第51話 副作用
男がとある天才科学者の元へと訪れていた。
「先生……頭が割れる様に痛いんです……なにも考えれないし、なにも思い出せません……助けて下さい」
男は、右手で側頭部を抑えながら弱々しい声でそう言った。
「薬が欲しいのか?」
呆れ顔の科学者の問いに、男がコクリと頷く。
「ところで、君は私の薬は副作用が強いという話は聞いているかい?」
「はい……リスクは百も承知です……そんな事より……この頭痛をどうにかして下さい……」
科学者は男の返事を聞くと、気怠そうにガサゴソと手元の棚を漁りだし、三色の錠剤を男の前へと差し出した。
「ちゃんと聞くんだぞ! この青色の錠剤が頭痛に効く薬で、副作用は転げ回る程の腹痛。この黄色の錠剤が腹痛に効く薬で、副作用は息が出来ない程の咽頭痛。そして、この赤色の錠剤が咽頭痛に効く薬で、副作用が……」
科学者が薬の説明を言い切るより前に、男は目の前に差し出された三色の錠剤を青、黄、赤の順で貪る様に口の中へと放り込んだ。
男の行動に科学者は、呆れる様に天を仰ぎながらボソッと言葉を続けた。
「……記憶障害が起こる程の頭痛」
「先生……頭が割れる様に痛いんです……なにも考えれないし、なにも思い出せません……助けて下さい」
男は、右手で側頭部を抑えながら弱々しい声でそう言った。
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