第1章 人物紹介&用語解説

■人物紹介


●主人公

花園はなぞの アリス

 加賀見市立加賀見高等学校の二年生。十七歳。

 髪は少し色素が薄く茶髪気味で三つ編みおさげ。

 どこにでもいるいたって平凡な少女。容姿も勉学も運動も、何をおいても特筆すべきものがない平均的な女子高生。

 その心は強く穏やかで、人当たりはよく初対面の人とも親しく話すことのできる柔軟性を持つ。

 家族想いで友達想い。親しい人々へ対する思いやりに満ちた優しい少女。

 実は異世界にある魔法使いたちが住む国のお姫様。

 本人にはその記憶も自覚もないが、その力の一端と姫君を象徴する『真理のつるぎ』が発露した。

 今までと変わらぬ日常を守るため、迫り来る魔法使いたちと戦うことを決意した。


●魔女

神宮かんのみや 透子とうこ

 謎の少女。その見た目はアリスと同年代。

 黒い髪をストレートに伸ばした細身の美人。

 アリスとは違うセーラー服を着ているが、どこの学校の生徒かは不明。

 明朗快活で強く美しく、その温かく包み込むような性格と、頼り甲斐のある背中は、アリスにはヒーローのように見えた。

 アリスが魔法使いによる襲撃を受けていた所に颯爽と現れた魔女。

 アリスを抱え夜の逃走劇を繰り広げるが、最後は魔法使いとの圧倒的な実力差の前に敗れる。

 一命は取り止めるも激しい攻撃と拷問によるダメージのため、その意識は回復していない。

 夜子に保護され、現在は廃ビルにて治療中。

 炎の魔法を得意とする魔女。


氷室ひむろ あられ

 加賀見市立加賀見高等学校の二年生。十七歳。

 アリスのクラスメイト。

 肩口程までの黒髪のショートヘア、透き通るようなスカイブルーの瞳を持つ。

 小柄で色白、全体的に線が細い。透き通るような美少女。

 大人しく人見知りで言葉数も少なく、普段は一人でいることが多い少女。物静かでどこかミステリアスなクールビューティ。

 本が好きで、暇さえあれば読書に時間を費やす。同じくよく読書をするアリスの読みたい本を先に読んでいることが多かったこともあり、アリスの気になる存在だった。

 その実は魔女。アリスが魔法使いに攫われたことを知り、彼らが潜伏する異世界の城まで単身で乗り込んだ。

 普段は物静かで大人しい性格だが、戦闘時は冷静かつ時に突貫的な行動をする。

 数奇な運命に翻弄されるアリスに共に戦うことを約束した。

 氷の魔法を得意とする魔女。


真宵田まよいだ 夜子よるこ

 加賀見市内の廃ビルに長年住まう謎の魔女。

 三十歳前後のように感じられるが実年齢は不明。しかし童顔かその顔からは幼さも感じられるため、年齢については見た目では判断がつかない。

 ふわふわとした茶髪は適当に伸ばされ、着る衣服はどれもオーバーサイズでだぼだぼとしてたる。

 本人が小柄なことも相まって余計にその服装は大きすぎるように見て取れる。

 飄々として何事にもおいてものらりくらりとしたその性格はまるで掴み所がない。いつも薄い笑みを浮かべて達観した傍観者のように振る舞う。

 自身を古参の魔女だと名乗るが、実年齢と共に魔女としての経過年数もまた不明。

 加賀見市に長らく根を張ってあり、こちらの世界の魔女も顔見知りが多いと言うが、彼女がこの街で何をしているのは不明。

 氷室のアリス奪還に手を貸し、そして帰還した二人の一晩の面倒をみた。

 利害が一致する限りは手助けをするというが、その意図や目的はわからない。

 世界観移動のような、魔法使いでも単身では行えないような魔法を簡単に使って見せるなど、その実力は計り知れない。


千鳥ちどり

 夜子の廃ビルに居候しているという魔女の少女。

 アリスや氷室より一歳年上の十八歳だが、とても小柄な体格から中学生程の見た目に感じられる。

 派手な金髪をツインテールにしている点も、またその幼さを強調させている。

 感情的で利己的で保身的。自分の身をまず考える臆病な性格の持ち主だが、褒められたり必要とされることに慣れていないため、少しおだてられるとすぐにその気になってしまう。端的にいうとチョロい。

