけどなぁ〜?」


 孔明は甘々な声を出しながら、足を妖艶ようえんにまた組み替えると、こういたエキゾチックな香りが、部屋の中でそよ風を起こした。


(トラの子がスライディングした。

 あの子がするのは、これで3回目)


 すでにカウント済みの、子供のサッカー試合。記憶という引き出しは、忘却で開けられないということが起きない、孔明には。男同士でセクハラみたいな会話が展開されているのに、考えていることは違うということを、平気でしてくる。


 話したいと思った人の声しか聞こえない携帯電話。電話の向こうではしゃぐ子供たちの可愛らしく元気なものは、明引呼の耳には決して届かない。


 何かをするために、セクハラしたみたいな孔明。ガサツな声が言葉にところどころアクセントを置きながら、急に手に現れたダーツの矢を力任せに、マトへ放り投げて、ど真ん中にジャストスロー!


「どいつのどこに触ったんだよ? 人と場所によっちゃ、意味が全然違ってくんだよ」


 ボールを追いかけて右へ左へうろちょろする子供たちがいる健全な風景を前にして、孔明は誘惑するようになまめかしくわざと姿勢を崩して、ソファーに座りながら、声は好青年で軽めの陽だまりみたいな調子で聞く。


「想像してみて〜? 大人の想像」


 左右の眉の端が、斜め上にすっと綺麗に凛々りりしく描かれている、色白でなめらかな肌を持つ顔の前に、爪を眺めるために拳を軽くにぎった感じで右手が上げられた。


 他の人からは何気ない仕草に見えるそれは、実はこうだった。磨かれた銅色の丸いものがすうっと現れる、手のひらサイズのものが。アラビア数字12個が円を作る懐中時計。それを、瑠璃紺色の瞳に映して、正確に読み取る。


(今の時刻は、13時18分18秒)


 大人の想像。18禁ワールドに突入しそうだったが、兄貴ががっちりナイスに防御。


「くだらねぇことさせんじゃねぇよ、昼間っからよ」

「どんな想像しちゃったの〜?」


 力強い深緑、深碧しんぺき。それを全面で見せるソファー。その上で組んでいた足をとくと、天女と勘違いするような裾が大きめに取られた着物みたいな、白い薄手の布地がソファーを侵食しそうに広がった。


 応接セットのローテーブルをのぞき込んだが、結い上げてもなお、腰までの長さがある漆黒の髪がサラサラと前へ落ちてきた。何かの時間割が印刷された紙を眺めて、即座に引き算。


(13時33分から開始。

 残りあと、14分42秒……)


 のらりくらりと交わしてくる会話と話し方。明引呼のウェスタンブーツは、もう何度したかわからない動きをまたした。丸テーブルの足にガツンと蹴りを入れて、スパーの金属音を夏風にはじかせた。


「っつうかよ、また、答え迷宮入りしそうになったんだろ。てめぇも、たかと同じことして来やがって」

あき貴増参たかふみに何か巻かれちゃったのかなぁ〜?」


 ガサツな兄貴の声が電話を通した向こうから聞こえる中で、懐中時計を握りしめたまま、唇にリップクリームを塗るように横に指先ですうっとなぞってゆく。


(勝つ方法……?)


