第5話 鬼

 鬼が人間に恐れられていた時代から200年、、、


 今は、人間の勢力が増し、鬼が隠れながら人間界に進出する時代。


 俺も鬼ヶ島から人間界にやってきたその1人だ。


 しかし、鬼が人間社会で生きるのは簡単な事ではない。


 頭から飛び出たツノを隠すため、常に帽子を被っていなければならない。


 夏場にニット帽を被るような奴はだいたい鬼だ。


 それに職業も帽子を被るような職種にしかつけない。


 その中でも警備員、警察、駅員、シェフ、ラッパー等が鬼に人気の職種だ。


 鬼は基本的に真面目で実直な所がある。


 色々な世界で「○○の鬼」「鬼の○○」等と比喩表現されるような偉業や成功を成し遂げた者は、実はだいたい鬼なのだ。


 やはり、根本的に人間は昔も今も鬼には勝てないようだ。


 なんて物思いにふけながら、俺はベランダで電子タバコをふかしていた。


「あんた!タバコなんか吸ってないで、早く洗い物しなさいよ」


「はい、すみません」


 例外もある。


 嫁は、人間でありながら鬼嫁ようだ。

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