第33話 強豪野球部

「大阪堂隠高校」



 甲子園出場回数、歴代最多75回の実績を誇る超名門野球部のある高校だ。



 家が高校の近所だった事もあり、物心がついた頃には自ずと、甲子園で躍動する「大阪堂隠」の選手たちをテレビに噛り付きで応援していたものだ。



「絶対王者」そんな言葉が似合う、圧倒的な強さに小学生当時の俺は打ち震えていたのを今でも鮮明に覚えている。



 阪神や巨人の野球話で盛り上がるクラスメイトの中、俺だけはその輪に入らなかった。



 プロ野球ファン? クソ喰らえ!



 俺は、生粋の大阪堂隠ファンだ!



 高校野球に勝る青春など無い!



 そんな、俺もついに今日から「大阪堂隠高校」に進学する。



 気合いを入れる為、五厘に剃りあげた頭が春風に吹かれて少し冷えやがる。



 ふとその時、高校の進路相談で担任の先生と言い争った日の事を思い出した。



 ーーーー



「進路は決まったか?」



「だから、ずっと言ってるでしょ?」



「変わらないという事か……」



「俺は、誰になんと言われようと強豪野球部のある大阪堂隠に行きます!」



「どうしてだ? 私には、全く理解が出来ない。君の学力ならもっといい大学を目指せる高校があるだろう?」



「俺は、いい大学なんかより強豪野球部のある大阪堂隠に行きたいんです」



「だから、どうしてだ?」



「圧倒的に野球部が強いからですよ」



「そんな、くだらない理由で進学を決めるんじゃない!」



「くだらないだと? 先生に俺の何がわかるんですか!」



「わかるさ! 君がただの高校野球ファンの将棋部だということはね!」

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