第4話  瓢箪から駒

「でも、冗談じゃなかったんだね、パピ」

「あの時は、冗談だったんだけどね・・・」

「やはりね・・・」

子供に、『お嫁さんにして』なんて、完全に冗談だろうう・・・

ましてや、人間と妖精だ・・・


「でも、冗談ではいられなくなったんだ・・・」

「いられなくなった?」

「うん」

パピが、真剣になる。


「人間たちが、自然を破壊していくので、妖精の数が減っていってるの・・・」

心が痛む。

人間は、妖精をも、滅ぼしているのか・・・


「あっ、大樹くんを責めているわけではないからね・・・」

でも、責任は僕にもあるだろう・・・

連帯責任。


「でね、子孫を残そうということになったの・・・

でも、妖精同士だと、限られてしまう」

「それで、結婚を・・・」

「うん、人間に限らず、妖精と動物を混血させれば、滅ぶ事はないと・・・」

「それで、その姿なんだね・・・」

「うん」

パピは、頷く。


「ところで、パピ」

「何?」

「失礼を承知で訊くけど・・・」

結婚するにあたり、重要な問題がある。


「私は、この姿では18歳。君と同い年よ」

「妖精の姿では?」

「それでも、18歳。妖精界の1年は、この世界での1年よりも長いの・・・」

「そうなんだ・・・」

逆浦島太郎か・・・


その後は、パピとは僕の事について、色々と話した。

趣味の事、好きな食べ物の事・・・


パピもいろいろと話してくれた。


10数年の時が、埋まって行く感じがした。


そして、両親がそろって帰宅。

パピとの再会を、喜んでいた。








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