第18話 恐怖

 深夜2時——



 コンビニの駐車場に車を停め、タカシを呼び出した。



 しばらくすると、スリッパにジャージ姿のタカシが眠そうな目をゴシゴシと擦りながら現れた。



 俺はすぐさま助手席のドアを開け、タカシに座るよう促す。



「タカシ、早く乗ってくれ」



「なんだよ、こんな夜中に」



 バタン。



 荒々しくドアが閉まる音からタカシの機嫌の悪さが感じ取れた。



「ごめんよ、こんな夜中に」



「てか、車内片付けろよ」



 タカシは、足元をごちゃごちゃと掻き乱し、足場を整えた。



「で? 話ってなに?」



「タカシって霊感強いよな」



「まぁ一応、ばぁちゃんが霊媒師だったから、そのせいかな」



「実は……さっき近所の野良猫連れて街外れの廃墟に行ってたんだよ」



「あー、あそこは有名な心霊スポットだからな、まさか中に入ったのか?」



「あぁ、そしたらいきなり冷たい手に足首を掴まれて、耳元で「許さない」ってハッキリと言われたんだ」



「あー、それはやばいね」



「知らなかったんだよ、あの廃墟がそんな心霊スポットだったなんて、いつもは中まで入らないし、それにまだ肩が重いんだ」



「なるほどね、確かにそれっぽいのは肩に乗ってるわ」



 タカシはそう言うとポケットから白い小包みの様な物を取り出し、その中のモノを俺に振りかけた。



「ぶっ、うわ、なにすんだよ」



「あはは、塩だよ」



「しょっぺー」



「文句言うなよ、これで大丈夫」



「ありがとうな、マジで怖かったよ。恐怖ってこういう事なんだな」



「ところで、お前はなんで野良猫なんか連れて廃墟に行ってたんだよ?」



「いやいや、殺す為に決まってんだろ?」



 俺は車のルームライトを点け、タカシの足元に転がる無数の猫の生首を指差した。

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