第22話 母
認知症の母さんが俺のアパートにやってきた。
三人兄弟の末っ子である俺が認知症の母さんを引き取る事に躊躇はなかった。
長男は一流大学出身の国家公務員、次男は世界的に有名なピアニスト、二人とも多忙で介護なんてできやしないからだ。
それに引き換え、俺は生活保護の引きこもり……。
暇と時間ならある。
二人の兄には〝金は出すから介護施設に入れたらいい〟と説得されたが「どうしても俺が引き取って介護したい」と懇願した。
こんな出来損ないの俺にも母さんは色々と教えてくれたのだから、これ位は当然だ。
いくらダメ息子でも、受けた恩は返さないと。
未だに俺の心と身体には母さんの教えが刻まれてるよ。
母さん、そんなに震えて喜ぶ程じゃないだろ?
お返しをしてるだけなんだから。
ほら、いい子にして?
いい子にしないと……。
俺みたいに後遺症が残るほど躾ちゃうじゃないか……。
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