第5話 パピ

「パピちゃん、久しぶりだね」

「あの時は、大樹が世話になったわね」

すっかり、馴染んでいる。

パピも、にこやかだ・・・


パピには触覚が生えている。

それ以外は、そこらの女子高生と変わらない。


母は、「娘が欲しい」と、いつも言っている。

パピの事を思い出していたのだろう・・・


あの頃は、それほど長い間は、一緒にいなかったが、

両親にとって、パピは恩人。

忘れないのだろう・・・


「で、おじさん、おばさん。今日来たのは・・・」

「ええ、大樹の事ね」

「そうです。」

もう知っているのか?両親は・・・


「大樹、改めて紹介しよう」

「どうした、父さん」

「お前の、許嫁のパピさんだ」

「さっき聞いたよ」

「なら早い」

どうする気だ?


「大樹」

「何?」

「パピさんの世界に行きなさい」

いきなりですか?


「大樹くん、私の世界に来てくれる?」

「拒否権は・・・ないよね」

「うん」

即答ですか?


「わかったよ、パピ、君の世界に行く」

「ありがとう。大樹くん」

「で、いつ?」

「来月」

少し間があるな・・・


「せっかく来たんだから、しばらくこっちの世界を見てみたいの」

「ああ、いいよ。僕も準備があるし・・・」

「決まりね・・・」

こうして、僕はパピの世界で、暮らす事になるのだが・・・


簡単に決めていいのか?

両親よ・・・


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