空のかけらが還るとき 大地は無数の花で迎える 『ネモフィラ』

空のかけらが還るとき

大地は無数の花で迎える


降り積む青は花弁を染めて

風に揺られて波になるんだ


舶来製だということは

かけらもそうに違いなく


けれども空は見あげるままに

そもそもひとつながりであり


薄瑠璃色の花も言う

そもそもひとつながりである


ああそうかと目を細め

わたしは大きく伸びをした


花はやがて土へと変わり

命は昇ってゆくだろう


空の一部に還るとき

地上に残った種たちは


無数のかけらを受ける器の

準備に余念がないだろう


ネモフィラよ

ちいさな空の花たちよ


綺麗に咲くのは嬉しいからかい

生まれ変わりが嬉しいからかい


剥がれ落ちてきた空たちよ

天にあるのを望むかい


青い花弁は可憐だけれど

胸が切なく揺さぶられるんだ


ネモフィラよ

ちいさな痛みの群生よ


真実を確かめるために

きみに会いに行きたいよ




20180417

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