ときどき目線が出会っても それはすぐに流れてしまう 『晴れの日』

定点カメラで世界を見ている

ただ見るだけで参加できない

だれもかれもが素知らぬ振りで

見知らぬぼくのレゾンデートル


揺らぐ花たちやラメ散る川面

きみの姿は目にできるけど

ぼくはフレームのそとにいて

決してに映り込むことはない


ぼくの見ている世界はなんなの

クロマキーのニセモノ画像

そんなつぶやきがもれそうな

音色に欠けた晴れの日の午後


雑踏を映し続けるカメラ

ときどき目線が出会っても

それはすぐに流れてしまう

ぬくもりや色すら感じるまえに


手が届かないわけじゃないのに

関わることができない哀しみ

離人感が影を落として

心の彩度を低くしていく


ぼくの見知った世界は嘘なの

クロマキーで誰もいないの

そんなはずないのは判っているよ

俯くことさえ許されない午後

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