第3話 同じ道

秋の終わりを迎え木々が枯れかかる頃、自転車通学の僕は肌寒さを日に日に強く感じるようになっていた。


元々僕とまなみは別々の通学路だったが気がつくと同じになっていた。厳密に言えば僕の通学路にわざわざ遠回りまでして、まなみが合わせてきたのだ。


僕は自宅と高校の中間でテニス部の友達と待ち合わせをして高校に通っていた。通学路を変えてきたまなみと僕が出会うのは、自宅と友達との待ち合わせ場所の中間くらいだ。そこから友達との待ち合わせ場所少し手前まで一緒に行くようになった。友達との待ち合わせ場所少し手前で、まなみとはバイバイをするのが僕達の暗黙のルールだった。僕と友達の邪魔をしたくないというまなみの思いと、友達の女苦手のせいもあり、高校3年間で3人一緒に通ったことは一度もなかった。


通学路が同じになったこともあり必然的に話す時間が増え、以前よりは窮屈さは薄らいできた。しかし、まだ冗談を言い合える仲ではないが……


「クリスマスって予定あるの?」


今朝通学中に突然聞かれた。僕は予定などもちろんなかったが、男の変なプライドに邪魔された。


「微妙……」


僕の返事を聞いたまなみの表情は少し困惑したようだった。しかし、深く追求するようなことはせず、自転車を漕いでいた。そして、友達との待ち合わせ場所が近づいてきた。


「また学校でね……」


まなみの表情はいつもより暗く、発した声も小さかった。そして、まなみの後ろ姿からは寂しさを感じた。


微妙って答えたのまずかったかなあ


僕は自分の発言に反省した。


この頃になると友達や先輩から


「まなみと付き合ってるん?」


「彼女エロそうやな」


などとよく言われるようになり、僕が付き合ってないと言うと皆驚いていた。それも当然で側から見れば、一緒に通ってる姿や休み時間に話している姿、まなみの普段見せない笑顔や緊張感などカップルに見えても仕方がない所もあった。


しかし、まだその様な関係ではなかった。

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