 端で止まった指が唇をほんの少しだけ引っ張ると、物欲しそうに口が開いた。


 さっきからずっと伸ばされ続けている、孔明の言葉の語尾。明引呼はなぜ、あの深緑色のマントをつけた男が自分のもとを訪れていたか、完全に裏を読んでいた。


「かなぁ〜? じゃねぇよ。てめぇ、そうなるように、わざとラブレター、たかに届けさせやがっただろ?」

「そうだったかなぁ〜?」


 懐中時計を持ったまま、携帯電話の下にある手首に巻きついているシルバーの細いチェーンブレスレットが、微妙に肌にすれる感触を味わいながら、スースーと引っ張り回す。


 いきなり手の中に出てきた、細身の葉巻、ミニシガリロの芳醇ほうじゅんで辛味のある青白い煙を、明引呼は吸い込んで、フーッと黄昏たそがれ気味に吐き出した。


「それはいいからよ。どいつのどこ、触ったんだか教えろや」

「そんなに聞きたいの〜?」

らしてんじゃねぇよ、そこで。何してんだよ?」

「どうしようかなぁ〜?」


 孔明の話している文章の形はさっきからずっと同じ。内容が違うだけで。葉巻の柔らかい灰がポロッと、彫刻刀で削り取ったみたいにささくれだった木の床に落ちた。


「てめぇの得意技、交換条件で情報 漏洩ろうえいしろや」


 聡明な瞳と漆黒の髪の向こうに隠された頭脳。そこに記憶されているデータは天文学的数字をはるかに超える。それなのに、能あるたかは爪を隠すで、好青年でありながら柔らかな陽だまりみたいな声で、孔明は甘々に交わしてゆく。


「得意技じゃなかったと思うんだけどなぁ〜?」


 手首から手を離して、懐中時計の短針と秒針を瑠璃紺色のレンズを持つ目に映す。


(今の時刻、13時19分19秒。

 さっきから、1分1秒経過。

 残りあと、13分41秒。

 勝つ方法……)


 たった、0.1秒で弾き出した、時間の計算。カウボーイハットのつばは、葉巻を持つ手で、炎色がぶつからないように少し上げられた。


「何すりゃ教えんだよ?」


 家でくつろいでいるように、深碧のソファーにもたれかかっている、孔明の白い布地が、足をまた組み直したことによって、香の匂いと衣擦れの音をともなって動いた。そうして、こんなことを言う。


「ボク、今、本番前でドキドキしちゃってるから、それを止めて欲しいんだけど……」


 シルバーリング3つをした節々のはっきりした指先から、最後の別れというように、ミニシガリロは火がついたまま、ストンと床へ落下させられた。不意に吹いてきた夏風でどこかへ連れ去られる。


「昔っからある方法で解決だろ、そんなんよ。手に人って何回も書いて、飲み込みやがれ」

「それでどうにかならないから、キミに頼んでるんでしょう?」


 かすかに動く口元とは違って、落ち着きというより冷静さが、瞬間凍結させる吹雪のように全身をさっきからおおっている孔明。


 電話の向こうであろうと、野郎どもに慕われる兄貴の鋭い眼光は、それだけで相手を射ることができるほど、すごみを帯びていた。きっちり落とし前をつける、孔明の真意をついて。


「ふざけてんじゃねぇよ。てめぇが緊張なんかすっかよ。嘘だってわかるように言ってきやがって。マジで何してだよ? 話元に戻せや、どうやって、ボスの制止突破したのかよ?」


 手強し兄貴。孔明の春風のような柔らかな声はここで、さっきとは違った口調に変わって、ある時点を告げた。


「それはね、ボク以前の人だったら、誰でも知ってるかも!」


 また3人称。しかも、貴増参より上手うわてなやり口。性別もない。丸テーブルの上に置いてある赤いお弁当箱を、明引呼は視線でしっかりとらえた。


「てめぇ、グッドにはぐらかしやがって。範囲広すぎんだよ。野郎か? 女郎めろうか? どっちか言いやがれ」

「彼」


 3人称ループにまた巻き込まれてしまった。即行、兄貴からツッコミのカウンターパンチ。


「野郎もメニーいんだよ。てめぇより前にはよ」


 お茶として出された、ジャスミンティーの香りを味わい、時間がだいぶ経過して冷めているはずなのに、最初に口にした時と同じ暖かさをたもっていた。


 金色の液体を唇からのどへ、そして体の奥へと精神浄化カルタシスの森へ入り込むように落としてゆく。癒しの時を味わいながら、湯呑ゆのみをつかむ手のひらには今も潜まされている懐中時計。聡明な瑠璃紺色の瞳を一瞬だけやる。


(今の時刻、13時20分21秒。

 さっきから、1分2秒経過。

 残りあと、12分39秒。

 勝つ方法……。

 そろそろこっちかなぁ?)


