第61話 逆神様
その昔……とある山奥の神社に祀られている神様は、一風変わった異名で呼ばれ、人々から崇められていた。
願った想いとは、逆の事を叶える神様。
通称、
嘘か誠か、逆神様への願いは逆にはなれど必ず叶うと言われている。
そして今、そんな逆神様に地球の一大事を担う願い事がなされようとしていた。
逆神様の祀られた神社に集まる、スーツを着た物々しい雰囲気の大人達。
その中の先頭の男がスマホを片手に電話をかける。
「こちら、日本航空宇宙局。太陽の様子はどうだ? これからプランaを実行する」
「コチラ、NASA。イゼンセッキンチュウ……コノママダト、アトイチネンモモタナイ。コンナトキニ、カミダノミナンテ、ニホンジンワドウカシテル! ヒカガクテキダ!」
「どうかしてるだろうな。科学の最先端組織が神に縋るなんて。でも、太陽が地球に接近してくる事自体も非科学的だろ。まぁ、そのまま衛星映像を見といてくれ」
男はそう言うと、スマホを通話中のままポケットへとしまい、逆神様の祀られる祭壇の前へと向かった。
男は、参拝の手順に従い、お賽銭を入れ、ニ礼二拍一礼を済ました後、目を閉じ、手を合わせながら願いを口にした。
「どうか、太陽を地球に接近させて下さい!」
暫しの沈黙の後、男は通話中のスマホをポケットから取り出し、頬に近づけた。
「こちら、日本航空宇宙局。太陽の様子はどうだ?」
「コチラ、NASA。……ウソダロ……タイヨウノウゴキガトマッタ……ニホンジンワ、カミノツカイナノカ!」
「そうか……良かった……どうやら、科学では解明できない未知の力ってのもあるらしいな」
男は、スマホの通話を切ると周りの仲間達と歓喜に沸いたのだった。
ーー1年後。
地球が太陽に接近していき、地球は跡形もなく太陽に飲み込まれたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます