第43話 自動運転

 刻は2030年、相次ぐ高齢者の自動車事故に対して、日本政府は遂に重い腰を上げた。



 事故の主な原因は至って単純で、ブレーキとアクセルの踏み間違いだった事から、政府は自動運転の導入を提案した。



 しかし、そんな政府のあっさりとした対応に国民は難色を示した。



 中にはデモやストライキといった過激な反応を示す企業や団体まで現れた。



 そんな中、政府は半ば強引に自動運転の施策を推し進めた。



 全ては、事故のリスクを減らす為だ。



 政府の関係者は皆そう胸に誓い、反対の声をも押しのけた。



 それから5年後ーー



 高齢者に対しての自動運転化が浸透した頃、2035年の1年間、高齢者による自動車事故は遂にゼロとなった。



「こちら、リポーターの高橋です。今日は、高齢者の方に自動車事故について、インタビューをしていきたいと思います。今年、1年間70歳以上の方の事故がゼロになった事に関してどう思いますか?」



「スミマセン、ヨクワカリマセン」



リポーターの質問に自動運転化された、ロボット高齢者が答えた。

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