 桜の花びらが雪のように降り注ぐ、窓の外で、元気にサッカーボールを蹴って、右へ左へ攻めて守ってを繰り返している子供たちを眺める。そうして、孔明は甘々でのんびりした雰囲気で、さりげなく話題転換。


「ねぇ、ボクがどこにいるか当ててみて?」


 ガサツな声が吐き捨てるように、だるくて仕方がないように言ってきた。筋肉質な腕が動くと、2つのペンダントヘットにすれ、チャラチャラと金属音が夏の匂いに混じり込む。


「そのよ。カンニング用紙みてぇなクエスチョンやめろや。わかってんだろ、オレとてめぇの仲なんだからよ」


 やはり仲がいいみたいだ。明引呼と孔明は知り合いでも何でもないはずなのに。何が起きたのか不明、いや孔明にはぐらかされたまま、普通に会話が続いてゆく。


「ボク、キミに聞いてほしいんだけどなぁ〜?」

「しょうがねぇな。付き合ってやっか。どこにいんだよ?」


 情に熱い兄貴からの問いかけ。ふふっと子供が思わずもらした笑い声をして、固有名詞、場所がきちんと出てきた。


「ボクは今、姫ノかんにいるよ」


 ここは比較的、普通の名前。だが、ちょっとわかりづらい。そのため、兄貴からしゃがれた渋い声で解説が入る。


「だからよ、学校スクールはわかったけどよ。そこはよ、小学校から大学まであって、ひれぇんだよ、地球の11.5倍の敷地があんだからよ。そこのどこにいんだよ?」


 野球場ではなく、地球。ここもおかしい気もするが、2人にとっては常識なので、このままスルー。


「初等部」


 深碧のソファーの肘掛けに、袖口が広く取られた白をもたれさせる、ピンクのお弁当箱が見ている前で。その奥の景色は、孔明がさっきから眺めていた小学校の校庭。そこで遊ぶ、パンダやトラ、もちろん人も混じる子供たちだった。


「小学校はわかったけどよ。それでも広すぎんだよな。小学生のガキはいっぱいいんだろ。特によ、1年の5歳児、あのガキの生徒数は、今は数十兆を軽く超えてんだぜ。そこだけでも、地球の6.7倍あんだよ。そこのどこにいんだよ?」


 順調に再スタートを切った会話だったが、おかしいところが出てきた。小学1年生は通常、6歳から入学。さらには、数十兆という、国家予算波の数。


「講堂」


 密かに孔明の口調が変わっていることに、兄貴の電話を持つ手と反対側のそれで、シルバーリングの銀色を縦に何度も揺らしながら、回し蹴りバックするようにしっかり詰問きつもん


「いや、だからよ。小出こだしにすんじゃねぇよ。さっきまで、流暢りゅうちょうに話してたのによ。急に単語だけになりやがって。小学校の講堂は日本ジャパンの国土ぐれぇあんだよ。そこのどこだよ?」


 校内にある1施設が、島国と同じ大きさ。何だかここもおかしいが、孔明が妖艶に足を組みなおしたことによって、そのエロさでスルー。


 耳元で内緒話というように、電話口でささやいた。好青年でありながら軽めの男の声が。


「控え室に、あの男の先生に案内されちゃったんだけど……」


 さっきからどうも色がついているような話をしてくる孔明。明引呼はいぶかしげな顔で、突っかかるように聞き返した。


「あぁ? てめぇとオレが共通で知ってる、小学校の野郎の先生ティーチャーはあいつしかいねぇだろ? 何、意味ありげな言い方してんだよ」


 共通の知り合いもいなかったはずだが、なぜかいることになっている。2人の脳裏に鮮明に浮かび上がる、マゼンダ色の長い髪とほとんど閉じていて、なかなか見ることができなヴィオレットの瞳の持ち主が。


