第23話 魂
どうやら、俺は死んだようだ。
なんとなくわかる。
生前の記憶は無いが、火の玉? 魂? のような形の行列に並んでいる。
俺も周りから見ればこの火の玉のような形なのだろうか。
しかし、これは一体何の行列なのだろうか。
行列の前方を見渡すと羽の生えた男の子が行列を三つのルートに分けていた。
階段。
エスカレーター。
エレベーター。
階段の魂たちは皆しんどそうに登っている。
おそらく、生前の行いが悪かったのだろう。
可哀想に……
天に召すのも一苦労って事か……
だが、俺も人の心配ばかりしていられない。
生前の記憶がないんだ。
こういうのは大体、生前の行いによって待遇が決まるというのが相場だろうからな。
それから列は徐々に進み、俺の番がやってきた。
羽の生えた男の子は、メモのようなモノをチラッと見てから俺に言った。
「えー、あなたはエレベーターになります」
「あっ、はい」
よしよしよし、生前の俺サンキューな。
ピロピロリンリン。
メルヘンな音と共にエレベーターの扉が開いた。
驚く事に中にはエレベーターガールまでついているではないか。
俺は心の中でガッツポーズをして意気揚々とエレベーターの前に立った。
階段で登る連中が、心なしか羨ましそうにこちらを見ている気がしていたたまれない。
「さぁさぁ、早く行こう」
俺がエレベーターに乗り込むとエレベーターガールはボタンをポチッと押し、満面の笑みでこう言った。
「下へ参ります」
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