第24話 エビ女とカニ男

 とある世界の深海にエビような女とカニのような男がいました。



 ある日、エビ女はカニ男にこう詰め寄りました。



「ねぇねぇ、カニ男」



「どうしたんだい? エビ女」



「私との結婚って前向きに考えてくれてるの?」



「前向きには考えてるさ」



「じゃあ、どうしてずっと平行線なの?」



「わかってくれよエビ女、俺はカニ男、前向きに考えても横向きにしか歩けねぇんだよ」



「そればっかりじゃん。ふん。もうカニ男なんて知らない」



「おいおい、そんなプリプリするなよエビ女。愛してるぜ」



〝チュッ〟



「おいおい、エビ女。茹で上がったみたいに赤くなってんじゃねぇか? ハハハハ」



「うるさい!カニ男だって真っ赤っかじゃないのよ」



「俺はエビ女の事考え過ぎて年中茹で上がってんだよ」



「もう、カニ男ったら」



「まぁ、気長に行こうぜ」



 中々〝殻〟を破れない二人の恋の物語——

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