「ボク、あんまり彼のこと知らないんだよなぁ〜?」


 いわゆるポニーテールにされている漆黒の長い髪を手ですくように、ツウーッと悪戯っぽく前へ引っ張る。まるで女性が退屈しのぎに髪をいじるように。


 長いジーパンの足は床の上で軽く組まれ、スパーがカチャッと存在を忘れられないように響いた。


「嘘つくんじゃねぇよ。あれは有名だろ? 5千年間、月で1人、うさぎどもとよ、歌って踊って過ごしてたってよ」


 うさぎが月にいるという神話はよく聞く。だが、そのうさぎと本当に過ごしていた人がいたとは初耳である。しかも、さりげなく4桁だった、費やした月日つきひが。


 左手首につけている銀の細いネックレスを指先でつまんでは離すを繰り返す、孔明は。


「ボクより、ずいぶん長生きだなぁ〜、彼は」


 あきれが思いっきり入ったため息が、明引呼の厚みのある唇からもれ出た。


「長生きどころの話じゃねぇんだよ。単位が違ってんだよ、他のやつとは、あれと、もう1人はよ」


 4桁は大したことがないようだ、誰かと誰かに比べたら。孔明の大きくてしなやかな手は、後れ毛の漆黒色を今度はなでる。


「ボクもちょっと長いかなぁ〜?」

「てめぇは転生してっから、意外とみじけぇんだよ。全部オール足したら、長くなっかもしれねぇけどよ。そしたら、全員エブリバディー、長くなんだよ」


 兄貴の横文字をわざと入れて、笑い取っています的な会話だが、内容は支離滅裂に近かった。生まれ変わり。それを足し算する。おそらくこれは、輪廻転生りんねてんせいのことを指している。生きている法則が違うようだ、ここでは。


 薄手の白の着物。その下に隠された足は、なよっとした言葉とは反比例するように、直角に男らしく、深碧のソファーの上で組まれていた。その膝の上に置いた銅の懐中時計を、瑠璃紺色の瞳で気にする。


(今の時刻、13時22分41秒。

 さっきから、2分20秒経過。

 残りあと、10分o9秒。

 勝つ方法……。

 そろそろこっちかなぁ?)


 まるで遠い空の下にいる恋人に聞くような、甘々で切なさ混じりの声を、孔明は好青年で間違いありませんと言うように響かせる。


あき、今どこにいるの〜?」


 耳元という色欲が漂う携帯電話を持ちながら、鋭いアッシュグレーの眼光は広大な農園の緑を見渡す、兄貴という責任者の立場で。


「いつも通りの場所だろ。ワークしてんだからよ」

「それって、隣の惑星だよね?」


 国ではなく、星。遠距離どころの話じゃなかった。そのために、吹いている風と季節がずれているようだ。


 さっきから時刻を確認するたびに、話題転換してくる孔明。手元の懐中時計は、携帯電話の死角になって見えなかった。


 だが、捕らえた獲物は食いついて離さないような、明引呼の鋭い眼光は、隣の惑星の小学校にいるであろう孔明を、勘で心でがっちり押さえ込んだ。


「わざわざ聞いてくんじゃねぇよ。何 たくらんでんだよ?」

「あれ〜? ボク、何か企んでたかなぁ〜?」


 腰元で結んでいる赤の細い帯を、人差し指と中指で挟みながら、弄びというように持ち上げつつスルスルと落とす。そんな孔明の言っていることと、思っていることはてんでバラバラだった。


(そろそろ、切り上げる時刻だから……)


 のらりくらりと話されていることで、明引呼のウェスタンブーツは、丸テーブルを横蹴りのガツンという衝撃を強くまた受けさせられた。


孔明こうめい、てめぇと遊んでる時間は、オレにはねぇんだよ、今はよ。早く要件言いやがれ」


 窓から望める晴れ渡る空と、レースのカーテンを揺らす春風を受けながら、悪戯好きの少年が思わず嬉しくてもらしたみたいに、孔明は笑った。


「ふふっ」


 やっと正体を現した相手。今にも殴りかかりそうな勢いで、明引呼は口の端をニヤリとさせる。


トラップ張りやがったな……」


 さっきまでの甘々で間延びした口調ではなく、男の匂いで酔わせるようにしている好青年の声が聞き返してくる。自分が今までしていたことを認めた上で、おねだりするように。


「いけなかった?」


 明引呼は鼻でフッと笑い、兄貴全開で厚い胸板で受け止めた。


「いいぜ。かかってやってもよ」


 策略的にやってきた、お楽しみの時間が。1人きりの応接室で、小学生たちが遊んでいる校庭を眺めながら、大人の情事に誘惑する。孔明の口元は携帯電話のすぐ近くで、あやしげに動いた。


