第13話 命の選択

 ある小学校に一匹の子豚がやってきた。


 飼育係は当時、低学年クラスの子供たちが請け負うことになった。


 飼育係を請け負った子供たちは、初めは嫌々だったものの、日にちが経つにつれ子豚への愛着も湧き、(トンスケ)という名前まで付けるようになっていった。


 三年後。


 トンスケは立派な豚へと成長し、飼育係を担当するクラスの子供たちも高学年になっていた。


 ある日のホームルーム、担任の先生から飼育係の子供たちへ重い話がされた。


 トンスケは食育授業の為に学校に来たということ、そして、トンスケをどうするかは自分達で決めるということ。


 子供たちは、理解したようで皆一様にうなづいた。


 担任の先生は、子供たちの自主性を尊重するという理由で話し合いには入らず、廊下で話が終わるまで待つ事にした。


 しかし、子供たちの成長が気になった先生は廊下からこっそりと聞き耳を立てた。




「はい、じゃあ。トンスケを豚カツにするか、生姜焼きにするか決めたいと思います」

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