第10話 告白

 今日はクラスのマドンナ(佐倉 咲)から放課後に校舎裏へと呼び出されている。


 人を校舎裏に呼び出す理由は大きく分けて二つある。


 気になる異性に告白をするか、あるいは、気に入らない奴に焼きを入れるか。


 僕は後者の理由だと捉えている。


 しかし、実家が金持ちの僕には厄介ごとを金で解決するという手段がある。


 心配はない。


 ホームルームが終わると、二十万円が入った茶封筒を握り締め、こっそりと校舎裏へと向かった。


 校舎裏に着くと、まだ佐倉の姿は無かった。


 気持ちを落ち着かせる為、タバコに火をつける。


 ふぅー。


 ぼんやりと揺らめく煙の先に佐倉の姿が見えた。


「おう」


 片手を上げ挨拶を交わす。


 タバコを地面に投げ捨て、靴裏で捻るようにして火を消した。


 佐倉は神妙な面持ちで僕に一歩ずつ近付き、手の届く距離になると上目遣いで口を開いた。


「先生との子供できちゃったみたい」


「はい、これでいい?」


 俺は、二十万円の入った茶封筒を笑顔で手渡した。

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