第3話 ウサギとカメとアリとキリギリス

 昔、ある所にウサギのうさ吉がいた。


 ある朝、カメどんに会ったうさ吉は、ちょっとカメどんをからかってやろうと思い、「おはよう」と挨拶するカメどんにこう言った。


「“おはよう”ってのはおかしくないかい?だってカメどんは、ちっとも早くないのだもの。」


 カメどんは答える。

「いやいや、ゆっくり行くのも悪くないですよ。」


 うさ吉はさらに言う。

「何言ってるの?早い者が勝ちさ。」


 こんな言い合いをしているうちに、どちらが早いのか、山のてっぺんまで駆け比べをすることになった。うさ吉は、用意ドンの合図で飛び出すと、あっという間にカメどんとの距離を広げた。



 カメどんがあまりに遅いので、うさ吉は一休みすることにした。ところが、一休みのつもりが眠り込んでしまい、うさ吉が目を覚ました時にはすでに時遅く、カメどんは山のてっぺんに着いていた。



 かけっこでカメどんに負けたうさ吉は、動物たちに笑われ、ウサギ族に恥をかかせたという理由で、ウサギ村からも追放されてしまった。


 その一部始終を見ていた、働き者のアリとその日暮らしのキリギリスは、声を揃えてこう言った。


「「童話みたいな話やな」」

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