「ボクに熱いキスをして、明引呼あきひこ


 まるで恋人。今にもするように送話器に唇が触れるほど近づいて、しゃがれた渋い声が遠距離を突きつける。会いたくても会えない、距離を。


「電話してんのに、できねぇだろ。てめぇまでたかと一緒で頭ん中、お花畑ってか? 近くにいねぇとキスはできねぇだろ」

「キスしてくれたら、誰のどこを触ったか教えてあげるんだけどなぁ〜?」


 さっきとは違って、声のトーンを少し下げた男の響きが、悩殺のうさつという罠の鎖を張りめぐらしながら、孔明は提示した。ここで、さりげなく交換条件が登場。しかも、さっき話していた内容の再来。


 それぞれの椅子に浅く座っていた男2人は、ウェスタンブーツの片方が足を組み上げたことによって、今まさに孔明と同じように、気だるそうに玉座に鎮座ちんざする王様のような堂々たる風貌ふうぼうに変わった。


 すっと手のひらに現れた短く細い葉巻を鼻に近づけて、香水のような芳醇な香りを楽しむ、明引呼は乾いた夏の風の中で。


「前払いで答え教えやがれ。それはあとでしてやっからよ」


 キスのお預けがきた、兄貴から。髪飾りの赤く細い縄の手触りを楽しみながら、孔明は電話をしっかりと持ち、反対の手にある懐中時計を眺める、瑠璃紺色の聡明な瞳で。


(今の時刻、13時23分51秒。

 さっきから、1分10秒経過。

 残りあと、08分59秒。

 2つ同時に勝つ方法……。

 時間が早いから、伸ばす〜?)


 ダブルで罠を仕掛けている感あり。声の質感は変わらないのに、聡明な瞳は頭のよさが誰にでもよくわかるほど、クールでデジタルなものに変わった、1人きりの空間で。よく聞くと、意味がない会話が出てくる、孔明から。


「それは困るんだよなぁ〜」

「どう困んだよ?」

「ボクの気持ちが待てないから」

「だからよ。あとでしてやるって言ってんだろうがよ」

「淋しいなぁ〜」


 人の気持ちなど簡単に嘘がつける。時間調整という名の言葉たち。しかも、兄貴のハートをがっちりキャッチする内容。明引呼は鼻で笑って、


「ふっ! ずいぶん素直に言うじゃねぇかよ、今日は」


 しゃがれたガサツな声が電話の向こうで響くと、同じように心を盗まれてしまった孔明は、今までの策が取り消しになるように、明るく悪戯っぽく言った。


「な〜んちゃって……!」


 息がつまるような音が聞こえてきたと思ったら、


「来ちゃった!」


 さっきまで耳元からしていた好青年でありながら軽めの陽だまりみたいな声がすぐ近くに立っていた。


 天女のような薄手の白い足元まですっぽり隠れる着物。腰元を結んでいるリボンのような赤の細い帯。漆黒の腰まである長い髪が、春から急に夏に季節変わりした風の中で揺れる。


 ロッキングチェアにもたれかかっていた明引呼は、すぐそばのウッドデッキのささくれだった木の床の上に立つ孔明に黄昏気味に注意する。


「待つこと少しは覚えろや」


 惑星間という距離を瞬間移動で超えて、頭脳という武器で獲物を捕まえるように、孔明の声のトーンは少し低くなった。


「覚えたくない……」


 そうして、ウェスタンスタイルで決めている男に、白い着物がさっと素早くかがみ込むと、4つの瞳はすっと閉じられて唇が触れ合った。季節も距離も飛び越えて。妻に内緒のキス。


 持っていた細く短いタイプの葉巻が思わず指から落ち、コロコロと風に乗せられ転がってゆく、2人のそばを。


 農園で働く野郎どもがあちこちに点在するウッドデッキの上で。夏風に煽られた木々のザワザワという音がまるで拍手のように聞こえる中で。唇だけがやけに熱く感じる、恋という花火でもしているみたいに。