 廃ビルに居候する代わりに夜子からの仕事をこなしているというが、その内容は不明。

 その臆病な性格から戦闘や危険なことは好まない。しかし夜子に煽られアリスへの協力を了承した。


●魔法使い

D8ディーエイト(レオ)

 異世界よりアリスを迎えにきた魔法使いで魔女狩り。

 黒いコートに身を包み、燃えるような赤毛を長く伸ばした長身の男性。十九歳。喫煙者。

 アリスの親友を自称し、連れ戻しに来たと言うが、その言動は荒々しく双剣を振り回してアリスを追い詰める。

 しかしその言葉の節々にはアリスを想うものを覗かせ、またアリスとの直接戦闘には少しながらも迷いを見せるなど、その胸の内は計り知れない。

 短気で直情的、行動的で大胆な性格。

 炎の魔法と双剣による戦闘を得意とする。


D4ディーフォー(アリア)

 D8と共にアリスを迎えに来た魔法使いで魔女狩り。

 同じく黒いコートに身を包み、黒髪をポニーテールにまとめあげた理知的な女性。十八歳。

 同じくアリスの親友を名乗り、彼女を城に連れ込んだ際は姉のように優しく世話を焼いた。

 理性的なためD8のように感情に任せて動くことはないが、しかしアリスを想う気持ちを堪え切れないような表情を見せる。


・ロード・デュークス

 白いローブを身にまとう金髪の中年男性。

 魔法使いであり、魔女狩りを統べる立場に着く者。

 気品と自信に満ちたその佇まいは、貴族のような位の高さを思わせる。

 D4とD8の直接的な上司に当たる人物であり、二人に姫君奪還の命を下した張本人。

 アリスが魔女になったと知ると、奪還の方針を抹殺へと切り替えた。

 そこには何か別の思惑があるようにも窺える。


●友人

雨宮あめみや 晴香はるか

 アリスの家の隣に住む幼馴染で親友。

 ふわふわとした栗毛の持ち主で、一般的に可愛い女の子。

 世話焼きで少しお節介。誰にでも優しく、相手のことを想うあまり自身のことに控えめになることも。

 普段が穏やかなため怒らせるとかなり怖い。


守谷もりや はじめ

 アリスの家のはす向かいに住む、同じく幼馴染で親友。

 男子の中でも背が高い部類だが、けれどこれといって運動が得意というわけでもなく、部活を始めスポーツはしていない。

 がさつで口が悪く、よく軽口をいってアリスと晴香に窘められる。

 しかし心配性で幼馴染思い。冷静であるが故に言動は慎重だが、常に二人のことを気にかける少年。


金盛かなもり ただし

 創の中学時代からの友人で、それ故にアリスと晴香とも腐れ縁のような存在。

 いわゆるイケメンであるが、明るく染めた茶髪やチャラついた服装は軽薄さを拭えない。

 容姿端麗成績優秀、家庭も裕福であるが故に、自分のステータスを鼻にかける自信家。

 異性からもよくモテるため、女性は全て自分に惚れると自惚れている節がある。

 それ故か、自分に一切なびく様子を見せないアリスに対して必要に絡もうとするが、ことごとくかわされ続けている。




■用語解説


・『魔女ウィルス』

 感染者の肉体を細胞レベルで違うものに書き換え、やがて死に追いやる未知の殺人ウィルス。

 細胞を書き換えられることによって感染者は魔法を扱うことが可能になり、その者は魔女と呼ばれる。

 その実態は謎に包まれており、人から人へと移る感染ウィルスだがその感染経路もまた不明。

 感染から死亡までにかかる時間には大幅な個人差があり、長期的に存命する者もいれば数日で死に至る者もいる。

 異世界で蔓延し、魔法使いの中で問題視されていたが、こちらの世界にも蔓延していたことが発覚した。


・魔女

『魔女ウィルス』に感染し、後天的に魔法が扱える存在になった者。

 魔女は時間と経験を積むことによってその力を強め、多彩かつ強力な魔法を扱うことができる。

