第15話 人攫い

 俺は少女の家族構成、家庭環境、周辺環境、その全てを徹底的に調べあげた。


 抜かりはない、あってはいけない。


 そして、少女が一人になる時間帯を狙い、声をかけた。


「お嬢ちゃんひとり?」


 少女は後退りをしながら、小さな声で答えた。


「うん、ひとり」


 少女は、不安そうに周りを見渡すが誰もいない。


 そりゃそうだ、敢えて人気の無い場所と時間帯を選んでるいるのだから。


「そうだ、お菓子たべる?」


 俺はポケットから飴、チョコ、ガム、の三種類を取り出し、少女に差し出す。


 少女は、俺の目を何度かチラチラ見て警戒した後にチョコレートへと手を伸ばした。


「へー、チョコが好きなんだ? おじちゃんの家にもっと美味しいチョコがあるんだけど今から来ない?」


 少女はチョコを口の中に入れ、モゴモゴとしながら小さくうなづいた。


 あくまでも自然に少女の手を引き、路地裏に停めておいた車へと乗せる。


 家までの道中、不審がられないよう他愛も無い会話で場を繋いだ。


 家に着くなり、嫌がる少女の服を無理矢理に脱がした。


 泣きながらうずくまる少女の体を隈なくチェックする。


 やはり、見立て通りだ。


 俺は、少女の自宅へと電話をかけた


「こちら、強制児童相談所の者です。この度は、御宅の御家庭に児童虐待の疑いがありましたので、強制相談させていただきました。 結果、娘さんにはアザやヤケドの跡が無数見受けられましたので警察に連絡した後、児童相談所の方にお送りさせていただきます。ご了承下さい」

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