第2話 窮屈

誰もが嫌いなテスト期間が終わり、各授業の始めには答案用紙の返却が行われた。


「めっちゃ点数よかった。勉強教えてくれてありがとね」


「よかった。もし、点数落ちてたらどうしよかと思ってた」


「教え方すごく上手で全部頭に入ってきたよ。

また期末テストの時も教えて欲しいなあ?迷惑ならない?」


「ありがとう。全然大丈夫やで」


「やったー」


そんなこんなで僕は期末テストの時もまなみに勉強を教えることになった。僕は人に教えることで自分自身の知識も深まると思い快く受け入れた。


しかし別の理由もあった。まなみはタイプではないが何とも言えない特有の色気がある。勉強を教えている最中に時々まなみが前かがみになるのだが、その時に服の隙間から見えるブラジャーや谷間を僕は何度も見てその度に勃起していた。もしかするとまなみの罠にハマっていたのかもしれないが僕はラッキーだと感じていた。


僕の高校ではテストが終わると文化祭と体育祭の時期に突入する。僕の高校はスポーツが強いだけでなく、文化祭や体育祭が盛んなことでも知られている。特に体育祭は体育科があることもあり非常に白熱し、騎馬戦やリレー、綱引きまでもが全て大歓声に包まれる。


僕のクラスは文化祭でムービーを出すことに決まった。内容はダンスや凄技、怖い教師にドッキリなど高校生の定番そのものであった。この中でもダンスには特別力を入れていた。というのも、ダンス部に所属しているクラスメイトが多かったことや、担任の先生がダンス部の顧問であり学生時代にはダンスに明け暮れていたほどのダンサーだったからだ。


振り付けは男女別に分かれており、女子は流行に則ったセクシーな動きを取り入れたもので、高校生の男達にとっては1つ1つの動きがたまらないものであっただろう。男性教員達もその動きに魅了されていたに違いない。


女子の練習時に男達はセクシーな動きをしている姿を後ろから眺めあいつがいい、こいつがいい、などと思い思いに評価をつけていた。そして、あるクラスメイトが放った言葉に僕はなぜだか、優越感を覚えた。


「まなみってエロい身体してるよなあ」


確かに足はムチムチで胸はそこそこ、黒のセクシーブラが透けている姿はエロい。そして誰よりもスカートを短くしており、ポロシャツのボタンもほとんど止めていないことも相まって、よりエロさが強調されていた。


僕はいつかこの身体と……


などと考えていたら男子に交代の時間になった。


「ダンス楽しいね」


少し汗ばみ、汗と香水の混ざったなんとも言えない匂いを放つまなみは満面の笑みで言った。反対に僕は、気の利いた言葉をかけることもなくただ微笑み返すだけの童貞だった。


僕が踊っている間まなみの視線を幾度か感じた。案の定その日の夜のメールでは


「ダンスしてる姿カッコよかったよ。

ますます惚れました」


と送られて来た。


「全然かっこよくないよ!

そんなん言われた事ないから恥ずかしい」


僕はいい人ぶった内容の返信をした。メールを始めて1ヶ月ほど経つが相変わらずまなみが攻めで、僕は守るという様なメールをしていた。


以前よりは面と向かって話す機会は増えたが、まだお互いどこかで気を使っており少し窮屈な関係だった。


時が経てば僕の心の変化なしにこの窮屈さも変わるのだろうか……

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