(感じやがれ。

 俺の熱いキスをよ)


 人がいる場所。外の匂い。既婚者同士。同性なのに酔わせるような香り。かがみ込んでいる孔明の胸は漆黒の髪が風に踊らされる奥で、猛スピードで鳴らされる打楽器みたいに高鳴る。


(ドキドキが止まらない。

 ボクはときめきという竜巻に乗って、空高くに浮かび上がる)


 野郎どもの憧れ、兄貴のそばに舞い降りた、天女みたいな孔明。2人の脇で土の上をひっきりなしに、農作業をしている男たちが行き来していたが、誰も気づいていないのか、立ち止まりもせず、真面目に熱く仕事中だった。


 風に吹かれた大木の緑とともに、白の着物とグレーのカモフラシャツはしばらく揺れ動いていた。キスの感触と熱さに意識を奪われ、世界から2人きり切り離されてしまったみたいに――――



 ――――丸テーブルに置かれた赤の布で包まれたお弁当箱の結び目を、袖口が多く取られた白の着物を従えた手で、孔明が愛おしそうに触っていると、兄貴の巻き返しの声が斜め後ろからかかった。


「で、どいつを引っ掛けやがったんだよ」

「今日、コンサートがある彼だよ」


 すんなり出てきた、さっきまで散々焦らしに焦らしていた答えが。だが、有名人のようだ、相手は。リハーサルをしている人がさっきいた。独健のそばで。その人のことも知らないはず、孔明は。ここも何だか、人間関係がおかしいが、兄貴の納得の声でスルー。


「確かに、あれが一番近道だな。ボスの制止振り切んのはよ。で、どこ触ったんだよ?」

「ふふっ。あのね……」


 セクハラの話はまだ続いており、孔明は肩をすくめて、藤色の剛毛短髪がかかる耳元に口を寄せた。何をささやかれたのかはわからないが、めったに笑わない明引呼が少しだけ肩と胸を震わせた。


「……そりゃ、ノーリアクション、返事なしのあれでも、さすがに驚きやがっただろうな。オレも見てみたかったぜ」


 何をやらかしたのだろう、孔明は。しかも、相手の性格がわかりにくさ全開な感じがするが、本当にわかりづらいのでスルー。


 さっきからずっと持っていた懐中時計を、聡明な瑠璃紺色の瞳に映し、一瞬で計算をする。


(今の時刻、13時27分23秒。

 さっきから、3分32秒経過。

 残りあと、05分27秒。

 あれ〜?

 ボク、時間の計算、失敗しちゃったかも〜!

 あの男の先生に、5分前に迎えに来るって言われてたんだけど……。

 オーバーしちゃうかも?)


 27秒しかない残り時間。そうして、今頃、時間に気づいたふりをして、好青年なのに甘々の軽めの春風みたいな穏やかな声でこんなことを言う。


「あぁ〜、ボク、もう講演の時間〜。じゃあね、また〜」

「おう。ガキに伝授してこいや。てめぇのその頭をよ」


 太いシルバーリングはだるそうに上げられ、漆黒の長い髪を持つ男を見上げ、エールを送った。


 白の着物の前では紫の扇子せんすが急に現れ、どこから持ってきたのかわからないが、それをバッと勢いよく広げて、心の中は悪戯全開。


(な〜んちゃって!

 もう1つの罠を成功させるために、わざと遅れた〜かも?)


 孔明、油断も隙もなかった。濃い青色を広げている夏空へ向かって、さっと斜め上へ切るように扇子を投げると同時に、大先生の天女のような白い着物はすっと消え去った。


 ハラハラと落ちてきた紫を、節々のはっきりした太いシルバーリング3がつついた手で、ナイスキャッチすると、扇子を閉じたまま農園へ向かってダーツの矢を射るように投げた。


 すると、明引呼の鋭いアッシュグレーの眼光からみるみる離れ、野球のライナー並みにサーッと遠くへ飛んでいき、宇宙の果てまでいってしまえ的にキランと光り、扇子は2度と戻ってこなかった。

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