 魔法の行使方法は想像力に由来するため、実力が伴う限りあらゆる魔法を行使することが可能。

 一見便利に思えるが、想像力で発現させた魔法はそれ故に細部が至らないことが多く、研鑽を積んでいる魔法使いのそれに劣ることが一般的。

『魔女ウィルス』によっていつ死ぬかわからぬ身であると共に、ウィルスを振りまく者・神秘を悪戯に扱う者として魔女狩りに狙われる日々を送ることを余儀なくされる。


・魔法使い

 生まれつき魔法を扱う素養を持つ先天的な魔法の使い手。

 代を重ね研究と研鑽を積むことで魔法を修得、極めていく。学び得た魔法を術理と術式に則って行使するため、魔女に比べて盤石な魔法を扱う。しかしそれ故に未修得の魔法は扱えない。

 多くの場合研鑽を積んできた魔法使いにとって魔女の魔法は児戯のようなものであり、比べるべくもない。

 本来人間が扱うことのできなかった魔法を研究の果てに手にした魔法使いは、魔法を崇高かつ神聖なものだと考えている。それ故に貴重な神秘を苦労なく悪戯に扱う魔女に嫌悪を抱いている。


・魔女狩り

 魔女を討伐するために魔法使いよって興された組織と、それに属する者の名称。

 神秘を軽んじる魔女は滅ぼすべし。死のウィルスを断つべし。その二つの大義のもと、魔女を根絶やしにするために組織された魔法使いの戦闘組織。D4とD8がこれに属し、それを統べる者の一人がロード・デュークスである。

 異世界においては魔女に対して猛威を振るっていた魔女狩りだが、こちらの世界に『魔女ウィルス』が蔓延していることを認識していなかったため現在に至るまでノーマークだった。


・魔法

 魔力を用い、術理に応じた現象を引き起こす神秘。

 魔法には全てそれを起こすための理論と術式が存在し、魔法使いはそれを学ぶことで魔法を行使する。

 魔女の場合、魔法行使に必要な行程は全て『魔女ウィルス』によって書き換えられた肉体が行うため、術者は起こしたい現象を想像するだけで発現可能。

 魔法使いと魔女が扱う魔法はそのプロセスが異なるが、引き起こす結果は同一である。

 理論上、習得し実力が伴えばあらゆる魔法は誰にでも使用可能だが、魔法使い、魔女を問わず得手不得手があるため、特定の属性や系統に偏る者が多い。


・異世界

 こちらの世界とは全く別の法則で成り立っている別次元の空間、世界。

 魔法使いが住まう国が存在し、魔法という法則が存在する世界。

 アリスが連れ去られた城は異世界に存在するものであり、その周り一面に広がったお花畑の光景を見て、アリスはお伽話の世界のようだと感じた。

 世界を渡るためには魔法使い複数人による儀式を経て異界の門を開く必要がある。一度開けばしばらく維持が可能だが、魔力を大幅に消費するため連続使用は難しい。夜子には魔女の身でありながら個人で使用できる別の移動方法がある模様。


・お姫様

 魔法使いたちが住まう国のプリンセス、お姫様、姫君。

 魔法使いたちはアリスをそのお姫様と呼び、連れ戻しに現れた。

 お姫様はその身に絶大な力を秘めているとされているが、詳細については公にされていない。しかしそれは魔法の起源に近いものだと言われている。アリスが先の戦いにおいて発露させたのはその一端である。

 魔女狩りはその力を用いて魔女を掃討する計画を立てており、アリスの奪還はその目的を含んでいた。


・『真理のつるぎ

 お姫様の象徴とも言える純白の西洋剣。その剣がお姫様の剣として有名であるため、アリスがお姫様である証明となる。

 あらゆる論理を一つの真理の元両断する絶対の剣。あらゆる問いかけの答え。唯一無二の真実を示す剣。

 その能力はあらゆる魔法を切り捨て無効化するというもの。

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