第47話 サッカー
全国少年サッカー地方予選の最中、スパルタ指導で有名なサッカー少年団の監督は1人ベンチで嘆いていた。
子供達の自分勝手なプレーが続き、パスが回らない現状に。
監督は、言いたいが言えなかった。
今は昔と違い、根性論や熱血指導だけでは子供達が付いてこないのだ。
また、「蹴れ!」「かませ!」「ブチ抜け!」などの汚い言葉を使うと親御さんからのクレームも入る時代。
監督は目を瞑り、頭を抱える事しか出来なかった。
ピー!
そんな中、前半終了のホイッスルが鳴り響く。
ぞろぞろとベンチへと帰ってくる子供達。
根性論や熱血指導以外で、また、汚い言葉を使わずに子供達を鼓舞する方法はないものかと監督は考えた。
ボールは友達……。
ふと、監督の脳裏にそんな言葉がよぎった。
これだ! と確信を持った監督はさっそく子供達を集めてその言葉を伝えた。
「いいか? よく聞け。ボールは友達なんだ。みんなでその友達を大事に大事にゴールまで運んであげよう。すると、どうするべきか分かるね? みんなで友達を取られない様にパスを回すんだ。大事に大事にな!」
「はい!」
聞き分けのいい子供達の返事に監督は安堵した。
「よーし、行ってこい!」
ピー!
後半開始のホイッスルが鳴り止むと同時に審判が、
「ハンド!」
大事そうにボールを抱きしめる子供に言った。
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