第65話 必要は不必要を生む
家電の自動化は新時代へと突入した。
最新の自動空気清浄機は空気中のみならず、床のホコリ、塵、ウイルスまでをも浮かび上がらせ分解する様になった。また、それが資源ゴミの様な大きな物体であってもAIがゴミと認定した物は空気に溶かして消してしまうのだ。
昨今では、国と県が連携して最新の自動空気清浄機を街中に置く様になった。街からはみるみるゴミが消え、「世界からゴミが消えてなくなる日も近い」と学者は語った。
そうなると、AI機能の先駆けであった自動掃除機の需要は無くなり、ゴミ置き場には不必要となった自動掃除機の山で溢れ返った。人々は口を揃えてこう言う、
「ゴミが無いのにゴミを掃除するだけの機械は要らない」と。
しかし、ゴミ置き場に積み重なった自動掃除機の山は一向に減らず、増えるばかり一方であった。自動空気清浄機に処理させようにもAIがゴミだと判断しない限りはどうしようも無いのだ。
そんなある日、街中の全ての自動空気清浄機が空気に溶ける様にして忽然と姿を消したのだった。
そして、学者は語る。
「きっと、ゴミを生み出してしまった自分自身をゴミだと認定したのだろう……」と。
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