第39話 黄色いニワトリ
午前4時ーー
「コケコッコー」
ニワトリ小屋から、高らかなニワトリ達の鳴き声が響き渡る。
そんな中、黄色いニワトリだけは、今日も鳴かなかった。
寝ているとか、鳴けないとかでは無く、鳴かないのだ。
しかし、何もしていない訳でもなく、ただバサバサと羽を動かしている。
同じニワトリ小屋のニワトリ達は、そんな黄色いニワトリの事を揶揄する様にこう呼んでいる、「大きいヒヨコ」と。
「おい、大きいヒヨコさんよ!」
一羽のニワトリが、突っかかる様に黄色いニワトリを呼んだ。
「なんだい?」
黄色いニワトリは羽を止め、呼びかけに答える。
「おめー、今日も鳴かなかったみてーだな? まさかまだ、
「うーん……僕は鳴きたくないから鳴かない。それに、他にやる事もあるし」
「ハハハハ、なんだそれ? やる事って、羽をバサバサする事か? 外見の色も中身も
その会話を聞いている周囲のニワトリ達もクスクスと笑っている。
「じゃあ、君はどうして毎朝同じ時間に鳴くんだい?」
「どうしてって……ニワトリは朝に鳴くもんだからだよ!」
「それは、どうして?」
「
「やらなきゃいけない事をやるのが大人? やりたい事をやるのが子供? それって、大人になるにつれ選択肢が増えていく中で、出来る事だけを選択する様になった言い訳じゃないの? なら、僕は
呆れた顔をする周囲のニワトリ達を余所目に黄色いニワトリは、また小屋の片隅で羽をバサバサと動かし始めた。
黄色いニワトリは、今日も周囲に染まらない。自分の色で、いつか大空を羽ばたく、その日を夢見て。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます