さざめきに耳を塞ぎたくなる 自分の声を聞く気がするから 『不協和音』

さざめきに耳を塞ぎたくなる

自分の声を聞く気がするから


どうしてなのという声を


ぼくにはなにも残っていないよ

うつろに響く自分の声だけ


どうしようもないつぶやきばかり


きらめきに目を背けたくなる

自分の姿を見る気がするから


判りきっていることを


今が現実 判っているよ

でもその今を見たくないんだ


取り繕いもできぬまま


歌ならサビが回ってくるよ

そのうち自然と盛りあがるんだし

どんな曲にも終止符がある


物語なら起承転結

起起承転転なんだっていい

作者が文を結べば終わり


自分の声を聞きたくなくて

自分の姿を見たくもなくて

逃げ回っては躓いてるだけ


愚かな自分のすることを

なにかに重ねようとする

言い訳をまた考えている


どうしてなのと言いながら

判っていると言いながら


矛盾に頭を抱えるばかり

憂鬱をただ吐き出すばかり


不協和音に悩まされている




20180616

原題『Discord』

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