　彼氏の浮気調査を依頼している探偵から連絡が入った。

　資料が揃ったから近くの喫茶店に来てくれとの事。

　席に着くなり探偵は、神妙な面持ちで五枚の写真を机に並べた。

「ん？」

　私は五枚の写真を見て、明らかな違和感に気付いた。

「これって……どういう事ですか？」

「見ての通りです」

　私は、一枚ずつゆっくりと写真を見直した。

　やっぱり。

　全部違う女性だ。

　五枚の写真には、それぞれ違う女性と腕を組む彼氏が写っていた。

「六股……って事ですか？」

「そうですね……間違いないです、調べもついてます。なんなら、それぞれの女性について、一人ずつ……」

　私は、探偵の言葉を遮るように席を立ち上がり店を後にした。

　聞けなかった。

　聞きたくなかった。

　聞いたら……

　現実に押し潰されそうで。

　なんで？

　趣味も思考も価値観も全部全部全部一緒なのに……

「似た者同士だね」っていつも笑い合うじゃん……

　それが……

　六股だなんて……

　辛い……

　許せない……

　私なんか、五股しかしてないのに……

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